三角形の傍心とは?定義や内心との違いについて解説!

数学 2023.10.2
三角形の傍心とは?定義や内心との違いについて解説!

三角形に関する点の中で、「五心」と呼ばれる点があります。これらは互いに異なっており、まとめて理解をしておく必要があります。
その中でもとくにわかりづらく、扱われる頻度も低いのが「傍心」です。
そこで今回は傍心の定義や性質について紹介します。

三角形の傍心は、テストでも登場しますが、他の三角形の五心との整理がつかずに苦手である人も少なくありません。
傍心の定義や性質、またそれに関する問題に慣れておきましょう。

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    1.傍心とは【角の二等分線の交点】

    三角形の「傍心」とは、三角形の1つの内角の二等分線と、他の2つの外角のそれぞれの二等分線との交点と定められています。

    傍心は、「三角形の五心」についてと呼ばれるものの一つです。この章では、傍心と合わせて知っておきたい知識を確認していきます。間違いやすい内容も含まれるので、注意深く読み進めてください!

    1-1.傍接円:傍心を中心とした円

    傍心と合わせて、傍心を中心とした円である傍接円というものがあります。

    △ABCの各辺を延長させたとき、1本の辺と2本の辺の延長線の3本の線とで同時に接する円が3個存在します(上の図の3つの赤い円)。これらの円を△ABCの傍接円と呼び、その中心を傍心といいます。傍心と傍接円は強いつながりがあることを確認しておきましょう。

    1-2.三角形の五心の種類(まとめ)

    三角形の五心とは、「重心・外心・内心・垂心・傍心」の5つの総称です。
    それぞれの定義を簡単にまとめているので、混同しないよう必ず確認してください。

    なお、三角形の五心について、「傍心以外も詳しく知りたい!」という方は、こちらの記事をご覧ください!

      2.前提:傍心の存在証明

      前の章で、傍心の定義について確認しました。そこで、傍心について話を進める前に、
      傍心はどの三角形にも傍心は存在する」ということを確認しておきましょう。

      以下に、全ての三角形に対して必ず傍心が存在することの証明を示します。
      ※この証明のポイントは、「2つの外角の二等分線の交点が、1つの内角の二等分線上にある」ことを説明することです。では、少し複雑ですが証明をしていきましょう。

      《傍心が存在することの証明》

      Bの外角の二等分線と、Cの外角の二等分線の交点をJとします。

      この点JがAの二等分線上にあれば、どのような三角形の場合でも傍心が存在することがいえます。

      次に、この点Jから直線BC、CA、ABに垂線を降ろして交わる点をそれぞれD、E、Fとします。

      △JBFと△JBDにおいて
      JB=JB(共通)
      ∠JFB=∠JDB=90°
      ∠JBF=∠JBD(角の二等分より)
      斜辺と他の1角が等しいので△JBF≡△JBD(直角三角形の合同条件)
      よって、JF=JD
      同様に△JDC≡△JECとなり、JD=JE
      したがって、JF=JE

      続いて、△AJFと△AJEに注目してみましょう。

      △AJFと△AJEにおいて
      AJ=AJ(共通)
      ∠AFJ=∠AEJ=90°
      FJ=JE<
      斜辺と他の1辺が等しいので、△AJF≡△AJE
      したがって、∠FAJ=∠EAJ

      このことから、点Jは∠Aの二等分線上にあることがいえます。ゆえに点Jは三角形ABCの傍心であるといえます。

      少し長かったですが、どの三角形にも傍心が存在することが理解できたでしょうか。
      これと同様に、AとCの外角の二等分線の交点が、Bの二等分線上にあることと、AとBの外角の二等分線の交点が、Cの二等分線上にあることも示されるため、△ABCには3つの傍心が存在することが言えます!

