【海外大学への進学】国別まとめ!~出願から卒業後の進路まで~
最近は、高校留学や大学留学、語学留学など、留学が学生にとって身近なものになってきたのではないでしょうか?一方で、日本の高校を卒業後に直接、海外の大学に進学するという選択を取る人は、まだまだ少数派のようです。
この記事では、実際にイギリスで2018年度のに学位号を取得した筆者が、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドの大学に進学する場合のメリットや志願方法、費用、就職事情をまとめました。
海外大学進学を検討している方も全く今は視野に入れていない人も、是非この記事を読んでまた違った見方で大学生活を想像できたらうれしいです。
【目次】
1. 海外大学に進学するメリット
海外大学に進学するメリットは海外の大学で卒業した学位が手に入るだけではなく、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか?まずは海外大学に進学するメリットを簡潔にまとめてみました。
- 英語で高度な議論をする経験が積める。
- 今まで築き上げた世界観・価値観を刺激する経験が豊富にある
- 異文化への理解が深まり、国際性と視野の広さ、主体性と共感力身につく
- 国際的な交友関係 が広がる
- 海外就職や外資系企業への就職が有利になる
2. 海外大学に入るには?
海外の大学と一口に言っても、その制度は国や大学によって様々です。
全体として、海外の大学に志願するときの大きな特徴は、基本的に書類審査であることです。
また、多くの海外大学は受験料を取らないことも特徴です。
ここからは、国別での志願方法・教育制度の特徴と、出願時に気をつけたいポイントを紹介します。
2-1. 海外大学への出願に必要となる書類
海外大学に出願するときに必要となる書類を、主な国別に分けて紹介します。
◉アメリカ・カナダ
一定以上のTOEICの点数 高校の成績証明書 英文の志望動機 英文の推薦状
◉イギリス・オーストラリア・ニュージーランド
一定以上のIELTSの点数 高校の成績証明書 ファンデーションコースの成績証明書 英文の志望動機
2-2.海外大学への入学までの流れ
国によっては、高校卒業後すぐに大学に進学するのではなく、大学の前段階となる学校に通う必要がある場合もあります。
また、日本のように4年制の大学が主流な国もありますが、大学卒業までにかかる年数も、国によって異なります。
希望する国の教育制度を把握して、出願に備えましょう。
アメリカ・カナダの場合
2年制大学の特徴
◉ アメリカ
- コミュニティカレッジと呼ばれる公立の大学とジュニアカレッジと呼ばれる私立大学がある。
- 2年制大学のうち公立(州立)は58%、私立大学は42%
- 4年制大学と比べて学費が安く、3年次から4年制の大学に編入する学生が多い。
- アメリカの大学進学率が69%に対して、そのなかの半数が二年制大学に進学する。
◉ カナダ
- 基本的にカナダのカレッジには大学編入コース、職業訓練コースがある。
- ほとんどが州立大学
- 二年制大学はアメリカと同様、4年制大学と比べて学費が安く、3年次から4年制の大学に編入する学生が多い。
4年制大学の特徴
◉ アメリカ
- 総合大学と、教養科目を学ぶリベラル・アーツ・カレッジ、専門単科大学がある。
- 州立大学は24%、私立大学は76%
◉ カナダ
- カナダの大学にはユニバーシティとカレッジ、ユニバーシティカレッジの3種類あり、ユニバーシティカレッジとは4年間で学位がとれるコースも提供しているカレッジである。
- ほとんどが州立大学
カナダでは、全国で90校前後の大学が設立されているのに対して、アメリカでは5000校前後の大学が設立されています。
またアメリカ・カナダの大学に進学する場合、費用を抑えるために二年制の大学から四年制の大学に編入する外国籍大学生が多くいます。
また、州によっても教育制度が変わってくるため、大学卒業までの道のりは様々です。
志願するまえから、どのようなルートでなにを学ぶかをよく考え、留学エイジェントをまわって情報を収集することが大切!
イギリス・オーストラリア・ニュージーランドの場合
ファンデーションコース ・ディプロマコース (1年未満)
- 教育制度の違いから日本の高校卒業後、大学に進学する場合はファンデーションコースが必修。
- 現地の各大学や語学学校でも設置されており、日本国内でも受講することができる教育機関がある。
大学進学(3年間)
- イギリスの大学数は100校前後あり、大半が国立である。
- オーストラリアには約40校の大学機関があり、そのうち37校が国立大学に対してニュージーランドには8校の大学があり、すべて国立大学である。
- イギリスの大学は9月入学に対して、オーストラリア・ニュージーランドのほとんどの大学の入学時期は2月(あるいは3月)と7月の年2回あるのも特徴。
イギリス・オーストラリア・ニュージーランドの大学に共通している特徴は、専攻を選んで志願するところです。
大学編入や、入学後の専攻の変更などの柔軟性が低いため、志望する専攻を絞ってから留学することが必要です。
大学での専攻を決めてから、大学への志願資格が取得できるファンデーションコースを選ぶことが基本となります。
しかし、筆者のように、ファンデーションコースを現地の大学ではなく、現地の大手の語学学校で受講していたため、直前になって志願大学を変更しても案外スムーズに入学できた例もあります。
ファンデーションコースは受験期間の延長と考えて、真剣に進学先を見据えるいい期間です。
3.海外大学進学にかかる費用
海外大学に進学するというと、費用が心配になる方が多いのではないでしょうか。
実際に、人気の国では日本の大学へ進学するよりも費用がかかることがほとんどです。
しかし、国によっては外国籍の大学生の労働時間が制限されてもいますが、学生ビザでアルバイトが可能な国もあります。
3-1. 海外大学進学の費用①ざっくり総額はどのくらい?
