【ベクトルの外積】例題・公式の覚え方・内積との関係をわかりやすく解説!

数学 2021.9.2
【ベクトルの外積】例題・公式の覚え方・内積との関係をわかりやすく解説!

高校数学における、ベクトルの外積について、スマホでも見やすいイラストも使って、丁寧に解説していきます。

本記事を読めば、たとえ数学の苦手な方でも、ベクトルの外積について、理解を深めることができるでしょう。

例題も交えながら、ベクトルの外積について解説しているので、わかりやすい内容となっています。

ぜひ、最後まで読んで、ベクトルの外積について、マスターしましょう。

※本記事では、編集上の都合のため、「ベクトル」の表記を以下のようにさせていただきます。(イラストは除く)ご了承ください。

ベクトルの表記について

⇒ベクトルの記事まとめはコチラ!

    1.ベクトルの外積とは(意味・公式・求め方)

    まずはベクトルの外積の意味・公式・求め方から確認していきましょう。

    0ベクトルではない、2つのベクトル、aベクトルとbベクトルのなす角をθとします。

    ベクトルの外積は、「aベクトル×bベクトル」と表されます。

    内積が「スカラー量」になるのに対して、外積は「ベクトル量」になります。

    そのため、得られる答えには、「大きさ」だけでなく「向き」が含まれます。

    まず、aベクトルとbベクトルの外積の「大きさ」は、何を表しているのでしょうか?

    それは、aベクトルとbベクトルによって、形成される平行四辺形の面積です。

    つまり、|aベクトル||bベクトル||sinθ|と計算されます。

    平行四辺形の面積

    次に、aベクトルとbベクトルの外積の「向き」は、どの方向を指しているのでしょうか?
    それは、両方のベクトルに垂直な方向です。

    しかし、疑問がわいた方もおられると思います。
    そうです、ここで、aベクトルとbベクトルの、両方のベクトルに垂直なベクトルは、2方向あるからです。

    ベクトルの外積は、「右ネジの方向の」垂直方向を向くものと、定義されています。
    これは、aベクトルからbベクトルへと親指以外の指を巻いていくときの、親指の方向を指します。

    右ネジの方向

     

    以上のことをまとめると、aベクトルとbベクトルの外積は、以下の図のように定義されます。

    aベクトルとbベクトルの外積の「大きさ」「向き」をまとめた図

     

      2.ベクトルの外積を求める公式

      次に、ベクトルの外積を求める公式について、確認していきましょう。

      aベクトル=(1,a2,a3)、bベクトル=(1,b2,b3)
      と成分表示されるときに、

       aベクトル×bベクトル=(23-b23,a31-b31,a12-b12)
      となります。

      ベクトルの外積の公式の覚え方

      しかし、このままでは、どのベクトルのどの項が、どのような式だったかを覚えるのが大変かと思います。

      そこで、外積の公式の覚え方は、「求めたい成分以外のたすき掛け」というのがおすすめです。これについて1題例題を解きながら、解説していきます。

       

      例題1

      aベクトル=(3,7,2)、bベクトル=(5,2,1)の外積を求めてください。

       

      解答

      前述した公式をよく見ると、aベクトルとbベクトルの外積のx成分を求める際には、x成分以外の項をたすき掛けすればよいので、

      x成分=7×1-2×2=3

      たすき掛け7×1-2×2=3

      y成分については、求める時に注意が必要になります。

      x成分とz成分でたすき掛けをすることは同じですが、z成分が上に、x成分が下にくるように計算しなければなりません。

      したがって、以下の図のように、あえてx成分をz成分の下に書いたうえで、たすき掛けをすると、より間違えずに計算しやすくなると思います。

      たすき掛け2×5-3×1=7

       

      z成分は、x成分と同様に以下の図のように、計算できます。
      たすき掛け3×2-7×5=-29

       

      以上を踏まえて、この例題の答えは以下のようになります。

       

      aベクトル×bベクトル=(7×1-2×22×5-3×1,3×2-7×5)

      aベクトル×bベクトル=(3,7,-29)

      例題1についてのaベクトルとbベクトルの外積を示した図

       

      3.ベクトルの内積と外積の違いについて

      この記事を読まれる前に、ベクトルの内積について、勉強された方は多いかと思います。
      もし、まだの方がおられたら、以下の記事を読んで、ぜひ勉強してみてください。

