英語の倒置法とは?倒置が起きる条件・使い方をわかりやすく解説!
主語と動詞が逆になる倒置。この記事では、英語の倒置法とは何か、なぜ倒置が起きるのかといった基礎についてわかりやすく解説します。
英語の授業で倒置法をあまり理解できなかった人は、ぜひこの記事を読んでマスターしてください。
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【目次】
1.英語の倒置法とは?
倒置法とは、一言でいうと、「文の中身の順番を入れ替えて、ある効果を発動すること」です。
「倒置」という言葉は「さかさまに置く」という意味で、倒置法では主語と述語をさかさまにします。
次の文を見てください。
「また雨が降ってきたよ」
① The rain comes here again.
主語 述語
② Here comes the rain again.
述語 主語
どちらも同じ意味ですが、②の文では「倒置法」が使われています。
①は基本的な語順〈主語〉+〈述語〉ですね。
これを②のように語順を入れ替えると、「降ってきた!」を強調する気持ちが表れます。
また、主語と動詞をさかさまに置く代わりに、主語の前に「do/did/does」などを置くタイプの倒置や、さらに「目立たせたい言葉を文の始めに置く」という倒置や、これらのうち2つを組み合わせた倒置もよく見られます。
また、さかさまに入れ替えることで発動する「ある効果」とは、多くの場合が強調や感情の高まりです。
普通とは違う語順にすることで、普段とは違う状況や感情を表しているのですね。
それでは、実際にどのような倒置の文があるのか、詳しく見ていきましょう!
2.英語で倒置が起きるのはなぜ
先述の通り、倒置を用いる一番の目的は「強調」です。
英語ばかりで考えないで、自分の普段の会話(日本語)を思い浮かべてみてください。
1)「いや、俺だよ、それ言ったの」
2)「牛丼な、今日買うのは」
3)「あったわ!あそこに郵便局」
いずれも「平叙文」ではなく、主語や述語の順番が入れ替わっている「倒置文」であるのはわかりますか。
英語も人の意志を伝える言語ですから、このように強調を伝えるための倒置文があるのは当然です。
例えば上の1)では、他の人物ではなく「俺」だということを強調していますね。平叙文で「俺がそれを言った」とするよりも「俺!俺!」感が強く伝わります。
「なぜ倒置を」のイメージはつかめましたか?
しかし英語の倒置法は、強調で倒置を使うほかに文法のルールによる倒置法もあります。日本語よりも種類が多いので、例文も覚えてパターンを頭に刻み込みましょう。
それでは、この「文法のルールによる倒置」について解説します。
3.【文法のルールによる倒置】5パターンを解説!
倒置法の多くは、普段の話し言葉では使われることの少ない格式ばった文語です。
そのため、古くからある言い回しがそのまま文法のルールとなったものもあります。
ここでは、文法のルールによる5つの倒置法を解説していきます。
3-1.So~、Neither~、Nor~の文の場合
前の文の内容に「~も」と付け加えるときや、会話で「私もそうよ!」等と賛同(否定の賛同も含む)をするとき、So〜、Neither〜、Nor〜等から始まる倒置の文を使うことがあります。
I’m seventeen years old.
So am I.
動詞 主語訳:「私は17歳よ」「私もよ」
◆平叙文では “I’m seventeen years old.”
“I’m seventeen years old,too.” となります。
Tom didn’t buy a new toy,and neither did Ken.
動詞 主語
訳:「トムはおもちゃを買わなかったし、ケンも買わなかった。」
◆平叙文では”Tom didn’t buy a toy,and Ken also didn’t.”となります。
So+(助)動詞+[主語]「[主語]もそうだ」
Neither / Nor+(助)動詞+[主語]「[主語]もそうではない」
※Neither とNorには大きな違いはありませんが、Norの方が少し口語的なニュアンスです。
仮定法のifが省略された場合
仮定法とは「もし〜なら(だったら)」を表す「if」を使う用法です。倒置を用いると、この「if」を省略して、「もし〜なら(だったら)」という表現ができます。
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Were I a bird,
動詞 主語
I would fly around the world.
訳:「もし私が鳥なら、世界中を飛び回るだろう。」
◆平叙文では”If I were a bird,I would fly around the world.”となります。
Had I studied harder,
助動詞 主語
I could have entered the university.
訳:「もし私がもっと勉強していたら、大学に入れただろう。」
◆平叙文では”If I had sutudied harder,I could have enter the university.”となります。
一見とても難しそうに思えますが、仮定法の基本の例文をしっかり復習すれば、簡単に解くことができますよ!
