単位ベクトルとは?平行・垂直な単位ベクトルの例題と解法を紹介

数学 2021.8.13
単位ベクトルとは?平行・垂直な単位ベクトルの例題と解法を紹介

この記事では単位ベクトルという概念の意味や、その求め方、単位ベクトルの持つ性質について解説します。

単位ベクトルは難しい概念ではありませんが、力学や電磁気学分野で多用され、受験にも当然必要です。

例題を交えつつ解説していきますので、この機会に是非「単位ベクトル」をマスターしてみましょう。

ベクトル全体について詳しく学びたい方は「ベクトル関連記事まとめ!〜ベクトル公式からベクトル内積、媒介変数表示〜」も読んでみてください。

    1.単位ベクトルとは?

    単位ベクトルとは「大きさが1のベクトル」を指します。「絶対値が1」と言い換えても構いません。

    絶対値記号を用いて数式で表すならば、単位ベクトルとは、|\overrightarrow{e}|=1となるベクトル \overrightarrow{e}です。

    対象とするベクトルが単位ベクトルかどうかを知りたければ、大きさを調べるとよいでしょう。

    例えば\overrightarrow{u} = (1/2, -√3/2)というベクトルは単位ベクトルでしょうか?

    \overrightarrow{u}の絶対値を調べてみると、

    単位ベクトルの確認

    となり、絶対値が 1なので、\overrightarrow{u}は単位ベクトルであることが分かります。

    ①単位ベクトルの求め方

    とあるベクトル\overrightarrow{A}と同じ向きの単位ベクトル\overrightarrow{e}はどのように求めればよいでしょうか?

    「同じ向き」ということは\overrightarrow{A}の向きは変えずに大きさだけを変化させて、大きさ1のベクトル(単位ベクトル)を作りたい、ということです。

    大きさだけを変えたい場合は、元のベクトルに「スカラー」を掛けます。ベクトルが向きと大きさをもつ量であるのに対して、スカラーは大きさだけを持つ数字のことです。つまり、一般的な1,2などの数字はスカラーです。

    大きさを 2倍にしたければ、スカラー「2」を掛ける。大きさを半分にしたければ「1/2」を掛けることで目的のベクトルを得られます。

    今回求めたい「大きさ 1 のベクトル \overrightarrow{e} 」は、\overrightarrow{A} を「\overrightarrow{A} の大きさ |\overrightarrow{A}| 」で割ってあげれば得られます。ここで、「 \overrightarrow{A}の大きさ |\overrightarrow{A}| 」は向きを持たないのでスカラーです。 

    よって\overrightarrow{A}と向きが同じ単位ベクトルは

    単位ベクトルの定義

    でもとめられます。

    ②単位ベクトルの極座標表示

    一般に、位置ベクトル\overrightarrow{P} を極座標形式にすると、以下のように表されます。

    位置ベクトルの極座標表示

    ここで r は原点からの距離、θ  はx軸と\overrightarrow{P} のなす角です。つまり、r は\overrightarrow{P} の大きさを表すスカラーであると言えます。

    単位ベクトル\overrightarrow{e} とは大きさ1、則ち r=1 のベクトルのことです。よって単位ベクトルを曲座標形式で表すと

    単位ベクトルの極座標表示

    単位円と単位ベクトル

    極座標形式で表示すると、終点が単位円(半径1の円)周上にある位置ベクトルはすべて単位ベクトルになっていることが良く分かります。

    ③単位ベクトルの性質

    「任意のベクトル \overrightarrow{b}」と「単位ベクトル \overrightarrow{e}」 の内積は「ベクトル \overrightarrow{b} の \overrightarrow{e} の上への正射影ベクトルの大きさ」となっています。

    文字だけだと分かりづらいので、上記のことについて図を踏まえて解説します。

    そもそも射影とは、ある物体に対して光を当てたときにできる影のことを言います。 

    その一種である、正射影ベクトルは、あるベクトルに対して、スクリーンに垂直な光を当てた場合にスクリーン上にできる影となるベクトルのことです。

    ここで、ある正射影ベクトル(\overrightarrow{p} )を求めるため、物体としてあるベクトル(\overrightarrow{b} )、また光を当てたときにできる影を映し出すスクリーン上にあるベクトル( \overrightarrow{a} )の二つを考えます。

    正射影ベクトル

    上の図を見ると、\overrightarrow{b} に対し上から垂直に光を当てたときに\overrightarrow{a} を含むスクリーン上に映るベクトルが\overrightarrow{p} であることは視覚的に理解できるはずです。よって\overrightarrow{b} \overrightarrow{a} の上への正射影ベクトルが\overrightarrow{p} ということになります。

