電場と電気力線の本数をわかりやすく解説!定義、求め方、練習問題も

物理 2020.2.7

電気は私たちの生活のあらゆるところで活躍しています。

また、周りの物質を構成する原子は、プラスの電気を帯びた陽子、マイナスの電気を帯びた電子、そして中性子からできています。

正電荷と負電荷の間にはたらく静電気力により、原子は周りに電子を引き留めています。

電気を帯びた物体を「帯電体」と言いますが、帯電体の周囲の空間は、帯電体から影響を受け、他の帯電体に影響を及ぼすような状態になります。

このような状態の空間は、「電場が生じている」と言われます。

電場は通常、目視することは出来ませんが、それを目に見えるように工夫したのが電気力線です。

この記事では、電気力線についてまとめます。

1. 電気力線に関する基礎知識

我々の周りを取り巻く物体は、多数の原子から出来ています。

原子は電子と原子核から成り、原子核の周りを電子が飛び交っています。

さらに、原子核は陽子と中性子に分けられ、陽子の数は原子の種類によって決まっています。

陽子と電子はそれぞれ帯電しています。

物体の帯電は、物体内の電子の過不足によって起こり、帯電した物体がもつ電気を電荷といいます。

ご存知の通り、電気には正・負があり、それぞれ正電荷、負電荷と言います。

電子は負電荷、陽子は正電荷を持ちます。

同符号の電荷は互いに反発しあい(斥力を及ぼしあい)、異符号電荷は互いに引き合います(引力を及ぼしあいます)。

この力を静電気力(クーロン力)といいます。

電荷が持つ電機の量を電気量と言い、単位はクーロン[ C ]を用います。

1アンペア[ A ]の電流は1秒間に1クーロンの電気量を運んでいます。

電気量がq1, q2[ C ] の点電荷が r [ m ] だけ離れた距離にあるとき、互いに

クーロンの法則

の力を及ぼしあいます。これを静電気力に関するクーロンの法則といいます。

kは帯電体を取り巻く物質によって異なりますが、真空中では

静電気力に関するクーロンの法則

です。空気中ではこの値にほぼ等しいですから、通常はこの値を使います。

 

静電気力がはたらく空間を「電場(電界)が生じている」状態であると言います。

電場の中に電荷を置くと、電場の強さや電場の向き、電荷の持つ電気量によって、電荷は一定の方向に力を受けます。

電場ベクトルが

電場

の点に置いた  の電荷が受ける力を

電場2

とすると、

静電気力

が成立します。正電荷は電場の向きに静電気力を受け、負電荷は電場とは逆の向きに静電気力を受けます。

 

帯電体の周囲の空間には電場が生じます。

同じ空間に複数の帯電体があった場合、電場の重ね合わせが起こります。

電荷の周りの電場を調べるときには、試験電荷と呼ばれる+1Cの電荷が受ける力を考えましょう。

試験電荷の受けるクーロン力の向きと大きさが、その点における電場の向きと大きさになります。

つまり、電場の強さは

電場の強さ

となります。

例えば、座標平面上のA(ー0.1 [m], 0), B(0.1[m],0) の位置に+Q[C], ーQ[C] の電荷があるとき、C(0, 0.1[m]) の位置における電場を求めます。

ACに発生させる電場は、Cの位置に試験電荷を置き、クーロンの法則から

電場の求め方

 

です。この電場の向きは、AからCへ向かう方向です。

BCに発生させる電場は、同様に計算して、

電場4

であり、Bに置いたのは負電荷ですから、向きはCからBに向かう方向です。

Cにはたらく電場はこの2つのベクトルとなります。

すなわち、x軸正方向に

電場5

となります。

2. 電気力線

帯電体を置くと、その周囲の空間には電場ができます。

電場の強さは、先にも申し上げたように、

電場の式

となります。この式を見ると、電荷までの距離 の2乗が、分母に含まれていますから、電荷までの距離が近ければ近いほど、強い電場ができることになります。

逆に電荷から遠ければ、その電荷から受ける電場の影響も小さくなります。

電場の中に正電荷を置くと、電場から

静電気力

の力を受け、電荷が移動します。この電荷が移動する軌跡を描くと、1本の線になります。

正電荷の近くに正電荷を置いたとき、斥力が働き、その電荷から遠ざかる向きに移動してゆきます。

この向きに矢印を付けたものを、電気力線と言います。

 