助動詞shouldを含む文の倒置
shouldを倒置法に使って「もし〜なら」「ひょっとして〜なら」という気持ちを表わします。
shouldは「〜するべき」の意味でなじんできた単語ですので、このような倒置法の用法は理解しづらい人もいるかもしれません。
まずは例文を丸ごと頭に入れて、このパターンに慣れましょう。
Should you see her someday,
助動詞 主語
give her my regards.
訳:「もしいつか彼女に会ったら、よろしく伝えてね」
◆平叙文では”If you should see her someday,give her my regards.”となります。
仮定法過去 were to を含む文の倒置
上記のshouldよりさらに難度アップになります。
“were to〜”は、「仮に〜するとしたら」という仮定法過去を表す際に使われます。
そしてこれもまた、倒置法の文にできるのです。
Were Nobunaga to return today,
助動詞 主語
he would be surprised at this sight.
訳:「仮に信長が現代に戻ってきたとしたら、この光景に驚くだろう」
◆平叙文では”If Nobunaga were to return today,he would be surprised at this sight.”となります。
混乱してきましたか?
“were to” が難しく感じても、まずは基本の「if省略・倒置法」を押さえておけば大丈夫です。
疑問文の場合
平叙文から疑問文へと変えるときは、主語とbe動詞、あるいは主語と助動詞を入れ替えるという倒置で成立します。
平叙文:He is a doctor.
主語 be動詞疑問文:Is he a doctor?
平叙文:She can speak Chinese.
主語 助動詞
疑問文:Can she speak Chinese?
このような疑問文も「倒置」の一種だったのです。
There構文の場合
There is~構文とは、There is~で始まる文です。
この構文が倒置とされる理由は、この文頭の「There」には意味がなく、「予備のthere」と呼ばれる存在で、「~」に入る名詞が、本来は主語の位置にあるべきだからなのです。
また、 “there”が「本当の主語」とならない理由は、 [there+be動詞] / [there+一般動詞] の形をとっていても、あくまでthereは形式上の主語であり、特に意味を持たないとされるからです。
・There is a pen on the desk.
本来の主語◆平叙文ではA pen is on the desk. となります。
主語
・There stands a church.
本来の主語
◆平叙文ではA church stands. となります。
主語
↑下の例文のように、isの部分に存在・行き来などの意味を持つ他の動詞(stand、live、comeなど)が入ることもあります。
感嘆文の場合
「感嘆」とは、感情が動いて褒めたり悲しんだりすることです。
感嘆文には2種類の形がありますが、どちらも[主語+形容詞 / 副詞]の順番が入れ替わって、[形容詞 / 副詞 を先に述べてから主語]の順番になります。
・What a wonderful story that is.
形容詞 主語
・How wonderful the story is.
形容詞 主語訳:「その話はなんて素晴らしいんだろう」◆平叙文では”The story is wonderful.”となります。
形容詞や副詞等を主語の前に出すと、「素晴らしい」「美しい」など、感動した様子が強調されるのです。
【強調のための倒置】5パターンを解説!
英語の協調のための倒置法は文の中で一番目立たせたい部分を文頭に持っていき、それによって主語と動詞の位置が入れ替わるパターンが多いです。
それでは、目立たせたい部分の種類に分けて見ていきましょう。
補語を強調したい場合
補語とは、英語の第2文型(S+V+C)で出てくる「C」のことです。
目的語と区別がつかない人も多く難しく考えがちですが、簡単な見分け方があります。
それは、「補語は動詞の働きによって主語=補語になるもの」ということです。
まず平叙文を見ましょう。
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[補語とは?]
〈例〉
・I kept calm.
主語 補語
訳:「私は冷静を保っていた。」
・The leaves turn red.
主語 補語
訳:「葉っぱは赤くなる。」
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この時補語を強調するために文の始めに移動させると、主語と動詞が入れ替わって倒置が起こります。
補語 動詞 主語
上の例の平叙文との順番の違いを確認してみてください。
もう少し長く複雑な倒置の文にも慣れましょう。次の例文も見てください。
・So beautiful became the girl that she married a prince.
