紅葉のしくみとは?高校理科でわかる秋の風物詩
寒い日が続き、いろいろなところで秋を感じられる季節になりました。
きれいな紅葉を見ながら暖かい飲み物を飲んで一息つきたいですね。
でも、紅葉のしくみが高校で習う生物と関係があること、知っていましたか?
1.エチレンの落葉促進
実は、秋に木の葉が紅葉するのは、「植物ホルモン」と呼ばれる物質の働きによります。
植物ホルモンとは、植物の体内で生産され、さらに体内の別の場所に移動して、様々な生理的機能を調節する有機物質のことです。
植物ホルモンには様々な種類がありますが、秋の紅葉や落葉に関係するのは「エチレン」と呼ばれる物質です。
エチレンは、落葉を促進する成分として、19世紀後半に発見されました。
はじめは、植物に含まれる植物ホルモンとしてではなく、ガス燈の成分として研究されました。
ガス燈のまわりの木の葉が多く散っていたため、放出される成分に落葉を促進する効果があるのではないかと考えられたためです。
エチレンは、熟したリンゴから放出されることでも知られています。
熟したリンゴをバナナと一緒に保管しておくと、リンゴから放出されるエチレンにより、バナナが柔らかく成熟していきます。
このように、エチレンには果実の成熟を促進する効果もあります。
他にも、リンゴとジャガイモを一緒に保管するとジャガイモの芽が出ないという発芽抑制効果もあります。
2.紅葉のしくみ
では、紅葉のしくみをみていきましょう。
紅葉には、木の種類によって葉が赤、黄、オレンジなど様々な色に変化するものがあります。
「色が変わる」ことは同じですが赤色になるか黄色になるかで少し仕組みは違います。
秋になると、太陽光の少なくなる冬に向けて、植物は準備を始めます。
不必要な葉を落とす「落葉」も、そのひとつです。
落葉に関係する植物ホルモンは、エチレンとオーキシンのふたつです。
オーキシンは、植物の成長や、細胞分裂の促進、植物の一番高い伸び芽を優先的に成長させる頂芽優勢などの効果を持ちます。
落葉は、葉の基部(付け根)に、離層という境目となる細胞の層ができ、それが増えた結果、葉が落ちてしまう現象です。
エチレンは、この離層の形成を促進し、逆にオーキシンが、離層の形成を抑制します。
つまり、オーキシンがたくさん形成されているときは落葉が起こらず、エチレンがたくさん生成されると葉が落ちるということです。
秋になると葉の老化作用の一環として離層が形成されていきます。
それと同時に、葉を緑に見せている物質であるクロロフィルは分解されていきます。
黄色く紅葉するイチョウなどの葉は、クロロフィルのほかにカロチノイドと呼ばれる色素を持っており、クロロフィルが分解されてカロチノイドの色が全面に出るため、黄色くなります。
一方、赤やオレンジに紅葉する葉は、葉が持つ糖分が複雑な過程を経て反応してアントシアンという色素に変化していくため、葉の色がそのように変化するのです。
3.2017年の紅葉の見ごろ
夏の雨が多く、冷え込む日の多かった今年ですが、紅葉は例年通りに近い見ごろを迎えるようです。
東日本ではすでに見ごろを迎えたスポットも多いですが、これから色づき始める関東のスポットは以下の通り。
11月上旬ごろ~ 筑波山(茨城県)芦ノ湖(神奈川県)
中津峡(埼玉県)
11月中旬ごろ~ 高尾山(東京都)
成田山公園(千葉県)
ふなばしアンデルセン公園(千葉県)
11月下旬ごろ~ 上野恩賜公園(東京都)
代々木公園(東京都)
円覚寺(神奈川県)
清水公園(千葉県)
(参照 https://weathernews.jp/s/koyo/)
紅葉のまとめ
いかがでしたか?
3連休の多い11月、紅葉を見に出かけるのもいいですね。