電気素量とは:ミリカンの実験による電気素量の求め方

物理 2019.8.28
電気素量とは:ミリカンの実験による電気素量の求め方

 

高校物理では、電気と磁気の分野は、受験をするうえで重要な単元の一つになっています。

理系、特に電気系の学部に進学すれば、電磁気について、より詳しく学ぶことになります。

大学で学習する電磁気学は、学部生が難しいと感じることが多い単元の一つです。

そのときに、電場や電流、磁場、電磁誘導などについて、しっかり理解していることが非常に大切です。

そのため、電気系の学部への受験では、高校物理における電磁気への理解を問う問題が出題されることが多くなります。

電磁気の分野では、電子の働きや動きを理解することが、大切な要素のひとつです。

この記事では、電気素量についてまとめます。

 

 

    1.電気素量とは

    電気に関する基本用語について、おさらいしておきましょう。

    まず、物体は多数の原子で構成されています。

    原子は、原子核とそのまわりをまわる電子からできています。

    原子核は陽子と中性子からなります。

    陽子は正の電荷、電子は負の電荷をもっていて、物体の帯電は物体内の電子の過不足によって起こります。

    帯電した物体がもつ電気を電荷といい、正電荷と負電荷があります。

    電荷の間には静電気力(クーロン力)が働き、同符号の電荷は反発、異符号の電荷は引かれあいます。

     

    電子と陽子の電気量の大きさ(絶対値)は同じです。

    原子はドイツ語でAtomといい、ギリシャ語を語源としています。

    ギリシャ語でAtomの意味は「分割できないもの」であり、元素が元素の性質を保ち続けるための最小構成単位が原子です。

    原子が電子と中性子、陽子によって構成されることが明らかになると、現在の化学で仮説的に分解不可能な単位として、素粒子という言葉をつくりました。

    電子は素粒子であり、これ以上分解不可能な単位です。

    そして、この電子1個がもつ電気量を、電子素量と呼び、eで表すことが多いです。

     

    電気素量の大きさは決まっていて、

    電気素量の大きさ

     

    です。電子は負電荷をもっていますから、電子の電荷は

    電子の電荷

     

    です。

    帯電体が持っている電気は、電子や陽子がもっている正電荷や負電荷によって与えられるものです。

    陽子がもつ正電荷の大きさは、電子の負電荷の大きさと同じですから、帯電体の電気量は、電気素量eの整数倍になります。

    電子が素粒子であり、これ以上分割することができないからです。

     

      2.電気素量とミリカンの実験

      ミリカンの実験とは、電子の電荷を求めるために行われた実験です。

      ミリカン(アメリカ、18681953)は、2つの平行な極版に電圧を加えて、一様な電場をつくり、その中に霧吹きから油滴を吹き込んで実験を行いました。

      油滴の周辺の空気分子にはX線を当ててイオン化し、1つの油滴について顕微鏡で観察しました。

       

      ミリカンの実験

       

      イオンが油滴に付着すると、油滴が帯電し、電場から静電気力を受けます。

      実験装置では、電圧を操作できますから、電圧をいろいろ変えることで、帯電した油滴の落下速度を変えることができます。

      まず、電圧を操作して、油滴が浮かんだまま制止するように、電場の強さを調整します。

      このとき、油滴の質量をm [kg]、電気量をq [C]とすると、油滴に働く重力mg [N]と静電気力qE [N]がつりあうため、

      終端速度の式

       

      が成り立ちます。

      次に、電場を0にします。

      すると、油滴が重力に引かれて落下し始めますが、油滴は非常に軽く、空気の抵抗を受け、落下の加速度が小さくなります。

      最終的には、空気抵抗と重力がつり合い、等速で落下するようになります。

      このときの落下速度を終端速度と言います。

      空気の抵抗力は、落下物の速さvに比例し、比例定数をkとすると

       

      空気の抵抗力

       

      が成立します。

      この2つの式から、

       

      油滴に帯電する電気量の式

       

      が得られます。

      空気抵抗の比例係数kに関しては、空気の粘度、油滴の径を測定することで、求めることができますが、この記事では置きます。

      この実験により、油滴に帯電する電気量を求めることができます。

      この操作を何度も繰り返します。

      油滴にはどれだけのイオンが含まれているかわかりませんが、何度も測定した結果、どの油滴の電気量も

       

      油滴の電気量の式

       

      の、整数倍であることがわかりました。

      これにより

       

      油滴の電気量の式

       

      電気量の最小単位であることがわかり、電気素量を求められました。

      ミリカンの実験は1909年に行われましたが、それ以降も、より精密な測定結果を得るべく、実験が繰り返されました。

      現在では、電気素量が1個の電子がもつ電気量の絶対値に等しいことがわかり、精密な測定の結果、より細かい小数点まで求められています。

       

      3.ミリカンの実験から電気素量をもとめるには

      先のミリカンの実験の説明において、電気量の測定から、電気素量をどうやって求めるのでしょうか。

      例えば、同じ重さの重りをいくつも用意します。

      この重りを無作為に、袋に詰めて、重さを量ります。

      袋に入っている重りの数は未知ですが、袋の全体の重さを量ることは可能です。

      では、この重り一つ一つあたりの重さを計算できるか、という問です。

      この例えでは、油滴の電気量が袋の重さに相当し、袋に詰めた重りが電気素量にあたります。

      この重りの重さは同じですから、袋の重さは、重りの重さの整数倍になるはずです。

       

      . ミリカンの実験で、いろいろな油滴の電気量q [ C ] を測定したところ、9.7011.368.093.234.87(単位は)という値であった。電気量q [ C ]は、電気素量e [ C ]の整数倍であると仮定した場合、eの値を求めよ。

       

       

      解答・解説

      このような問では、測定値の差に注目します。

      まず、測定値を大きい順に並び替えます。

      すると、11.369.708.094.873.23となります。

      この数列の隣り合う数の差をそれぞれ考えると、1.661.613.221.64となり、およそ1.6の倍数になっているのがわかります。

      このときの予想は、概ねの適当な値で構いません。

      重要なのは、測定した電気量がeのおよそ何倍になっていそうかが、予測できることです。

      11.361.6のおよそ7倍ですから、これを7eとします。

      9.701.6のおよそ6倍ですから、これを6eとします。

      同様に、それぞれの値を7e6e5e3e2eと予測して、それぞれの油滴には電子が、7個、6個、5個、3個、2個含まれていた、というように考えられます。

      各測定値を平均すると、

       

      電気素量の例題の式

       

      という値が計算でき、これが電気素量となります。

       

        4.電気素量のまとめ

        最後までご覧管さってありがとうございました。

        この記事では、電気素量についてと、電気素量を求めるためのミリカンの実験についてまとめました。

         

        それでは簡潔にこの記事についておさらいします。

        電子はこれ以上分解できないとされる素粒子の一つで、原子の構成要素のひとつです。

        電子は負の電荷をもっていて、その電子11つがもつ電荷の大きさを、電気素量といいます。

        電気素量はアメリカの物理学者であるミリカンが1909年に行った実験で、油滴の電荷量を測定することで電気素量を算出します。

        2019520日には、SI基本単位の再定義が行われ、その中でアンペアの定義に電気素量が使われるようになりました。

        電気素量も、不確かさを持たず、正確な値として

        電気素量

        であると定義されました。

        また、トムソンの実験により、比電荷の計算も行われ、電子の質量も求められています。

         

        ご参考になれば幸いです。

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        この記事の執筆者

        ニックネーム:受験のミカタ編集部

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