補語 動詞 主語訳:「少女はとても美しく育ったので、王子と結婚したほどだった。」◆平叙文では The girl became so beautiful that she married a prince. となります。
ただし次の文のように主語が代名詞の場合は、補語を文頭に持ってきても倒置が起こりません。
補語 主語 動詞
上の[補語とは?]内の例文「平叙文」と比べて確認しましょう。
副詞(運動の方向や場所)を強調したい場合
運動の方向(down、out)などや場所(here、there)等を表す副詞を強調するために文頭に持ってくる倒置です。
・Down came the snow.
副詞 動詞 主語訳:「雪が降った。」◆平叙文では”The snow came down.”となります。
・Here comes the bus.
副詞 動詞 主語
訳:「ほら、バスが来るよ」
◆平叙文では”The bus comes (here).”となります。
しかし、以下のように主語が人称代名詞(I、he、they、weなど)の場合は、倒置は置きません。
副詞 主語 動詞訳:「彼女は外へ出た。」◆平叙文では”She went out.”となります。
・There he walks.
副詞 主語 動詞
訳:「ほら、彼が歩いているよ。」
◆平叙文では He walks there. となります。
目的語を強調したい場合
英語の目的語とは、第4文型(S+V+O)で出てくる「O」のことです。
目的語の見分け方は、日本語に訳すと「(目的語)を~する」というように、動詞の行動が影響するというものです。
動詞から手が生えて目的語に動作を加えているイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
=================
[目的語とは]
〈例〉
・I have a pen.
動詞 目的語
・She likes dogs.
動詞 目的語
=================
目的語も、強調するために文の始めに持って来る場合がありますが、普通は主語と動詞の位置はそのままです。
しかし、目的語に否定語が付いている場合は倒置が起こります。
・Not a single word did he say.
否定 目的語訳:「彼はたったの一言も話さなかった。」
比較級を強調したい場合
比較を表す形容詞が先頭にきたり、比較級thanの後に倒置が起こったりする場合があります。
倒置法を使う理由は、「もっと~なのですよ!」「もっとも〜なのです」など、何かとの比較をアピールするのが話のポイントにしたいからです。
では「比較を表す形容詞が先頭にくる」のはどのような場合なのか、まず日本語で状況を整理しましょう。
「もっと難しいのは平和的解決です。」
この文中の「もっと難しい」が比較級ですね。これを英語で、そして倒置法を用いた文は以下の通りです。・More difficult is a peaceful solution.
比較級 be動詞 主語◆平叙文では”A peaceful solution is more difficult.”となります。
「more difficult」から始めることで、他に難しい課題はあるが、平和的解決はそれよりも「もっと難しいのだ」と強調する意図が伝わります。
それでは次に、もう1つの「比較級thanの後に倒置が起こる場合」について解説します。
「この猫は私の猫より小さい」
「より小さい」が比較級ですね。これを英語で、そして倒置法を用いた文は以下の通りです。・This cat is smaller than is my cat.
比較級 be動詞 主語
↑
【than の後に倒置が起こっている】◆平叙文では”This cat is smaller than my cat is.”となります。
この場合の倒置は、強調のほかに英語の「クセ」・「性質」も理由になります。
英語では、意味を持たない語句(ここではis)が文の最後に来るのを避ける傾向にあります。
基本的に明確な意味を持つ言葉(ここではcat)で文を終えるために倒置法が用いられるのです。
否定を強調したい場合
英語で否定語や否定を含む節などを文頭に持ってきて強調するとき、動詞がbe動詞なら、主語とbe動詞の位置が入れ替わります。
・Not long was it before he found it.
否定語 be動詞 主語訳:彼がそれを見つけるまで長くはかからなかった(すぐに見つけた)。◆平叙文では”It was not long before he found it.”となります。
しかし動詞が一般動詞なら、助動詞が付いていれば「否定語+助動詞+一般動詞」。
一般動詞だけなら「否定語+Do / Does / Did+主語+一般動詞」の語順になります。
・Hardly had I got back when it began to rain.
否定語 助動詞 主語訳:「私が家に着いたとたん、雨が降り始めた。」◆平叙文では”I had hardly got back when it began to rain.”となります。
・Little did I know that he is my brother.
否定語 主語 動詞
訳:「彼が私の兄弟だとは少しも知らなかった。」
◆平叙文では I little knew that he is my brother. となります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
倒置法には多数のパターンがあり、完璧にマスターするのも容易ではないかもしれません。けれど実際の英語の会話では、手軽で使いやすいとされる面もあります。
苦手と感じる人は、短くて易しい例文を丸覚えするところから始めて自信をつけましょう。