摩擦とは?摩擦力の公式や計算問題を解いてみよう!

物理 2019.7.9

物理の問題を解いていると、摩擦という言葉をよく目にするかと思います。
なんとなく理解しているつもりでも、実は摩擦がどんなものか説明できない、なんてことはありませんか?
この記事では、身近な現象である摩擦について、原理や基礎的な用語をまとめています。
基本知識を知っているだけで、授業を受ける時や問題を解く時の理解度が変わってきますので、ぜひ読んでみてください。

 

 

1.そもそも摩擦とはなにか?

まず、摩擦という現象について解説していきます。
皆さんも日ごろ生活している中で、感覚的にイメージができているかもしれませんが、文章で整理をするとこのようになります。

 

摩擦とは、互いに接している二つの物体が、接触している面に沿って相対的な運動を行うときに妨げる力が発生する現象のことをいい、その時におきる力ことを摩擦力とよびます。

 

摩擦力は次のような条件に影響されます。

  • 接触面の状態

例えば、スケートリンクのようなつるつるした面や、あるいは油が塗られた面の上に置か
れた物体を動かす時にかかる摩擦力は小さくなります。

対して、コンクリートのような細かい凹凸のある面の上に置かれた物体を動かす時にか
かる摩擦力は大きくなります。

 

  • 物体を押し付ける力

床面に押し付ける力が強いほど摩擦力は強くなります

具体的には、水平の床と、斜面に置かれている場合で摩擦力は異なります。

水平の床で押し付ける力は、物体に掛かる重力と同じ大きさです。また、上から力を加えて押さえ付けたりすれば、さらに摩擦力は大きくなります。

斜面の上では、水平の時と重力が同じでも、水平の時より摩擦力は小さくなります。これは重力の向きが垂直でなくなるためです。摩擦力は接触面に垂直にかかる力に応じて変化します。

斜面での摩擦

2.摩擦が起こる原因は?

摩擦とはどんな現象なのか、どのような条件に左右されるかを整理しましたが、そもそも摩擦が起こる原因は何なのでしょうか。
摩擦の原理は様々なモデルで説明されていますが、ここでは最もシンプルで理解しやすいモデルを使って解説します。

摩擦力は、図のような物体の下面の細かなギザギザの凸凹と、床面の細かなギザギザの凸凹が引っ掛かることによって生じると考えられています。

凹凸面での摩擦
凸凹が大きく突き出ているほど、山を乗り越えにくくなり、摩擦力が大きくなっていきます。
また、物体が重くなったり、押し付ける力が強くなるほど、山を乗り越えにくくなるため、摩擦力が大きくなります。

より細かく力をみるために接触面を拡大します。
接触面は図のようになっており、矢印のように力がかかっています。

摩擦力の分散

床面に押し付ける力は、床面と平行な方向と運動と無関係な方向に分解されます。
摩擦力とは、このときの床面と平行な方向の力のことを指しているのです。

実際はこのように接触面のギザギザは完全にはかみ合いませんし、面も均等になっているわけではありませんが、摩擦は接触面にかかる垂直の力の分解によって発生しているということが理解できると思います。

3. 摩擦に関する用語と法則

摩擦の原理を理解したところで、物理の問題に出てくる用語の解説をしていきます。
忘れることのないよう、漏れなくひとつずつ覚えていきましょう。

まず、摩擦には、次のような2つの領域があります。

 

① 静止した物体の間にはたらく静止摩擦(静摩擦)
② 互いに対して運動している動摩擦(運動摩擦)

 

例えば、斜面上の物体が滑り落ちずにその場に止まることができるのは静止摩擦力のはたらきによるものです。
また、氷の上を滑っているカーリングの石は、それを減速させるような動摩擦力がはたらいています。

摩擦力は常に接触面上を滑る運動を妨げる方向にはたらくため、静止摩擦の場合には動き出そうとする方向の逆向き、動摩擦の場合には相対速度の逆向きとなります。

次に、摩擦に関連する力と法則を説明します。

 

