英語の冠詞の使い方とは?冠詞をつけない場合についても分かりやすく解説!
英語の名詞の前に置く a , an , the などのことを「冠詞」といいます。
冠詞は、名詞の前に置くことで名詞を修飾する働きをします。
冠詞は、日本語には存在しない概念なので、難しく感じられるかもしれません。
しかし冠詞をマスターすると、英語を正しく話したり、英作文で自分の思いを正確に表現したりできるようになります!
この記事を読んで、正しく冠詞を使い分けられるようになりましょう!
(⇒英文法の問題を得点源にしたい人は、品詞の見分け方の記事もぜひ読んでみてください!)
1.英語の冠詞とは?a / an / the の違いを解説
英語の冠詞とは名詞の前につける言葉を指し、a と an と the の3種類です。
a や an のことを「不定冠詞」、the のことを「定冠詞」といいます。
(⇒冠詞が接続する「名詞」の他にも様々な品詞があります。品詞について詳しく知りたい方はこちら!)
3種類しかないのに、冠詞が苦手だという人が多い理由は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、どの単語に、どの冠詞をつけていいか分からないこと。
2つ目は、冠詞をつけるべきか、つけないほうがいいかが分からないことです。
この2つの疑問について解説していきます。
1-1 a / an / the どの冠詞をつけたらいいの?
冠詞 a と an は、「ある」「とある」というニュアンスで、初めて話題に出す1つのものにつけます。
普通は a を使いますが、次に来る単語の発音が母音で始まる時は、an を使います。
発音が母音で始まる単語とは、例えば ant(アント), ink(インク), elephant(エレファント), honest(オネスト)…などです。
つまり、発音が「アイウエオ」から始まるときは、「ア アント(a ant)」だと言いづらいので、「アン アント(an ant)」のように、an を使うというわけです。
例えば 、honest boy などと言うときは、単語自体は「h」で始まっているものの、発音は「オネスト」なので、an honest boy となります。
逆に、アリが一匹いることを伝えたい場合でも、There is a small ant. というように、冠詞のすぐ後の単語が母音から始まらなければ a を使います。「ant なら an」などと固定して覚えず、毎回次に来る単語を考えて使うようにしましょう。
次に、冠詞 the は「その」「例の」というニュアンスで、「すでに話題に上がっているもの」につけます。
I went to ABC Zoo yesterday.
I saw an amaging elephant there.
I know the elephant!
He is famous for having the longest nose among elephants in the zoo.
上の例だと、ミキオが最初に話題に出した”an elephant” “ABC zoo”を、だるじぃが2回目に会話に登場させるときに “the elephant” ” the zoo ” というように言い換えていますね。
(ちなみに、” the longest nose” の “the” は最上級につける”the” です。比較級や最上級を復習したい人は、「簡単!最上級(英語)を慶応生が例文で丁寧に解説!英語が苦手でも大丈夫」を読んでみてください。)
また、世界に一つしかないものにも、the を使います。
例えば、sun, earth などです。
(※ただし、God, Heaven などは冠詞をつけません。)
このように、the は、話し手も聞き手も「それ」が何なのかすでに知っている状態のときに使われます。
既に会話に出てきたものや、世界に一つしかないものは、話し手・聞き手どちらも知っているので、the が付くということです。
the は「すでに何のことなのか定まった言葉」に使う冠詞なので、「定冠詞」といいます。
また、a と an のように、the も次に来る単語が母音で始まるときは読み方が変わることに注意してください。
普通は「ザ」に近い発音ですが、次に来る単語が母音で始まる時は「ジ」に近い発音になります。
先ほどの例だと、「ザ アント(the ant)」だと発音しにくいので、「ジ アント(the ant)」と発音します。
A , An , The の使い分けは、以下の表を参考にしてください。
1-2 英語で冠詞をつけない場合とは?
一方で、冠詞をつけない場合も存在します。
①固有名詞(Mikeなど)
・My name is Mike.
→私の名前はマイクです。
・It rains in New York today.
