摩擦係数とは?摩擦力の求め方を解説!

物理 2019.8.30

高校物理の試験では、時々摩擦を考慮した問題が出題されます。
摩擦は生活の中でも身近な現象ですが、その反面、分かった気になりやすい分野でもあり、力学で取り扱う場合は理解しておくべき点がいくつかあります。

この記事では摩擦力、摩擦係数についてまとめましたので自分の理解度を確認してみてはいかがでしょうか。

 



1.摩擦係数とは?そもそも摩擦とは?基礎から解説

まず、摩擦係数について説明する前に、力学で扱う摩擦について整理しておきましょう。

摩擦とは、互いに接している二つの物体が、接触している面に沿って相対的な運動を行うときに妨げる力が発生する現象のことをいい、その時におきる力ことを摩擦力とよびます。

摩擦力は、接触面の状態や物体を押し付ける力によって変化します。

例えば、スケートリンクのようなつるつるした面と、コンクリートのような細かい凹凸のある表面では、同じ物質でも摩擦力は大きく異なります。
スケートリンクの摩擦力は小さく、コンクリートの摩擦力は大きくなります。
また、床面に押し付ける力が強いほど摩擦力は強くなります。

摩擦について理解したところで、摩擦係数の解説をしていきます。
接触面の状態がどれだけ摩擦力に影響を及ぼすかという指標を摩擦係数といい、μ で表します。

摩擦係数には、「静止摩擦係数」「動摩擦係数」の2種類があり、詳しくは次の項で説明します。

摩擦係数は、物体の素材等で変化します。鋼鉄同士では、静止摩擦係数が およそ0.8 くらいで、動摩擦係数はそれよりも小さくなります。さらに、潤滑油を塗った場合は大幅に小さくなります。

摩擦の公式がわからない方はこちらの記事をチェック!



2. 摩擦力の求め方は3パターン・摩擦係数は2種類

互いに接している物質を動かそうとすると摩擦力がはたらきますが、摩擦力の求め方は状態により3つのパターンがあります。一つずつ説明していきます。

① 物体が静止している状態

これは、机を動かそうと軽く押してみたものの、動かなかった状態をイメージしてください。
分かりきったことですが、物体に力を加えても、加える力が弱いと物体は動かず静止し続けます。

 

摩擦力、物体が静止している状態

 

ここで、物体がそれほど大きくない力F[N]を受けているとすると、摩擦力はどうなるのでしょうか。
物体が力を加えても動かないということは、「加える力」と「摩擦力」がつりあっているということです。

つまり、摩擦力の大きさはF[N]となります。
力を加えても物体が静止している場合は、摩擦力は加える力F[N]と等しくなります。

 

② 物体がギリギリ動かないとき

これは、物体に「これ以上強い力を加えると物体は動く」というようなギリギリの状態をイメージしてください。
加える力をF[N]とすると、物体がギリギリ動かないとき、摩擦力の大きさはμN[N]と表されます。

摩擦力式1
μは静止摩擦係数といい、物体と床の材質に固有の値となっています。

ここで,注意しなければならないのが、この場合は「摩擦力」の大きさはF[N]とμN[N]の2通りに表せることです。
① で説明した通り、物体が静止しているときは力がつりあっているので、摩擦力はF[N]と表せます。

 

③ 物体が動く状態

これは、机を動かそうと強く押したところ、少し抵抗を感じながら動かせた状態をイメージしてください。
前の項で説明したように、物体に強い力を加えると物体は運動をしますが、同時に摩擦力もはたらいています。

 

摩擦力、物体が動く状態

 

ここで、物体が大きい力F[N]を受けているとすると、摩擦力の大きさはμ’N[N]と表されます。

摩擦力式2

μ’は動摩擦係数とよび、物体と床の材質に固有の値となっています。

例えば、物体と床の材質がともにゴムだったとすると、摩擦力が大きくなり、物体を動かそうとすると大きい力が必要となります。つまり動摩擦係数が大きくなります。
一方で物体と床がともに氷なら、摩擦力が小さくなり簡単に動かすことできます。つまり動摩擦係数は小さいということになります。



