【三次関数】極大・極小の求め方やグラフの書き方を解説
微分は現実の世界でも様々な分野に応用されています。むしろ、現実に利用されている理系の技術で、微分が応用されていない分野はほとんどありません。
通信においてはフーリエ変換を用いた畳み込みが使われていますし、デジタル回路ではラプラス変換をよく使います。
理系の学科に進むのであれば、微分積分は必ず出てきます。
この記事では、高校レベルの微分の基本から、微分を用いた三次関数の概形をグラフ化するなどの問題を解説します。
1.三次関数の基本①微分とは
三次関数の問題を解くために、まずは微分について復習しましょう。
「微分とはなにか」というと、難しいことを聞かれているように感じるかもしれません。
しかし、そう難しく考える必要はありません。
後で詳しく定義をしますが、「微分」という漢字をそのまま読めばよいのです。
「微」は微生物や微力というように「細かいさま」を表します。
「分」を訓読みすれば「分ける」ですね。
つまり微分とは(大雑把に言えば)「とても細かく分けること」です。
なぜ「とても細かく分けるのか」といえば、ものの様子を観測するのに役立つからです。
もっと言えば、全体の変化を観測するのではなく、その瞬間の変化を見るのに役立ちます。
細かい字が読めないとき(若い方は経験がないかもしれませんが)には、ルーペを使います。
それと同じで、細かい部分を見たいときには、微分を使うのです。
2.三次関数の基本②微分の定義
微分の定義は以下のようになっています。
関数 y=f(x) において、変数 x が a から b まで変化するときのことを考えます。
このとき変数 y の変化は f(a) から f(b) であり、
を変数 x が a から b まで変化するときの「平均変化率」といいます。
x の増加量を限りなく0に近づけたとき
を、関数 y=f(x) の x=a における微分係数といいます。
ここで、増加量に注目して、xの増加量=b-a=h とおくと、
となります。このとき、a の値が決まれば、f‘ (a) の値もただ一つに決まります。
ですので、f‘ (a) は a の関数であると言え、a を x に置き換えた
を、関数 f(x) の導関数と言います。(導関数についての記事はこちらもご覧ください。)
そして f(x) から導関数 f‘ (x) を求めることを、f(x) を x について微分すると言います。
y=f(x) の導関数は
などの記号が使われます。
3.三次関数の基本③微分の意味
ここから、いよいよ微分が三次関数のグラフを書くことに役立ってきます。
微分は「平均変化率を細かく分けたもの」でした。
関数の変化をとても細かい区間で考えると、「関数のその瞬間の傾き」を表すことになります。
この性質が関数の概形を知るのに役立ちます。
例えば、関数が正の傾きを持つときのことを考えましょう。
紙に右肩上がりの直線を書いてみてください。
それが、正の傾きをもつ直線です。
そしてその直線に接するように、曲線を描いてみてください。
どのような曲線を描いても、直線と接するときには「関数が増加」しているのではないでしょうか。
このように考えると、
導関数が正のとき →関数は増加している
導関数が負のとき →関数は減少している
であることがわかります。
二次関数の頂点のような、特徴的なポイントを調べれば、関数の概形を知ることができます。
4.三次関数の問題
実際に三次関数の問題を解いてみましょう。
問題 関数 f(x)=x3+3x2-9x+4 について以下の問いに答えよ
① 極値を調べ、増減表を書け。
② -1≦x≦2における最大値・最小値を求めよ。
解説
① 極値というのは「極大値」と「極小値」のことです。
極大(点)とは、「関数が増加から減少に変わる点」つまり「導関数の値が正から負に変わる点」であり、
極小(点)とは、「関数が減少から増加へ変わる点」つまり「導関数の値が負から正に変わる点」です。
例えば、下に凸の放物線における頂点を考えれば、関数が減少していたのが増加に変わる点であると言えます。
このような点が極小(点)であり、そのときの 座標の値を極小値と言います。
極大(点)や極小(点)では、接線の傾きが0になることがわかるでしょうか。
視覚的には放物線の頂点に接線を引けば、x軸と平行になっていることが分かります。
また数式ではf’ (x)=0となっていることからも明らかです。
ここで注意してほしいことがあります。
それは「極値ならば微分係数が0」であるのに対して「微分係数が0ならば極値をとる」とは限らないことです。
例えば、f(x)=x3はx=0にて微分係数が0となりますがその前後で導関数の正負が変化していないので極値となりません。
重要なのは「関数がどの値のときに増加、あるいは減少していて、その境目がどこか」がわかれば、グラフの概形がわかるということです。
そして、そのために増減表を書いたり導関数を求めるのです。
関数の挙動を調べるために、f(x) の導関数を求めます。
f’ (x)=3x2+6x-9
=3(x+3)(x-1)
ですので、f’ (x)=0 となる x=-3,1 が極値の候補です。
本当に極値になるかどうかは、増減表を書くまでわかりません。
では実際に増減表を書いてみましょう。
①f’ (x)=0 となる x の値を書き込みます。
x | …… | -3 | …… | 1 | …… |
f’ (x) | 0 | 0 | |||
f(x) |
②f‘ (x) の行に+か-を書き込みます。例えば、表の(*)であれば-3より小さい値を f‘ (x) に代入します。
f‘ (-4)=15>0 となり正の値ですので+を書き込みます。負の値なら-を書き込みます。
x |
…… |
-3 | …… | 1 | …… |
f’ (x) | +(*) | 0 | - | 0 | + |
f(x) |
③残った欄を埋めます。+の下には ↗ を、-の下には ↘ を書き込みf(-3) や f(1) を計算して書き込みます。
また、↗ から ↘ に変わっている欄には「極大」、↘ から ↗ に変わっている欄には「極小」と書き込みます。
x | …… | -3 | …… | 1 | …… |
f’ (x) | + | 0 | - | 0 | + |
f(x) | ↗ | 31(極大) | ↘ | -1(極小) | ↗ |
これで増減表は完成です。
増減表から以下のように極値がわかります。
x=-3 のとき極大値 31
x=1 のとき極小値 -1
② -1≦x≦2 という範囲が付きました。 この範囲の端点も増減表に付け加えます。
必要なのはオレンジ色の部分だけです。
この中で最大値・最小値を見ればよいので、求める答えは以下のようになります。
x=-1 のとき最大値 15
x=1 のとき最小値 -1
5.おわりに
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、微分の基本から三次関数の概形を求めるところまでを解説しました。
ご参考になれば幸いです。
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