     

    ここで、正射影ベクトルの大きさは、\overrightarrow{a} ,\overrightarrow{b} の内積と、 |\overrightarrow{a}| (\overrightarrow{a}の大きさ)を用いて,

    正射影ベクトルの大きさ

    と表すことがでます。

    証明は簡潔にできます。

    以下のように \overrightarrow{b}  \overrightarrow{a} 上に平行移動してきた場合を考えてください。\overrightarrow{a} \overrightarrow{b} のなす角を\theta とします。

    正射影ベクトルの証明

    まず内積の公式より

    内積の公式

    ここで、

    cosθを用いた正射影ベクトルの表現

    (cosθ0未満の場合は符号を逆にするため-をつける)

    よって

    内積の公式の式変形

    これより

    正射影ベクトルの大きさの解

    以上で示されました。

    ここで、最初に述べた

    「ベクトル\overrightarrow{b}  \overrightarrow{e}  の上への正射影ベクトルの大きさ」について改めて考えます。

    先程の公式の\overrightarrow{a}  の部分を単位ベクトル\overrightarrow{e}  に置き換えれば良いので、正射影ベクトル\overrightarrow{p}  の大きさは、

    単位ベクトルに置き換えた正射影ベクトルの大きさ

    ここで、

    単位ベクトルの大きさ

    なので、

    単位ベクトルに置き換えた正射影ベクトルの大きさの解

    よって、確かに正射影ベクトルの大きさ |\overrightarrow{p}| は任意のベクトル\overrightarrow{b} と単位ベクトル\overrightarrow{e} の内積に等しいことがわかります。ただし、右辺の符号が – になるのは、\overrightarrow{b} \overrightarrow{e} の間の角θについて、 cosθ<=0の時、つまり 90°<=θ<=270° の時です。

      2.例題:平行で同じ大きさのベクトル

      例題1\overrightarrow{A} = (2,2) に平行で\overrightarrow{B} = (3,4)と同じ大きさのベクトル\overrightarrow{C} を求めよ。

      <解説>

      例題1 において、ベクトル\overrightarrow{C} は、\overrightarrow{A} によってベクトルの向きを、\overrightarrow{B} によってベクトルの大きさを決められています。

      \overrightarrow{A} と同じ向きの単位ベクトル\overrightarrow{e} を求めると、計算が容易です。例題1のAベクトルを単位ベクトルに変換

      \overrightarrow{e} に\overrightarrow{B} の大きさを掛けたものが\overrightarrow{C} です。

      Cベクトルを求める式

      ここで注意すべきは、平行なベクトルは逆方向も含めて2つ存在するということです。答えは以下となります。

      例題1のCベクトルの解

      3.例題:垂直な単位ベクトル

      例題2\overrightarrow{A} = (√6 – √2, √6 +√2)に垂直な単位ベクトル \overrightarrow{B}を求めよ。
      <解説>

      垂直なベクトル(法線ベクトル)を求める方法は様々ですが、最も簡単な方法はベクトルの内積を使うことです。垂直なベクトル同士の内積は 0 になります。 

      \overrightarrow{A} に垂直なベクトルを\overrightarrow{C} = (1, y) と置き、垂直なベクトルをとりあえず 1つ見つけましょう。

      例題2の垂直なベクトルを求める式

      よって、例題2 Cベクトル です。\overrightarrow{C}  は単位ベクトルではないので\overrightarrow{C} の絶対値で割って、単位ベクトルを求めます。

      例題2 式変形

      ここでは、ベクトル\overrightarrow{C} の大きさを求めるために二重根号を外す必要があります。

      二重根号の外し方は「二重根号とは?外し方は?例題を用いて詳しく解説!」をご参照ください。

      最後に、垂直なベクトルも 2つ存在することを忘れないように注意しましょう。求めるベクトル\overrightarrow{B} は以下のようになります。

      例題2のBベクトルの解答

        まとめ

        ご覧頂きありがとうございました。

        単位ベクトルは「大きさが 1 のベクトル」という大変簡単な概念ですが、大学受験用の数学だけでなく、力学や電磁気学、結晶工学など様々な場面で用いられる重要な概念です。忘れた頃に出てきて、役に立つことでしょう。 

        単位ベクトルの内積、単位ベクトルの極座標表示など、単位ベクトルの持つ性質をしっかり理解して、単位ベクトルを使いこなして頂ければ幸いです。

        単位ベクトルについて分からなくなったときには、この記事で復習してみてください。

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        この記事の執筆者

        ニックネーム:受験のミカタ編集部

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