そもそも位置ベクトルって何?基礎から丁寧に解説します!

数学 2022.12.25

今回は、位置ベクトルについて慶應大学に通っている筆者が詳しく解説していきたいと思います。

本記事を読めば、位置ベクトルの基本部分や内分などの公式についてしっかりと理解することができます!

数学が苦手だったり、ベクトルに苦手意識を持っている人でも理解できるように、練習問題を入れながらわかりやすく解説してあります。

また、位置ベクトルはベクトルの問題においてほぼ必ず使用される基礎の部分なのでとても重要です。

この記事を読んで、ぜひ位置ベクトルをマスターしてください!

⇒ベクトルの記事まとめはコチラ!

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※本記事では、編集上の都合のため、「ベクトル」の表記を以下のようにさせていただきます。(イラストは除く)ご了承ください

 

1:位置ベクトルとは?わかりやすく丁寧に解説!

この見出しでは、位置ベクトルとは何かについて丁寧に解説します!

位置ベクトルとは、原点を始点とするベクトルのことを指します。

また、ベクトルとは、方向を持つ量のことを指します。

このように言葉で定義されただけではわかりにくいと思うので、位置ベクトルを直感的に理解するために画像を用意しました!

その前にまず普通のベクトルについて理解しましょう!

上図の左側は、ただの線分OPです。

点Oを始点と考えると、線分OPのベクトルは上図の右側のようになります。

このように、大きさ方向が決まるだけでベクトルが出来上がります!

また、2つのベクトルの「大きさ」と「向き」が同じであれば、ベクトルが始まる点に関わらず、2つのベクトルは等しいと言えます。

以下に一例を挙げます。

上図では、ベクトルABと、ベクトルCDがありますよね?

この2つのベクトルの「大きさ」と「向き」が等しいとすると、ベクトルの始点が異なるけどベクトルABとベクトルCDは等しいベクトルと言えます。

以上がベクトルの基本となります。

では、この普通のベクトルと位置ベクトルの違いは何でしょうか?

先ほど言ったように、位置ベクトルとは原点Oを始点としたベクトルです。

平面上に任意の点Xを取ったとして、ベクトルOX(=ベクトルx)のことが位置ベクトルとなります。

位置ベクトルを定義することで平面上のあらゆる点を簡単に表すことができますね!

これで位置ベクトルの基本は終わりました!

次に、ベクトルの内分について説明していきます。

 

 

2:位置ベクトルの内分の求め方について

位置ベクトルの定義がわかったところで、次は線分の内分点の位置ベクトルについて説明していきます!

位置ベクトルの内分点とは、線分ABをm:nに内分した点Pのことです。

つまり、内分点Pは線分AB上にあり、AP:PB=m:nを満たす点ということになります。

これをわかりやすく表したのが下の図です。

イメージがわからづらい方は参考にしてみてください!

実際に上の図の例で考えると、線分ABをm:nで内分する点Pの位置ベクトルは下の公式により求められます。

【公式】
2点A(ベクトルa)B(ベクトルb)を結ぶ線分ABをm:nに内分する点Pの位置ベクトルを(ベクトルp)とすると     
のように表せます。

これがまず第一に覚えるべき内分点の位置ベクトルの公式です。

ここで、AP:BP=m:nの様に考え、比例の公式のように考えてもわかりやすいですよ!

とにかく、斜めにかける(たすき掛け)のように覚えておいてください。

内分点の位置ベクトルを求めろ、と言う問題だったらこの公式に当てはめるだけで答えが出てしまいます!

とっても簡単ですよね?

では、さっそく問題を解いていきましょう。

 

内分点の位置ベクトルの例題

2点A(ベクトルa),B(ベクトルb)とする線分ABについて辺ABを4:1に内分する点をPとした時、点Pの位置ベクトルを求めよ。

 

内分点の位置ベクトルの解答&解説

Pの位置ベクトルは、公式に代入することで、

となる。

(ベクトルp)=(ベクトルa)/5+4(ベクトルb)/5(答え)

このように公式に値を代入するだけで答えが出てきましたね!

 

 

3:位置ベクトルの外分の求め方について

位置ベクトルの内分もあれば、当然 位置ベクトルの外分もあるでしょう。

ということで、この章は位置ベクトルの外分について学んでいきます。

位置ベクトルの外分と聞いて少しつまずくかもしれませんが、実際は位置ベクトルの内分と考え方は変わりませんよ!

つまり、内分のnを-nと置き換えると考えても大丈夫です!

ベクトルの外分点とは、線分ABをm:nに外分した点Qのことです。

この時、点Qは線分ABの外側に存在しています。

つまり、外分点Qは半直線AB上にあり、AQ:BQ=m:nを満たす点ということになります。

イメージが湧きづらいかもしれないので、下の図を見て理解しましょう!

外分は内分よりもわかりづらいので上の図を見てイメージを頭に叩き込んでくださいね!

実際に上の図の例で考えると、線分ABをm:nで外分する点Qの位置ベクトルは下の公式により求められます。

【公式】
2点A(ベクトルa)B(ベクトルb)を結ぶ線分ABをm:nに外分する点Qの位置ベクトルを(ベクトルq)とすると  
のように表されます。(mとnの大小関係により下の二つの場合が考えられますが公式は同じです。)

 

上の図ではmとnの大小関係によって二つの図が出てきました。

ですが、どちらもqの位置によってm、nどちらか小さい方を「-」にするだけなので基本的な考え方は位置ベクトルの内分と同じです。

外分も内分と同様に、AQ:BQ=m:-nと考えると、比例の式と同様にできるのでわかりやすいですよ!