正電荷による電気力線の図

正電荷の場合は電荷から遠ざかる向きに、負電荷の場合はその電荷に入る向きに、電気力線が伸びます。

負電荷による電気力線の図

 

正電荷の場合、正電荷から発生した電気力線は他に電荷がなければ無限遠にどこまでも伸びてゆきます。

また、負電荷の場合は、無限遠からやってきて負電荷に入ってゆきます。

正電荷と負電荷を置いたときの電気力線の図

 

正電荷と負電荷を同じ空間に置くと、電気力線は正電荷から出て負電荷に入り、ある点での電気力線の接線は、その点での電場の方向と一致します。

1m2あたりに E本の電気力線を引くことにすれば、電気力線の粗密によって、その点での電場の強さが視覚的に把握できます。

電場が強いところほど電気力線が密集し、電場が弱いところでは電流が疎になります。

3. 帯電体から引かれる電気力線の本数

Q[C]の正電荷からでる電気力線の本数を求めます。

その正電荷の近くに試験電荷を置くと、その正電荷から遠ざかる向きに試験電荷が移動してゆき、この軌跡が電気力線となります。

力を受ける向きと大きさ(つまりベクトル)は

電場の式

静電気力

によって一意的に決まっていますから、電気力線の引き方が場合によって変わるようなことはありません。

つまり、電気力線は枝分かれしたりしません。

また、電気力線は合流もしません。

電気力線の粗密によって電場の強さを表すには、 1m2 あたりに貫く電気力線の本数を一定にする必要がありますから、空間上に Q[C] の電荷を置いたときの電気力線の本数も一定にしておかなければなりません。

正電荷を中心とする半径 r [m] の球面S上では、電場の強さは

電場の式

となります。電気力線の本数Nは、1m2  あたりE本であり、球面Sの表面積は 4 ですから、

電気力線の本数

 

となります。負電荷に入る電気力線の本数や、大きさのある物体が帯電している場合でも、同様の式が成立します。

 

  • 公式

電気量Q [C]の帯電体から出る電気力線の本数は一定であり、4πkQ 本である。

 

 

4. ガウスの法則

ガウスの法則とは、ある曲面の内部に存在する電荷の総量Qと、その曲面を貫く電気力線の本数が比例する、という法則です。

大学の電磁気学では、マクスウェル方程式として登場します。

ガウスの法則自体はカール・フリードリヒ・ガウスが発見しましたが、後にジェームズ・クラーク・マクスウェルによって整理されることになります。

マクスウェル方程式は電磁気学の重要な4つの連立偏微分方程式であり、詳しくは電磁気学を受講して学習しましょう。

電界に関するガウスの法則の式は、閉曲面S上の微小領域dSに対して垂直な単位ベクトルn、その位置での電場をEとすると、

電界に関するガウスの法則の式

で表されます。ただし、この式は閉曲面が囲んでいる領域すべてに対して積分する必要があり、高校で扱う範囲ではありません。

 

高校範囲におけるガウスの法則は、以下のようになります。

真空中や空気中など、電荷を置く場所によって電気力線の本数は変わります。

その触媒中の誘電率 εとすると、閉曲面内に存在する電荷の総量がQなら、その閉曲面を垂直に貫く電気力線の本数は

電気力線の本数

となります。

複雑な閉曲面は高校物理ではあまり登場しません。閉曲面として球面を考え、その中心に電荷を置くと、電気力線はすべて球面に対して垂直に出てゆきます。

 

5. 演習問題

無限に広い平面が一様に帯電しているとする。 S[m2] に電気量Q [C] の割合で電荷場分布しているとき、電場の強さE [ N / C ]を求めよ。

解答・解説

平面に一様に帯電していますから、どのような図形を例にしても、面積がSなら、その内部の電気量はQです。

底面積がSの円柱を考え、円柱の中心に帯電している平面を底面と並行に設置します。

1[m2]あたりにE本の電気力線が引かれますから、円柱の上面を貫く電気力線の本数はES本です。

円柱の底面からも同じ本数の電気力線が出てゆきますから、合計で2ES本の電気力線が出てゆくことになります。

円柱内の電気量はQですから、円柱から出てゆく電気力線の総数は 4πkQ 本となりますから、

円柱内の電気量

となり、これがこの空間内に発生する電場となります。

 

6. おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、電気力線についてまとめました。

ご参考になれば幸いです。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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