→今日、ニューヨークでは雨が降っている。
②自分の肉親(自分の母を表すときのmotherなど、家族間では無冠詞で固有名詞的に用いることがある)
・Mother is washing the dishes.
→私の母は、お皿を洗っている。
・Father is in Paris, France.
→私の父はフランスのパリにいる。
③季節、月の名前、曜日(Spring, Monday など)
・Various kinds of flowers are in bloom in spring.
→春には、様々な種類の花が満開になる。
・I met Tom in the train last Monday.
→私は、この前の月曜日、電車の中でトムに会った。
④my, your, this, those, no, every, any, one, two などが名詞の前についているとき
・Every morning, my sister eats two hamburgers for breakfast.
→毎朝、私の妹は朝ごはんにハンバーガーを2つ食べる。
・My friend gave me this pen.
→私の友達が、このペンを私にくれた。
⑤一般的に「○○というもの」についていうとき
・Money talks.
→金が物を言う。
・Time flies.
→光陰矢の如し。
⑥建物や交通手段が、一般的な利用法で利用されるときの慣用表現(by bus, go to bed など)
・I’ll go to the station by bus.
→私は、駅までバスで行く。
・Nick goes to bed at 11 in the evening everyday.
→ニックは、毎日夜11時に寝る。
これらの場合は、冠詞がつきません。
ただし、テストなどの英作文では、明らかな間違いでなければ減点されることはないので、安心してください。
2.そのまま冠詞を付けることができない「不可算名詞」とは?
2-1 冠詞がつかない「不可算名詞」とは?
英語の冠詞は、基本的に「数えられる名詞」の前に置くものだとご紹介しました。
そのため、「数えられない名詞」である不可算名詞の前には、冠詞がつきません。
不可算名詞とは、「形のないもの」「形が定まらないもの」を表します。例えば、水(water)や空気(air)、砂糖(sugar)のような、決まった形をもたない物質・素材は不可算名詞になります。また、時間(time)や情報(information)、幸福感(happiness)のなどの抽象的な概念も数えられないので、不可算名詞にあたります。
不可算名詞の中には、日本人にとって分かりにくいものもあります。ここで、間違えやすい不可算名詞をいくつか紹介します。
チーズ(cheese)
:チーズは、作る過程で形が定められるだけで、もとは牛乳なので不可算名詞です。これは絶対の基準ではなく、あくまで英語圏の文化によるものなので、覚える際のイメージとして捉えるようにしてください。パン(bread)やバター(butter)も同じ理由で不可算になります。
食べ物(food)
:「食べ物」という概念の中には、カレーやお寿司、パスタ、パフェなど、様々な料理が含まれます。このように、様々な名詞をひとくくりにまとめて指す名詞は、不可算名詞になります。魚(fish)やお金(money) などの単語も、同じ理由で数えられません。
③木(wood)
:材質としての「木」は、机やタンス、積み木などのように様々な形をとるため、不可算名詞として扱われます。
同じ理由で、紙(paper)や、銀(silver)なども数えられません。
(ちなみに、同じ「木」でも、樹木を表す “tree” は数えられます。)
また、可算名詞か不可算名詞かで意味が変わる名詞もあります。
例えば、“glass”という名詞。単数形で使うと「ガラス」という意味になりますが、複数形”glasses”にすると、「眼鏡」という意味になります。
他にも、“mean”という名詞も、可算名詞か不可算名詞かで意味が変わります。単数形だと「意味」という意味になりますが、複数形”means”だと「手段」という意味になります。
2-2 冠詞がつかない不可算名詞の量の表し方とは?
不可算名詞は、a / an / the ではなく、 a slice of~(1切れの)、two cups of~(2杯の)などの形で表します。つまり、不可算名詞自体に冠詞がつかない代わりに、その前の単位に冠詞や数を付けることで定まった数量として表すことができます。
・I want a slice of pizza for breakfast.
→私は、朝ごはんにピザが1枚食べたい。
・My father drinks two cups of coffee every morning.
→私の父は、毎朝コーヒーを2杯飲む。
・I bought a bar of chocolate to bake chocolate cookies.