では例題を解いていきましょう。

 

外分点の位置ベクトルの例題

2点A(ベクトルa)B(ベクトルb)とする線分ABを4:1に外分する点をQとした時、点Qの位置ベクトルを求めよ。

 

外分点の位置ベクトルの解答&解説

各値を公式に代入して、

となる。

=-(ベクトルa)/3+4(ベクトルb)/3(答え)

マイナスが入ってくる外分の問題では符号のミスが起こりやすいので注意しましょうね。

 

4:三角形の重心の位置ベクトルとは?

次に、三角形の重心の位置ベクトルについて解説していきます!

いままでは2点でしたが、次は3点で求めていきます。ちなみに、重心とは三辺AB,BC,CAの中線の交点を示しています。

3点A(ベクトルa),B(ベクトルb),C(ベクトルc)を頂点とする△ABCの重心Gの位置ベクトルを(ベクトルg)として

(ベクトルg)=1/3{(ベクトルp)+(ベクトルq)+(ベクトルr)}

となります。

*点Mを線分BCの中点とした時△ABCの重心Gは中線AMを2:1に内分する。(重要な性質です!)

 

三角形の重心の位置ベクトルの例題

3点 (ベクトルp)=3(ベクトルa)+2(ベクトルb)

(ベクトルq)=(ベクトルb)+2(ベクトルc)

(ベクトルr)=(ベクトルa)+(ベクトルc)

とする3点の重心Gを求めよ。

 

三角形の重心の位置ベクトルの解答&解説

公式に当てはめて考えましょう。

(ベクトルg)=1/3{(ベクトルp)+(ベクトルq)+(ベクトルr)}

より、

(ベクトルg)=1/3{(3(ベクトルa)+2(ベクトルb))+((ベクトルb)+2(ベクトルc))+((ベクトルa)+(ベクトルc))}

(ベクトルg)=4(ベクトルa)/3+3(ベクトルb)/3+3(ベクトルc)/3

=4(ベクトルa)/3+(ベクトルb)+(ベクトルc)(答え)

重心についても、3点の位置ベクトルさえわかっていれば、その値を代入するだけなので公式をしっかりと覚えましょう!

 

 

5:位置ベクトルまとめ&練習問題

では最後にこれまでの総復習として位置ベクトルや内分に関する練習問題を解いていきましょう。

少々応用しないといけませんが、これまでの基本ができていれば応用も効きます。

公式をフル活用して、最後まで頑張って解いて位置ベクトルをマスターしましょう!

 

位置ベクトルの総復習問題

3点A(ベクトルa),B(ベクトルb),C(ベクトルc)を頂点とする△ABCにおいて、辺ABを1:2に内分する点をP、辺BCを1:3に外分する点をQ、辺CAを3:1に内分する点をRとし、△PQRの重心をGとする。次のベクトルを(ベクトルa),(ベクトルb),(ベクトルc)で表せ。

(1)点P,Q,Rの位置ベクトル

(2)(ベクトルPQ)

(3)点Gの位置ベクトル

 

位置ベクトルの総復習問題の解答&解説

今回の問題文から得られた情報を元にすると下のような三角形になります。

視覚的に考えることも重要なので、位置ベクトルに限らず図形問題を解く際はまず、下のような図を描きましょう

点の取り方によって三角形の形は変わってくるので、位置関係が正確に描けていればOKです!(※下の図の比率などは厳密ではありません)

それでは上の図を参考にしながら実際に問題を解いていきましょう!

 

このように内分点、外分点の位置ベクトルは端点の位置ベクトルがわかっていれば簡単に求められます!

 

解答(2)

(ベクトルPQ)はベクトルの分割を使います。

ベクトルの分割とは、(ベクトルPQ)=(ベクトルOQ)-(ベクトルOP)

*この時の点Oは原点です。求めたいベクトルの(後ろ)-(前)と覚えて下さい。

この考え方はベクトルの問題で非常によく使います!

したがって、

(ベクトルPQ)=(ベクトルq)-(ベクトルp)

となります。

特にベクトルでは(1)で求めた結果を次の問題で使っていくことが多いので、慎重に計算を進めましょう。

 

のようになります。

重心の計算は項が3つも出てくるので煩雑になります。

ベクトルごとにまとめるなどして、ミスのない計算を心がけましょう!

 

まとめ

以上、位置ベクトルやその内分などについて説明してきましたが、いかがでしたか?

位置ベクトルの公式は覚えれば簡単ですが、活用していくのはなかなか時間がかかると思います。

ですが、公式さえ覚えていれば解ける問題も多いですよ!

入試問題などではこれらの公式を駆使して複雑な問題を解いていくことになります。

ぜひ色々な問題にチャレンジして位置ベクトルをマスターしてください!

 

⇒ベクトルについての記事をまとめて見たい方は、「ベクトル関連記事まとめ!〜ベクトル公式からベクトル内積、媒介変数表示〜」の記事を読んでみてください。

 

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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