      ⇒ベクトルの内積について解説した記事

      さて、ベクトルの内積と外積の違いについて、理解するために以下の例題を解いてみてください。

      例題2

      bベクトル=(5,2,1)とaベクトル=(3,7,2)の外積を求めてください。

       

       

      解答

      勘のいい方は、すぐに気が付かれたと思いますが、前項の例題2-2のaベクトルとbベクトルの順番を逆にして、bベクトルとaベクトルの外積を求める問題です。

      では、定義に従って、計算してみましょう。

      bベクトル×aベクトル=(2×2-7×1,3×1-2×5,7×53×2)
      bベクトル×aベクトル=(-3,-7,29)

      bベクトルとaベクトルの内積は、
      aベクトルとbベクトルの内積と、掛け合わせる順番を逆にしても、等しい値となりましたが、

      bベクトルとaベクトルの外積は、
      aベクトルとbベクトルの外積とは、掛け合わせる順番を逆にすると、等しくならないことがわかりました。

      これは、ベクトルの内積はスカラー量であるのに対して、ベクトルの外積はベクトルであり、向きがあるからです。

      1項で取り上げたように、aベクトルとbベクトルの外積「aベクトル×bベクトル」は、

      両方のベクトルに垂直な方向で、(そのうちの右ネジの方向)
      大きさが、|aベクトル||bベクトル||sinθ|

      である、「ベクトル」となります。

      そして、この例題を解いた方は、
      aベクトルとbベクトルの外積「aベクトル×bベクトル」と
      bベクトルとaベクトルの外積「bベクトル×aベクトル」は、
      正反対の向きで、同じ長さをしていることにもお気づきになられたと思います。

      例題2_aベクトルとbベクトルの外積と、bベクトルとaベクトルの外積が、正反対の方向を向く図

       

        4.ベクトルの外積の性質

        aベクトルとbベクトルの外積は、aベクトルとbベクトルの両方に垂直なベクトルと定義されることは何度も触れてきました。

        では、それをどのように証明すればよいのでしょうか?

        そうですね、「垂直関係にある2つのベクトルの内積は0になる」という定義を用います。

        つまり、aベクトルとbベクトルの外積である「aベクトル×bベクトル」と
        aベクトル、bベクトルのそれぞれの内積が0になることを証明すればいいのですね。

        例題を通して、証明してみましょう。

        例題3

        aベクトル=(3,7,2)、bベクトル=(5,2,1)の外積を求めて、その外積がaベクトルとbベクトルと垂直に交わることを証明してください。

         

         

        解答

        まず、aベクトル×bベクトル=(3,7,-29)でした。

        aベクトル×bベクトル・aベクトル=3×3+7×7(-29)×2=0
        aベクトル×bベクトル・bベクトル=3×5+7×2+(-29)×1=0

        以上より、aベクトル×bベクトル・aベクトルと、aベクトル×bベクトル・bベクトルが共に0になることから、
        aベクトルとbベクトルの外積は、aベクトルとbベクトルの両方と垂直であることが証明されます。

          5.法線ベクトルについて

          法線ベクトルとは、直線、または平面に垂直なベクトルのことを言います。

          例えば、法線ベクトルとは、直方体の面ABCDに対する法線ベクトルNは、
          N=ABベクトル×ADベクトルと表されます。

          これはまさに、ABベクトルとADベクトルの外積を求めることと、同じ意味なわけですね。

          では、最後に、次の例題を解いてみましょう。

          例題4

          原点O(0,0,0)と、A(2,3,1)と、B(-3、1.4)が与えられているとき、面OABに対する法線ベクトルを求めよ。

          例題4の問題を示す図

           

          解答

          ベクトルOAとベクトルOBの外積を求める問題と同じですね。

          OAベクトル×OBベクトル=(3×4-1×1,1×(-3)2×4,2×1-3×(-3))
          OAベクトル×OBベクトル=(11,―11,11)

           

            まとめ・さいごに

            いかがでしたでしょうか?
            ベクトルの外積について、理解を深めることが出来たでしょうか?

            ベクトルの外積は、高校数学や、そしてその先に、大学で数学を学び続ける方にとっても、きっと役に立つことと思います。

            ぜひ、理解しておきましょう。

            ⇒ベクトルについての記事をまとめて見たい方は、「ベクトル関連記事まとめ!〜ベクトル公式からベクトル内積、媒介変数表示〜」の記事を読んでみてください。

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            この記事の執筆者

            ニックネーム:受験のミカタ編集部

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