→私は、チョコレートクッキーを作るために、板チョコを1枚買った。
また、大まかな量を表すときに使う表現も、可算名詞と不可算名詞では異なることがあります。
例えば、多い量を表す場合、可算名詞は”many”、不可算名詞では”much”を用います。
【可算】I have many books.
→私は、本をたくさん持っている。
【不可算】I don’t have much time.
→私にはあまり時間がない。
少ない量を表すときは、可算名詞では”a few”、不可算名詞では”a little”を用います。
【可算】I have a few American friends.
→私は、アメリカ人の友達が何人かいる。
【不可算】I need a little more sugar for my coffee.
→私は、コーヒーにもう少しお砂糖が欲しい。
また、”a lot of”のように可算名詞にも不可算名詞にも同じ形で用いることができるものもあります。
【可算】I have a lot of books in my room.
→私は、自分の部屋にたくさん本を持っている。
【不可算】It requires a lot of water to raise vegetables.
→野菜を育てるためには、大量の水が必要だ。
可算名詞・不可算名詞の量の表し方は、以下の表を参照して覚えてください。
3.英語の冠詞 a / an / the の付け方
次に、英語の冠詞(a, an, the)について、英作文や会話の中での付け方を解説します。
実際のところ、冠詞を正しく付けるのはとても難しいことですので、明らかな間違いでなければ、減点されることは少ないでしょう。
それでも、ライティングやスピーキングテストなどで「間違えたかな?」と思って焦りそうな人は、本番で焦らないためにもきちんと目を通しておいてください。
ライティングの場合は、まず、冠詞を飛ばして次の名詞を書き、その名詞を見ながら、「これは a かな? the かな?」などと考えれば大丈夫です。
この「 a かな? the かな?」と考えるときは、以下のチャートのように、条件を一つ一つ消していきながら考えるのがいいでしょう。
また、スピーキングの際は、このチャートの「the」が「ザ」に近い発音 か、「ジ」に近い発音かという判断が入るだけです。
ただし、スピーキングができるようになると、チャート上に四角で囲んだ「特殊な表現・慣用句」の部分や、a / an / the の区別はマスターしていく場合が多くなります。
そうすると、チャートの最上部の「可算名詞か、不可算名詞か」という部分で悩む人が多くなります。
「可算名詞か、不可算名詞か」で悩んだ時には、先ほど述べた「『形のないもの』『形が定まらないもの』を表す名詞が不可算名詞になる」ということを思い出してください。
今から話そうとしている名詞について考えたとき、「形が明確にあるもの」なのか、「群れ、もしくは無形の液体など」なのかを考えましょう。
そして、「形が明確にあるな~」という場合は「a」、「群れだな~/液体だな~」という場合は「some」から名詞に続ける、という練習を重ねていきましょう。
これに慣れれば、冠詞のところで詰まらずに話せるようになるはずです。
4.英語の冠詞 a / an / the の練習問題
1 I bought ( ) red pencil,yesterday.[私は昨日赤い鉛筆を買った。]
2 ( ) hen laid ( ) egg.[雌鶏が卵を産んだ。]
3 She drunk ( ) cup of ( ) orange juice.[彼女はオレンジジュースを一杯飲んだ。]
4 This bench is made of ( ) wood.[このベンチは木で作られている。]
5 My grandfather loves ( ) his dog, Pochi. ( ) dog loves him,too.
[私の祖父は、飼い犬のぽちが大好きだ。その犬(ぽち)も彼(おじいさん)が大好きである。]
【答え】
1a
2a/an
3a/×
4×
5×/the
4. 英語の冠詞のまとめ
いかがでしたか?この記事では、英語の冠詞について説明しました。
冠詞をマスターすると、より正確なニュアンスを英語で表現することができるようになります!
この記事で冠詞について理解したら、練習問題を積み重ねて理解を深めてください。
⇒冠詞が接続する「名詞」の他にも様々な品詞があります。品詞について詳しく知りたい方はこちら!
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