接触面の状態がどれだけ摩擦力に影響を及ぼすかという指標を摩擦係数といい、μ で表します。

摩擦係数には、「静止摩擦係数」と「動摩擦係数」の2種類があります。
摩擦係数は、物体の素材等で変化します。鋼鉄同士では、静止摩擦係数が およそ0.8くらいで、動摩擦係数はそれよりも小さくなります。さらに、潤滑油を塗った場合は大幅に小さくなります。

 

押し付ける力については、高校物理では垂直抗力を用い、N で表します。

押し付ける力と垂直抗力は、作用と反作用の関係にあるため、大きさが同じで向きが逆なだけで同じものと考えてよいでしょう。

③ 摩擦力を F とすると、摩擦係数μ と 垂直抗力N との関係は次の式で表せます。

F = μN

この式は、「摩擦力は接地面積や相対速度にかかわらず、接触面に加わる垂直の力に比例
する」ことを示しています。このことを摩擦の法則とよびます。

摩擦の法則

4. 摩擦力に関する練習問題

摩擦に関する用語と法則を学んだところで、練習問題を解いてみましょう。
練習問題は水平面での摩擦と、斜面での摩擦の2問で、どちらも基本的な考え方は同様です。

 

練習問題1

水平面の上に質量3.0 kgの物体を置き、物体に対して水平に右向きの力Fを加える。
物体をすべらせるために必要な力Fの大きさは何Nより大きければよいか。
このとき静止摩擦係数は0.8、重力加速度gは9.8 m/s2とする。

(*解答は下にスクロール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

物体がすべり出すためには、最大摩擦力f0より大きい力を加えればよいため、公式を用い、最大摩擦力f0を求めます。

垂直方向の力のつり合いを考えると、N=3.0×9.8
水平方向の力のつり合いを考えると、F=f0=μN=0.80×3.0×9.8=23.52

よって答えは「23.5 Nより大きい力」となります。

 

練習問題2

図のように仰角が θ のあらい斜面上に、質量 m [kg]の物体を置くと、物体は斜面上をすべりおりた。このとき物体にはたらく動摩擦力の大きさを求めよ。
重力加速度はをg [m/s2]、斜面と物体の間の動摩擦係数を μ’ とする。

摩擦練習問題

(*解答は下へスクロール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

物体にかかる力を整理すると、下のようになります。
一見複雑に見えるのは、物体を押し付ける力が斜めにかかっているためです。
ベクトルを比較するために、重力、垂直抗力、動摩擦力等と、ベクトルを分解していきます。

摩擦力練習問題解答

また、この問題では物体が運動しているため、分解する方向は物体が運動している方向に分解します。
今回、物体が運動する方向は斜面に沿って左下方向です。
物体にかかる力が整理できたところで、動摩擦力F’を求めます。

さきほどの問題と同様に
F’ = μ’N
を使い、力のつりあいより、N = mgcosθなので
F’ = μ’N = μ’mgcosθ

よって、解答は「μ’mgcosθ」となります。

5.まとめ

摩擦について、原理や用語、公式など詳しく説明をしてきましたが、まとめると以下のようになります。

① 摩擦とは、互いに接している二つの物体が、接触している面に沿って相対的な運動を行うときに妨げる力が発生する現象

② 摩擦力の原理は、接触面に押し付ける力が分解され、面と平行な方向に力が発生すること。

③ 摩擦には、静止した物体の間にはたらく静止摩擦(静摩擦)、互いに対して運動している動摩擦(運動摩擦)の2つの領域がある。

④ 摩擦力を F とすると、摩擦係数μと 垂直抗力Nとの関係は次の式で表すことができる。
F = μN

 

摩擦は要素を分解していくと、単純で公式もシンプルなため試験で間違えることが少ない分野です。
より詳細に摩擦を説明した関連記事もありますので、更に理解を深め、得点源を増やしていきましょう!


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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