円柱・円錐・球の表面積の求め方と公式
表面積とは、立体の表面の面積のことです。
公式を覚えてさえいれば簡単ですが、その公式が覚えられないという方も多いでしょう。
この記事では、そんな表面積についてまとめます。
※以下の目次の項目を押すと、直接、説明に飛ぶことができます。
他の図形の表面積・体積の求め方を学びたい方は「 体積・表面積まとめ記事〜いろいろな図形の求め方を一気に学べる!〜」の記事も合わせてお読みください。
1.表面積とは
表面積は立体図形の表面の面積です。
立方体であれば6つの面がありますので、その6面の面積をすべて加えたものが、表面積です。
表面積は、立体図形について考えますが、
面積ですので単位は平方メートル[ m2 ] や平方センチメートル[ cm2 ]などです。
体積とは違う概念ですので、しっかり区別しておいてください。
体積は空間において、その物体がどれだけの部分を占めるかという量です。
例えば1本のリンゴをイメージしましょう。
リンゴをどれだけ細かく切ったところで、食べられるリンゴの量は変わりませんね。
ですが、こまかく切れば切るほどリンゴが空気に触れる部分は大きくなります。
つまり、細かく刻んでも体積は変わりませんが、表面積は変化します。
先に出した肺胞の例でも、体に収まるだけの器官において空気の循環効率を良くするように進化した結果です。
体積を求めるためには、液体ならメスシリンダーのメモリを読むことで測定します。
また、古代ギリシャのアルキメデスが考案した方法は、現代でもよく用いられます。
体積は空間上を占める大きさを表しますので、その物体を水に沈めて、増加した液体の量を測定することで、体積を測定することができます。
このように測定できる体積にたいして、表面積の測定は困難です。
表面積も体積も、一般的には高校数学Ⅱや高校数学Ⅲで習う、積分を使って求めます。
しかし、球や柱や錐など対称性の高い図形に関しては、積分をしなくても簡単に求められますので、公式化されています。
公式化されている立体の表面積や体積については、しっかり覚えておきましょう。
2.柱体と角柱の体積・表面積
2つの合同な平面図形を底面として持つような空間図形を、柱体と言います。
柱体の名前は、その底面の形によってつけられていて、例えば底面が円なら円柱、底面が三角形なら三角柱、底面が四角形なら四角柱といいます。
柱体を置いたときに地面に接する面を底面と言いますが、このときに底面と平行になる上の面も、底面と言います。
柱体の2つの底面は平行になっていて、底面でない面を側面といいます。
柱体は大きく分けて2種類あり、底面と側面が垂直に交わっているような柱体を「直柱」、そうでない柱体を「斜柱」といいます。
とくに底面が多角形であるような柱体を「角柱」といい、側面が底面と直交する長方形から構成される角柱を「直角柱」といい、側面が底面と斜交する平行四辺形であるような角柱を「斜角柱」といいます。
底面が正多角形の角柱を正角柱、底面も側面も正多角形である(側面は正方形になります)角柱をアルキメデスの正角柱といいます。
2つの底面同士の距離を、柱体の高さといいます。
柱体の体積を求めるには、
柱体の体積=底面の面積(底面積)×高さ
でもとめることができます。
柱体の表面積は、直柱なら簡単に求められますが、斜柱なら場合によっては非常に困難です。
3.円柱の体積と表面積
円柱とは(数学的な厳密な定義は別として)、まっすぐに立っている電柱を水平に輪切りにしたような図形です。
まっすぐに立っているような円柱を直円柱、それ以外を斜円柱といいますが、中学・高校で出てくる円柱のほとんどは直円柱です。
体積はともかく、斜円柱の表面積を求めるのは、一筋縄ではいかないので、ここでは割愛します。
一方、直円柱の体積と表面積は簡単に求めることができます。
直柱の展開図を考えると、側面が長方形になっていて、その上下に底辺の円がついています。
この面積を求めればよいことになります。
底面の面積は、円の面積の公式から簡単に求めることができますね。
側面の長方形の円と接している辺の長さは、底面の円の円周の長さに一致します。
ですから、側面の面積は、底面の円周の長さ×円柱の高さでもとめられます。
底面の円の半径r、高さがhの直円柱において、
体積は
πr2×h
表面積は
πr2×2+2πr×h
となります。
無理やり公式化しましたが、いちいち覚える必要はありません。
どうやって求めるかだけ、知っておきましょう。
4.円錐の体積と表面積
錐体は空間上の1点から伸びる直線によって形作られる立体図形です。
このとき、最初にとった1点のことを頂点といい、頂点から底面に下した垂線の長さを錐体の高さ、底面以外の面を側面と言います。
柱体と同じく、底面の形によって錐体の名前が決まっていて、底面が円のときは円錐、底面が三角形のときは三角錐、底面が四角形のときは四角錐と呼びます。
錐体にも柱体にも言えることですが、表面積を考えるときには、その図形の展開図を考えましょう。
三角錐の展開図を考えると、4つの三角形で構成されているので、それぞれの三角形の面積を足せばよいことになります。
錐体の体積は、同じ底面の柱体の 1/3 になりますので、これは覚えておきましょう。
円錐の表面積に関しても、展開図を考えましょう。円錐の底面は円ですので、円の面積の公式から求められます。
円錐の側面は扇形になります。
この扇形の面積を求めます。
扇形の中心角が問題で与えられている場合は簡単です。
高さがh、底面の半径r、側面の扇形の半径(母線といいます)m、中心核a°であるような円錐において、
体積は
1/3 πhr2
表面積は
πr2+πm2×a/360
となります。
問題によっては、扇形の中心角が与えられない場合があります。
つまり、「底面の半径r、母線の長さmであるような円錐の表面積を求めよ」というような問題です。
実はこれでも表面積を求められます。
高校数学Ⅱで弧度法を習ったときに、中心角と円周の長さの関係を学習しました。
半径rの円の円周の長さは 2πr です。
一周は 360°=2π ですので、角度が 2π で円周が 2πr であることになります。
ですから角度が θ の扇形の弧の長さは rθ であることになります。
ここで底面の半径r、母線の長さm、側面の扇形の中心角 θ の円錐の展開図を考えましょう。
扇形の弧の長さと、底面の円の円周の長さが一致しますので、
ですから、扇形の面積は
となります。
求める円錐の表面積は
となります。
5.球の体積と表面積
半径rの球の体積Vと表面積Sの公式は、
となります。
6.表面積のまとめ
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、円柱・円錐・球の体積と表面積についてまとめました。
球の表面積や体積は使う機会が少なく、忘れてしまうこともあるかと思います。
もしも試験会場でどうしても必要で、時間があれば、積分を用いて導出することができます。
そちらも一度求めておいてもよいでしょう。