二重根号とは?外し方は?例題を用いて詳しく解説!
今回は、二重根号の外し方について解説します。
根号を正しく理解することは、数学の計算をするうえで必須です。
根号に限らず、微分・積分でも三角関数でも、指数・対数でも、和の記号シグマの計算でも、やってよい計算とやってはいけない計算をきちんと理解しておくことが大切です。
特に根号は、単なる計算問題としても出題されることもあれば、文章題の計算途中に出てきたりし、非常に出題頻度の高いものです。
この記事では、そんな二重根号の解き方についてまとめます。
平方根についてのまとめ記事を読みたい方は「平方根関連記事まとめ〜有理化や二重根号を解説!〜」の記事を読んでみてください。
1.根号について!
二重根号について解説する前に、根号(ルート)についてしっかり復習しておきましょう。
※平方根についての記事はこちらをご覧ください。
根号の定義をはっきりと知らない受験生が意外と多いです。
数学は非常に覚えることが少ない科目です。しかし、覚えなくてはいけない(というよりもしっかり理解しておかないといけない)ことがあります。
それが「定義」です。
定義以外の公式は、定義から自然と導かれることが多く、それほど苦労しなくても覚えられます。
また、忘れてしまっても試験会場で作ってしまうこともできるのです。
さて、話がそれましたが、根号の定義についてです。
2の平方根と √2 が同じものだと思っていませんか。
もしそうであれば、根号の定義を勘違いしているかもしれません。
実数 a にたいして a の平方根とは、「二乗して a になるような数」のことです。
例えば、2を二乗すれば4になりますので、「2は4の平方根である」と言えます。
しかし、二乗して4になる数は2だけではありませんよね(これをよく忘れる人がいますので注意してください)。
-2も二乗すると4になるはずです。ですので、「実数4の平方根は2と-2である」と言えます。
では、√4 はどうでしょうか。
√aの定義は「二乗して a になるような数」ではなく、「二乗して a になるような数のうち正のもの」となっています。
つまり、「実数4の平方根は2と-2である」のにたいして、「 √4 は2のみ」です。
そのため、根号で以下の式が重要になるのです。
これは、根号の定義そのものを表す式です。
もしも絶対値を忘れて とすると、どうなるでしょうか。
というように、2 = -2 というおかしな式が出てきてしまいます。もちろんこれは間違っています。
どこが間違っているのかというと、
の部分です。
正しくは、
とならなければなりません。
これが平方根と根号の定義ですので、しっかりと理解しておきましょう。
とくに根号の中身に a などの文字が入ったときは要注意です。
つい、絶対値を付け忘れてしまう学生が多いので、慣れないうちは常に意識しておきましょう。
2.二重根号の外し方は?
それでは、二重根号の外し方について解説します。
平方根と根号について理解できたでしょうか。
二重根号に関する公式は2つだけです。しかも、すでに覚えた「展開の公式」と「根号の定義」が元になっているので、非常に簡単です。
二重根号の公式
a+b=p, ab=q (a>b>0)のとき
公式として覚えるなら上記の通りです。
二重根号の公式の説明
一見面倒そうに見えますが、理屈がわかれば覚える必要はありません。
例えば、
の二重根号を外すことを考えましょう。
公式の通りに考えるなら、足して15、かけて56になるような2つの数を探します。
これは7と8が考えられますので、二重根号を外すと以下のようになります。
ここでこの式を逆にたどってみます。
根号の定義から上の式が成り立ちますね。
このように根号の中身を計算すると元の式になります。
ですので、二重根号を外すということは、単に「展開の式を逆にたどっている」だけに過ぎないのです。
もとになる展開の公式は、中学生で一番初めに習った、二乗の公式です。
この両辺に根号を付けてみましょう。
左辺が二乗の根号になっているので根号を外して、
ここで、x=√a、y=√b とすると
二重根号の外し方の公式は
a+b=p, a×b=q (a>b>0)
というように文字を置いていましたね。
すると
となり、公式が導かれます。
こうして見ると、「二重根号の外し方の公式」という大層な言い方をしなくても「二乗の式を変形した」だけのものだということがわかりますね。
二重根号の中身が p-2√qと、2がついた形になっているのも、もとが二乗の展開だとわかれば、理由も見えてきます。
これは、
引き算のときには、a>b>0 とすることに特に気を付けてください。
で、例えば a=3, b=5 というようにbの方が大きい場合のことを考えましょう。
p=a+b, q=a×b
ですので、
となります。この式に違和感を覚えられるでしょうか。
左辺は負の数になります。右辺は根号ですから正の数です(根号の定義で申しました)。
この右辺と左辺が等号で結ばれるのは明らかにおかしいですよね。
このようなことにならないように、引き算のときには特に、大きい数字を前に置くように習慣をつけておきましょう。
3.【例題】二重根号を外す練習をしよう!
ともあれ、二重根号の計算問題をできるようにするには練習が一番です。
例題を用意しましたので、解いてみてください。
4.解答解説
それでは解答と解説を一つづつ見ていきましょう!
(1) 公式の通り、足して4、かけて3になるような2数を探します。
1と3が該当するので、答えは以下のようになります。
公式をあてはめたら、これ以上計算できないかどうかを必ず確認してください。
この場合には √1=1 ですので、この部分は直さないといけません。
√8=2√2などは特に忘れやすいので注意が必要です。
よって、
が答えです。
(2) これも、足して9、かけて14になるような2数を探します。
2と7が該当します。
が答えです。先も言ったように、必ず大きい方の数字を前に持ってくるように、習慣をつけておきましょう。あるいは
というように、根号の定義どおり、絶対値を付けて二重根号を外してから、絶対値を外すという手順でも正解を導くことができます。
(3) この問題では、√40 の前に2がついていません。公式ではこの部分に2が必要です。
2がついていなければ、作ってしまってください。
ここで、足して11、かけて10であるような2数を探して、
(4) (3)と同様、2をつくる問題です。(3)とは2をつくる方法が違います。
根号の中身の根号の係数が6ですので、
ここで、まだ計算できることに注意してください。
(5) この問題も2をつくる問題です。ただし、この問題では単純に2を捻出することができませんので、多少の強硬手段を使います。
となります。必ず分母の有理化を行ってください。分母分子に √2 をかけて
が答えとなります。
5.二重根号のまとめ
最後までご覧くださってありがとうございました。この記事では、二重根号の外し方についてまとめました。根号を正しく理解しておくことで、「ここの計算さえ合っていれば」という思いをする確率がずいぶん減ります。
数学では計算ミスは、ミスではありません。採点者は「わかっていてケアレスミスをした」のか、「わからなくて間違えている」のかを見分けることができないのです。
見分けられることもありますが、ミスをした分の点数を引かざるを得ません。ですので、テストでミスは出来ないのです。
しっかりマスターして、点数に結び付けましょう。
⇒平方根についてのまとめ記事を読みたい方は「平方根関連記事まとめ〜有理化や二重根号を解説!〜」の記事を読んでみてください。
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