相加相乗平均とは?公式・証明から使い方までが簡単に理解できます(練習問題付き)

高校数学における、相加相乗平均について、数学が苦手な生徒でも理解できるように解説します。
現役の早稲田生が相加相乗平均について丁寧に解説しています。
相加相乗平均は、数学の問題の途中で利用することが多く、知っていないと解けない問題もあったりします。
本記事では、一般的な相加相乗平均だけでなく、3つの変数における相加相乗平均や、使い方についても解説していきます。
相加相乗平均について充実の内容なので、ぜひ最後まで読んでください!
1:相加相乗平均とは?(公式)
まずは、相加相乗平均とは何か(公式)を解説します。
相加相乗平均とは、「2つの実数a、b(a>0、b>0)がある時、(a+b)/2≧√abが成り立ち、等号が成り立つのはa=bの時である」という公式のことをいいます。
※実数の意味がわからない人は、実数とは何かについて解説した記事をご覧ください。
また、(a+b)/2をaとbの相加平均といい、√abのことを相乗平均といいます。
以上が相加相乗平均とは何か(公式)についての解説です。
次の章では、相加相乗平均が成り立つ理由(証明)を解説します。
2:相加相乗平均の証明
では、相加相乗平均の証明を行っていきます。
a>0、b>0の時、
a+b-2√ab
=(√a)2-2・√a・√b+(√b)2
=(√a-√b)2≧0
よって、
a+b-2√ab≧0
となるので、両辺を整理して
(a+b)/2≧√ab となります。
また、等号は
(√a-√b)2=0
より、
√a=√b、すなわち
a=bの時に成り立ちます。
以上で相加相乗平均の証明ができました!
3:相加相乗平均の使い方
相加相乗平均はどんな場面・問題で使うのでしょうか?
本章では、例題を1つ使って、相加相乗平均の使い方をイメージして頂ければと思います。
使い方:例題
a>0とする。この時、a+1/2aの最小値を求めよ。
解答&解説
相加相乗平均より、
a+1/2a ≧ 2・√a・(1/2a)
です。
右辺を計算すると、
2・√a・(1/2a)
=√2
となるので、
a+1/2aの最小値は√2となります。
相加相乗平均の使い方がイメージできましたか?
今までは、aとbという2つの変数の相加相乗平均を解説してきました。
しかし、相加相乗平均は3つの変数でも活用できます。次の章からは、3つの変数の相加相乗平均を解説します。
4:変数が3つの相加相乗平均
変数が3つある場合の相加相乗平均は、「(a+b+c)/3≧(abc)1/3」となり、等号が成り立つのはa=b=cの時です。
ただし、a>0、b>0、c>0とする。
次の章では、変数が3つの相加相乗平均の証明を解説します。
5:変数が3つの相加相乗平均の証明
少し複雑な証明になりますが、頑張って理解してください!
まず、
x3+y3+z3-3xyz
=(x+y+z)(x2+y2+z2-xy-yz-zx)・・・①
です。ここで、x>0、y>0、z>0の時、①の右辺は、
x2+y2+z2-xy-yz-zx
=(2x2+2y2+2z2-2xy-2yz-2zx)/2
={(x-y)2+(y-z)2+(z-x)2}/2≧0
となります。よって、①より
x3+y3+z3-3xyz≧0となりますね。
式を変形して、
(x3+y3+z3)/3≧xyz・・・②
となります。
ここで、x=a1/3、y=b1/3、z=c1/3
とおくと、②は、
(a+b+c)/3≧(abc)1/3
となることがわかりました。
等号は、
x=y、y=z、z=xの時、すなわちa=b=cの時に成り立つことがわかります。
変数が3つの場合の相加相乗平均の証明は以上になります。
次の章では、相加相乗平均の問題をいくつか出題します。ぜひ解いてみてください!
6:相加相乗平均の問題
では、早速相加相乗平均の問題を解いていきましょう!
問題①
a>0、b>0とする。
この時、(b/a)+(a/b)≧2となることを証明せよ。
解答&解説
相加相乗平均より、
(b/a)+(a/b)≧2・√(b/a)・(a/b)
となるので、
(b/a)+(a/b)≧2
となります。よって示された。
問題②
a>0、b>0とする。
この時、ab+(9/ab)≧6となることを証明せよ。
解答&解説
相加相乗平均より、
ab+(9/ab)≧2・√ab・(9/ab)
となるので、
ab+(9/ab)≧6
となる。よって、示された。
問題③
a>0、b>0とする。
この時、(2a+b)(2/a+1/b)≧9となることを証明せよ。
解答&解説
まずは、
(2a+b)(2/a+2/b)≧9
の左辺を展開してみましょう。すると、
4+(2a/b)+(2b/a)+1≧9
となるので、
(2a/b)+(2b/a)≧4
より、両辺を2で割って、
(a/b)+(b/a)≧2
となります。すると、問題①と同じになりましたね。
相加相乗平均より、
(a/b)+(b/a)≧2・√(a/b)・(b/a)
なので、
(a/b)+(b/a)≧2
が証明されました。
まとめ
相加相乗平均の公式や使い方が理解できましたか?
相加相乗平均は高校数学で忘れがちな公式の1つです。
相加相乗平均を忘れてしまったときは、また本記事で相加相乗平均を復習しましょう!