大学入学共通テスト、センター試験とどう変わる?必要な対策は?
※出典:ベネッセ教育情報サイト
センター試験に代わり、2020年度(2021年1月)から実施される大学入学共通テスト。
導入される予定だった英語の資格・検定試験は11月に延期が、数学・国語で予定されていた記述式問題は12月に見送りが決定されました。
これらの変更を受け、共通テストはどのような試験となり、どんな対策が必要となるのでしょうか。
進研ゼミ高校講座 進路情報責任者の相武貴志が解説します。
1.センター試験より、さらに思考力・判断力・表現力が問われる内容へ
今回の変更を受けて、「結局、共通テストとセンター試験は何が違うのか」「英語の資格・検定試験は延期が発表されたが、次の共通テストではまったく利用されないの?」といったご質問を、全国の高校生や保護者からいただいています。
まずは、センター試験との違いについて解説していきます。
国語・数学①(数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学A)では、各小問3問の記述式問題が出題されると発表されていましたが、これが見送られ、すべての教科がマーク式問題のみとなりました。
ただし、出題方針については、2019年6月に発表された実施大綱から変更はありません。すべての教科で日常生活や社会の事象を意識した素材が出題されるなど、思考力・判断力・表現力をより問う出題になると考えられます。
また、文章、グラフ、図表など、複数の資料を読み取り、情報を統合・考察する問題も出題される見通しです。
さらに、英語はリーディングとリスニングの配点が1:1となります。センター試験では、筆記とリスニングの配点は4:1でしたから、これまで以上にリスニング対策は重要となっていきます。ただし、配点の扱いは各大学に任されているため、志望大学の情報を確認する必要があります。
2.基礎事項を深く理解して「使う」力、さまざまな情報を読み解く読解力がカギ
大学入学共通テストの実施に向けて、大学入試センターが行ってきた「試行調査」(プレテスト)を 見ると、出題傾向が見えてきます。
たとえば数学では、小学校と高校の階段を例として、「踏面(ふみづら)」の範囲を求める問題が出題されました。階段という身近なものについて、数学的なアプローチで考察することが求められているのです。この問題は三角比のタンジェントを使えば解けるのですが、その定義を暗記しているだけでは歯が立ちません。
三角比の概念を本質的なレベルで理解していてこそ、「ああ、この問題はタンジェントが使えるな」と思いつくことができるんですね。
また、文章や図表・グラフなど、読み取らなければならない問題文や資料の量は、全体的にセンター試験より増加傾向にあります。
時間内に資料を読み解く読解力、情報を整理し、考察する力は今後ますます重要となってくるでしょう。
3.共通テストの枠組み外での英語の資格・検定試験は継続
英語の資格・検定試験は、共通テストの枠組み内での利用こそ延期となりましたが、すでに英語の資格・検定を活用してきた各大学・学部の個別入試では、引き続き継続される予定です。
活用する募集単位の多少はありますが、国立大学の約2割が一般選抜で活用を予定、総合型・学校推薦型選抜では5割が活用を予定しています。
英語の資格・検定試験の成績を共通テストの英語や個別試験に加点する、一定水準以上の成績で、共通テストや個別試験の英語の成績を「満点」等にするなど、活用方法は大学によってさまざまです。既に、数多くの私立大学でも英語の資格・検定試験は利用されています。
一方、「試行調査」から共通テストの英語の出題傾向を見ると、発音・アクセントや語句の並び替えといった知識問題は出題されず、サイトやブログの記事、料理レシピなど、実用的な文章の読解が中心となっています。
今後、「使える英語力」がますます求められることは間違いありません。
4.入試の先を見据えて
今回、共通テストへの英語の資格・検定試験、記述式問題の導入は運用面の課題で延期・見送りとなりましたが、方針そのものが変わったわけではありません。
知識・技能を身につけるだけでなく、それらを使いこなして、正解のない課題に向かう力が問われているのです。そのため、公式や解き方のパターンを暗記するだけでは対応できない問題が増えてくると考えられます。
さらに、文理に限定されない幅広い学びが、大学で求められるようになる中、「入試に出ないものは勉強しない」のではなく、大学入学後に自分が「学びたいこと」「学ぶべきこと」を見据えて、高校での学びに取り組んでおくことが重要です。
<進研ゼミ 高校講座>では、授業で得た知識を前提に、初見の問題を解くのに必要な知識の運用力をワークやアプリ、添削課題で高めていきます。また、英語についても、4技能を検定形式に合わせて対策できるなど、基礎から実力アップまでサポートします。
高校での一日一日を大切にしながら志望大学につながる勉強法の一つとして、ぜひご検討いただければと思います。