凸レンズの焦点距離・作図・虚像をイラストで即理解!
凸レンズの焦点距離の求め方・作図方法・凸レンズでの虚像について、スマホ・PCどちらでも見やすいイラストを使って解説しています。
今回は、現役の早稲田大学の生徒である筆者が、物理が苦手な人でも必ず凸レンズが理解できるように解説しています。
本記事を読み終える頃には、凸レンズについては完璧に理解できているでしょう。ぜひ最後まで読んで、凸レンズをマスターしてください。
1:凸レンズの焦点・焦点距離
まずは、凸レンズの焦点とは何かについて解説します。
凸レンズに正面から光をあてると、凸レンズで光は屈折して1点に集まります。この点を焦点といいます。
この時、凸レンズの中心から焦点までの距離が焦点距離です。下のイラストをご覧いただくと、焦点・焦点距離のイメージが理解できるでしょう。焦点は、凸レンズを対称にして2つあることに注意してください。
2:凸レンズにおける作図方法
凸レンズでの学習過程では、必ずと言っていいほど、作図を行います。
凸レンズで作図を行う理由は、凸レンズに光をあてることで生じる像を見つけるためです。凸レンズにおける具体的な作図方法は以下の手順で行います。
【凸レンズにおける作図手順】
①:物体(イラストではロウソク)の先端からレンズの軸に対して平行に直線を引き、凸レンズの中心(屈折する地点です。)を起点に、焦点を通るように直線を引く。
②:物体の先端から、凸レンズの中心に向かって直線を引く。
③:手順①と手順②で引いた2つの直線の交点から、軸に向かって垂直に線を引き、交点の方向に矢印を書く。(この矢印の意味は後に説明します。)
凸レンズにおける作図の手順③によって作られた矢印は、物体(イラストではロウソク)の像を示しています。矢印が物体と反対方向に向いていますよね?
これは、「作られた像は逆さまに見えますよ!」ということを示しています。このよう像のことを倒立実像といいますので、覚えておきましょう!
3:凸レンズの焦点距離の求め方
凸レンズの問題では、「焦点距離を求めよ」という問題が頻繁に出題されます。この章では、凸レンズの焦点距離の求め方を紹介します。
下のイラストのように、物体から凸レンズまでの距離をa、凸レンズから像までの距離をb、凸レンズの焦点距離をfとします。
この時、以下のような関係式が成り立ちます。
【凸レンズ:焦点距離の公式】
これは公式として必ず暗記しておきましょう!
では、なぜ凸レンズではこのような焦点距離の公式が成り立つのでしょうか?本記事では焦点距離の公式の証明も掲載しておくので、興味がある人はぜひ学習してください。
凸レンズ:焦点距離公式の証明
まずは、上記の図に補助線OPを引きます。
そして、△AA’Oと△BB’Oに注目しましょう。この2つの三角形は相似なので、
BB’ / AA’ = B’O / A’O = b / a・・・①
ですね。
また、△POFと△BB’Fも相似です。ここで、A’A=OPです。なので、
BB’ / AA’ = BB’ / OP = (b-f) / f・・・②
です。
よって、①と②より、
b / a = (b-f) / f
なので、これを両辺bで割って、
1/a = 1/f – 1/b
となるので、これを整理して、
1/a + 1/b = 1/f
となり、凸レンズの焦点距離の公式が証明できました。
4:凸レンズにおける虚像について
凸レンズの学習では、先ほど紹介した実像(倒立実像)の他に、虚像(正立虚像)という像があります。
先ほどまでは、物体を凸レンズ側から見て、焦点よりも遠い位置に置いていました。この時は、倒立実像が出来上がります。
しかし、物体を焦点と凸レンズの間に置くとどうなるでしょうか?
ご覧の通り、物体を焦点と凸レンズの間に置くと、2本の線が交わらなくなってしまい、像が作図できません。
このような場合は、物体側に線を延長して、交点を作ります。
この交点によって生み出された像は、物体と同じ向きになります。(矢印が上を向いていることに注目してください。)
この像は、虚像(正立虚像)と言われています。物体と同じ向き(逆さまになっていない)ので「正立」と付けられています。
焦点と凸レンズの間に物体が置かれている時は、倒立実像ではなく正立虚像が作られるということは非常に重要な事柄なので、必ず覚えておきましょう!
5:凸レンズに関する練習問題
最後に、今回学習した凸レンズについて理解できたかを試すにのに最適な練習問題を用意しました!
ぜひチャレンジして、凸レンズの理解を深めてください!
凸レンズ:練習問題
以下のイラストのように、光を放つ物体と凸レンズを設置した。この時に作られる像を作図し、凸レンズから像までの距離を求めなさい。
【解答&解説】
この問題では、物体、焦点、凸レンズという順番なので、できる像は倒立実像ですね。本記事で解説した手順通りに作図しましょう。
次に、凸レンズから、先ほど作図した倒立実像までの距離を求めます。
凸レンズに関する公式
1/a + 1/b = 1/f
(aは物体から凸レンズまでの距離、bは凸レンズから像までの距離、fは凸レンズの焦点距離でしたね。)
に、a=10cm、f=6cmを代入して、
1/10 + 1/b = 1/6
より、b = 15です。
よって、凸レンズから像までの距離は、15cmとなります。
凸レンズのまとめ
いかがでしたか?凸レンズに関する学習は以上になります。
凸レンズは入試でもよく出題される分野の1つですので、必ずマスターしておきましょう!忘れた時は、いつでも本記事で凸レンズを復習してください!