まずは、アメリカの大学に進学するAくんと、日本の私立大学に進学するBくんの例を見て、簡単な費用の違いを確認しましょう。
簡単なものさしとして、海外大学進学での平均総額を紹介しますので、参考にしてみてください。
この総額では学費と家賃や食費を含めた生活費を合わせたものです。
例. 【海外大学と日本の大学の費用比較】
日本の高校を卒業後、アメリカのオレゴンにある「レーンカレッジ」というコミュニティーカレッジに通ってから、オレゴンの州立大学に編入したAくんの場合。
レーンカレッジでの年間学費 $10,620
オレゴン大学での年間学費 $32,535
オレゴンでの生活費 (家賃、水道・光熱費、食費を含む) $18,000-20,000
4年間の総額費用 $166310 → 1800万円
福岡から東京に上京して一人暮らしを始め、早稲田大学の国際教養学部に進学したBくんの場合。
大学1年目(入学金を含めた) 1,593,000 円
大学2年目 1,593,000 円
東京での生活費 (家賃、水道・光熱費、食費を含む) 1,560,000 円
4年間の総額費用 12,612,000円
また、簡単なものさしとして、海外大学進学での平均総額を国別で紹介しますので、参考にしてみてください。
ここでの総額は、学費と家賃や食費を含めた生活費を合わせたものです。
アメリカ : 2000〜3500万円
カナダ : 2000〜2500万円
編入制度を利用した場合(アメリカ・カナダ): 1500万〜3500万円
(コミュニティカレッジでの2年間+4年制大学での2年間の費用)
イギリス : 1200〜1600万
オーストラリア : 1200〜1600万
ニュージーランド : 1100〜1300万円
こちらの費用はとてもざっくりしているので、大幅な個人差が出てくると思います。
実際には、これより費用を抑えることも確実に可能ですし、進学する大学によっては予算を大幅に上回る可能性もあります。
また、同じ国でも、地方か都心に進学するか、国立・州立・私立大学のどれに進学するかでも大きく変わってきます。
海外大学進学に向けた奨学金は、大学院生向けに比べて大学生向けは少なく、狭き門です。
しかし、ホームページなどで確認してみることをおすすめします。
3-2. 海外大学進学の費用②現地でのアルバイト情報
次に、現地でのアルバイト情報を見ていきましょう。
海外の大学に進学すると、旅行などで必要となる「観光ビザ」ではなく、学校に通うことを許可されている証明となる「学生ビザ」が必要になります。
そのため、これらの情報は大学やカレッジに留学した場合のものです。語学留学の場合は、ビザの種類が変わってくるため当てはまりません。
また、これらの情報は2019年春の情報であり、変わっている可能性もありますので、各国の最新情報を入手してください。
アメリカ : キャンパス内の仕事に限り、週20時間まで可能
カナダ : 週20時間まで可能
イギリス : 週20時間まで可能
オーストラリア : 2週間で40時間まで可能
ニュージーランド : 週20時間まで可能
アメリカを除いて他の4カ国は、時間の制限があるものの、就労が可能です。
しかし、外国籍の大学生が現地でアルバイトを見つけることは、そう簡単なことではない場合も多いです。
現地のアルバイト情報にいつもアンテナをはり、日本語と英語のバイリンガルであることが求められる仕事や日系関連の仕事を探すのも有利だと思います。
3-3. 海外大学の費用③住居事情
主な現地の大学生の住居事情はアパートシェアや一人暮らし、寮、実家が一般的ですが、住む場所国・地域によって滞在方法がかなり異なってきます。
基本的に海外大生が地方の大学に通う場合は寮やホームステイが主流ですが、都会にある大学に通う場合は、他の学生とのアパートシェアが寮よりも安くなることが多いため、人気があります。
4. 海外大学進学生の就活事情と進路
以前は、海外の大学に進学すると、就職活動に出遅れてネックになるというイメージが強かったようです。
しかし現在では、日本の新卒一括採用が2020年に廃止になるなど、就職活動がより多様化し始めています。
また、海外の大学生活で身に付けたスキルや知識を就職でアピールすることも可能になり、むしろ有利だと考える人も多くなってきました。
ここから、海外大学卒業後の就職活動について、目指す進路別で紹介していきます。
4-1. 日本で就職先を探す
大学卒業後に、日本で働きたいと思う学生をターゲットとした就職のイベントは、一年を通してたくさん開催されています。
筆者のまわりでは、海外大学での学業と就職活動を両立させた人の多くが、卒業後の今日本で就職するという選択肢を取っています。
ここでは、海外の大学で身に付けた力を活かせる就職のイベント情報や、日本での就職に役に立つ情報を紹介します。
ボストンキャリアフォーラムに行こう
約200社前後の企業が集まる国外で最大級の日英バイリンガル向けの就職イベントであるボストンキャリアフォーラムでは、毎年1万人前後の参加者がボストンに集まるほどの海外大学に在籍する日本人にとっては数少ない就職活動のチャンスのひとつです。