      3.内心と傍心の違い

      ここまで読み進める中で、「傍心と内心って意外と似ているんじゃない?」と感じた人もいるのではないでしょうか。

      傍心は角の二等分線によって決定づけられる点ですが、それは内心に通じる考え方でもあります。では、内心と傍心の何が似ているのか・何が違うのかを簡単に確認しておきましょう。

      3-1. 内心は3つの内角の二等分線の交点

      内心と傍心の違いは、どの場所の角の二等分をするのかの違いにあります。

      内心…3つの内角の二等分線の交点。内接円の中心。
      傍心…1つの内角の二等分線と、他の2つの外角の二等分線との交点。傍接円の中心。

      3-2. 三角形に対する点の位置で見極めが可能

      内心と傍心の類似点

      ・角の二等分線の交点で求められる
      ・内接円も傍接円も、三角形の3つの辺またはその延長線に接している

      内心と傍心の相違点

      ・内心は△ABCの内部にあるが、傍心は外部にある
      ・1つの三角形に対して、内心は1つしかないが、傍心は3つある

      似たような性質を持つ両者ですが、「内心は三角形の内側に・傍心は三角形の外側に」という点をおさえて、つぎのステップに移りましょう。

        4.傍心にまつわる定理を2つ紹介

        傍心に関連した定理について2つ紹介します。それを理解して、傍心についての知識を深めていきましょう。

        4-1. 【定理1】傍接円の半径・三角形の面積の半径

        頂点Aに対する傍心をI(A)とします。△ABCの面積をSとすると、

        ここで、△ABI(A)に注目してみましょう。

        頂点Aに対する傍接円の半径をr(A)とすると、面積は

        同様に、△ACI(A)に注目してみましょう。

        このときの面積は、

        また、△BCI(A)に注目してみましょう。

        この時の面積は、

        したがって、△ABCの面積Sは、

        となることがわかりますね。

        ここでのポイントは、「傍接円の半径と、三角形の各辺の長さがわかれば、三角形の面積が求まる」というものです。
        大切な考え方なので、よく確認しておきましょう。

        4-2.【定理2】三角形の頂点と傍接円の接点の距離

        続いて、三角形の頂点と傍接円がどのようなかかわりを持っているのか見ていきます。
        次の図を見てください。

        この時、

        となります。これを証明します。

        《証明》

        ここでのポイントは、「点Aと傍接円の接点の距離は、三角形の各辺の和の半分」というものです。こちらも確認しておきましょう。

          5.傍心を使った練習問題

          傍心にもさまざまな性質があることがわかりました。ここまでついてこれましたか?

          最後に、傍心の性質にまつわる問題をいくつか紹介します。ここまでの内容を踏まえて、よく考えてみてください。

          《問題1》

          AB=5,BC=3,CA=4である直角三角形ABCに対して、傍接円I(A)の半径の長さrを求めよ。

          《解答・解説》
          答え:2

          傍接円の半径と、面積と絡めた公式を利用します。

          まず△ABCの面積、すなわちSは
          1/2 ×3×4=6とすぐにわかります。

          あとは上の公式に当てはめて

          となり、答えは2となります。

          《問題2》

          下の図で、点Jは△ABCの傍心である。∠A<=50°のとき、xの大きさを求めよ。

          《解答・解説》
          答え:x=65°

          傍心が出た時は、外角の二等分線の存在を意識しましょう。図より、BとCの外角の二等分線の交点がJとなっています。そこで、辺ABと辺ACの延長線を引き、B、Cの外角を二等分した角をそれぞれおきます。

          ∠JBC=●、∠JCB=○とおく
          △JBCにおいて、x+●+○=180°
          よって、●+○=180°ーx ……①
          また、
          ∠ABC=180°-2●
          ∠ACB=180°-2○

          △ABCにおいて
          50°+(180°-2●)+(180°-2○)=180°
          2(●+○)=230°
          ●+○=115°

          ①より、180°-x=115°
          x=65°

            まとめ

            いかがだったでしょうか。

            傍接円はもとの三角形の3本の辺およびその延長線のすべてと接するため、内接円と混同しやすい面があります。内心と傍心の性質が似ており、出てくる公式も似ていますので、間違わないように注意して使いましょう。三角形の基本的な性質である五心は、非常によく取り扱われるので、細かいところまで性質を理解して、スムーズに問題を解けるようにしておきましょう。

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            この記事の執筆者

            ニックネーム:受験のミカタ編集部

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