外資系企業やグローバルな人材を求める日系の会社、大手の海外の企業などの幅広い企業が毎年参加します。
内定が数日で決まるという特徴から、学業との両立が大変な海外大学進学生にとって嬉しい機会となっています。
東京サマーキャリアフォーラム
東京サマーキャリアフォーラムは出展企業約250社、参加者数役6,000人と国内最大級のバイリンガルイベントです。
ボストンキャリアフォーラムとおなじ主催会社が開催しています。
開催時期がだいたい6月末から7月末ですので、夏休み中に就職活動をすることが可能です。
夏のフェアと同様に、冬にも同じ形でバイリンガル向けの就職イベントが開催されますので夏休みが比較的短くて参加が難しい場合にもおすすめです。
またボストンキャリアフォーラムと同様、当日内定や数日で内定を決める企業が多く参加されています。
マイナビ国際派就職EXPOに行こう
毎年150社ほどの企業が参加するマイナビ国際派就職EXPOは東京サマーキャリアフォーラムの次に国内最大のバイリンガル向けの就職イベントです。
こちらのイベントも夏と冬どちらともに開催され、当日内定をする企業もあります。
マイナビ国際派就職ではグローバル企業だけではなく、積極的に海外展開したいと考えている日本企業も多い特徴もあるいわれています。
LinkedInなどのオンライン就職サイト
筆者の友達の友人にも、イギリスの大学に在籍しながら就職活動をして、卒業とともに就職をした人で、面接のオファーをすべてLinkedInからもらっている人がいました。
日本の大学生とは違ったかたちで就職活動をする海外大学進学生を積極的に採用したい企業がこのような求人情報ウェブサイトを活用しているのかもしれません。
4-2. 現地で就職
実際には大学を卒業してから現地で就職することは難しいこともあり、国によって様々です。
これから国別での就労ビザ獲得事情を簡潔に解説していきます。
アメリカの場合の大学を卒業した場合
リーマン・ショック以降、アメリカでは就労ビザを取得しにくくなっているのが現状です。
原則的にアメリカでは年間の就労ビザの発行数に制限があり、企業からの内定を獲得したのちに抽選で選ばれてから就労許可を取得することができます。
アメリカでの就労経験がない人はビザを発給するために必要な企業からの内定をもらうこと自体が難しいです。
しかし、エンジニアなどの技術職や会計などの金融関係になると比較的内定に結びつきやすい傾向があります。
イギリスの場合の大学を卒業した場合
基本的にイギリスでも就労ビザをもらうことが難しく、Shortage occupation listに入っている理系の技術職やエンジニア、料理人などの専門職や金融関連の職以外だとハードルが高くなってきます。
イギリスでは個人にビザを発給する場合、企業が政府にビザの発行費用を払わないといけないため、イギリスでの労働経験がない人が企業から内定をもらうこと自体が難しいのが現状です。
私の周りではワーキングホリデーの間に企業で契約社員となってから企業に就労ビザを発給してもらおうとしている人は数人見かけます。
カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの大学を卒業した場合
カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの大学を卒業すると卒業生ビザが短くても2年間から3年間取得することが可能です。
大学を卒業後に現地で就職したい方や、他の国で永住権を取得してみたい方は、この2-3年間の卒業生ビザを取得することで、まずは卒業後の現地滞在が可能になります。
4-3. 国内外の大学院へ進学
日本では大学を卒業後大学院に進む人は比較的少ないですが、海外では大学院へ進学する人が多くいます。
大学院進学率において、日本とアメリカでは実に4倍以上の差があるほどです。
海外で修士学や博士学を取得することに興味がある方は、日本政府や専門の機関、企業からの奨学金が比較的に充実しているようなので確認してみてください。
4-4. ワーキングホリデーで他の英語圏へ!
ワーキングホリデーとは18歳から30歳限定の青年を対象にした最長2年間の就労ビザです。
現地の企業で働く人や語学学校に行く人もいます。世界で12ヶ国の国と協定を結んでいるワーキングホリデービザで、イギリス・オーストラリア・カナダなどの国で生活される人の話も聞きます。
5. 海外大学進学のまとめ
今回は、海外の大学進学についての流れを紹介しました。
海外の大学に進学するという経験は人生の中で大きな転機になりえます。
まだ若いあいだに、異文化に触れて、たくさん笑って、泣いて、悩んで、魅了されて…
気がつくと自分の社会の見方や他人の見方、自国の見方、自分自身についての見方まで大きく変わっていたりします。
とっても貴重な経験になることは間違いないので、興味がある方はよく自分で調べてみてくださいね。
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