3. 摩擦係数の性質

摩擦力には、動摩擦力と静摩擦力の2種類があり、それぞれが特徴的な性質をもっています。
ここでは、静止した物体が動き出すまでの摩擦力の変化について解説します。

 

① 静止した物体が動き出すまでの摩擦力の変化

前の項で説明した通り、静止している物体に働く力を静止摩擦力といいます。
動かないということは外力と摩擦力がつり合っているということで、外力をT・静止摩擦力をFとするとT=Fとなります。

このとき、横軸に外力、縦軸に静止摩擦力をとったグラフを描くと、図のように傾き45°の(y=xの)直線となります。

しかし、摩擦力には限界があります。
外力が、その摩擦力の限界を越えると釣り合いが破れ、物体は動き出します。その時の摩擦力を最大静止摩擦力と言います。静止摩擦係数μは、静止摩擦力が最大のときの係数です。

静止摩擦係数

 

② 物体が動き出してからの摩擦力

前の項で説明した通り、動き出してからの摩擦力を動摩擦力といいます。

外力をT・動摩擦力をF’とすると一定速度で動いている時はT=F’、加速する時はT>F’、減速する時はT<F’となります。

また、静止摩擦力は外力によって大きさが変化しますが、動摩擦力は変化しません。

つまり、横軸に外力、縦軸に動摩擦力をとったグラフを描くと、図のように傾き 0 の水平線になります。

物体が動き出してからの摩擦力

 

① ②の一連の摩擦力をグラフで表すと図のようになります。
この時注意したいのが、最大静止摩擦力より動摩擦力の方が小さいということです。
日常生活でも経験があると思いますが、なかなか動かない物体も、いざ動き始めると少し軽くなったように感じられるというイメージです。

摩擦力の変化



4. 摩擦係数の練習問題

これまでに解説した摩擦力の求め方を使って、練習問題を解いてみましょう。

練習問題

質量 3.0 kgの物体が摩擦のある水平な床の上に置いてあります。
重力加速度の大きさを 9.8(m/s2) として後の問いに答えなさい。

(1)物体に床からはたらく垂直抗力の大きさを求めなさい。

(2)物体に右向きに 6.0Nの力を加えても静止したままであった。このときの静止摩擦力を求めなさい。

(3)物体が動くには水平に引く力が何 N 必要か求めなさい。静止摩擦係数を 0.50 とする。

(4)物体が右向きに動き出したあと 8.0Nの力で右に引き続けたときの動摩擦力を求めなさい。動摩擦係数を 0.20 とする。

(※解答・解説は下へスクロール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答・解説

(1)垂直抗力ですが、鉛直方向のみに物体の重量がかかっているので、重力の作用に対する反作用と考えます。

N=mg=3.0×9.8=29.4(N)

この垂直抗力は静止摩擦力にも動摩擦力にも必要となります。

(2)物体は静止したままなので最大摩擦力を超えていません。
最大摩擦力を超えるまでは、引っ張った力の大きさが摩擦力の大きさです。
ただし、摩擦力は動きを妨げようとするはたらきをするため力を加えた向きと反対になります。
回答は「左向きに 6.0(N)」

(3)動き出す直前の摩擦力、つまり最大摩擦力を求めます。

F0(最大摩擦力) =μ(静止摩擦係数)×N (垂直抗力)なので、
F0=0.50×29.4=14.7(N)

(4)動摩擦力を求めます。

F′(動摩擦力)  = μ′(動摩擦係数)× N であり
動摩擦係数が0.20が与えられているので、
F′=0.20×29.4=5.88≒5.9(N)
動摩擦力は動く方向と逆向きの力なの回答は「左向きに 5.9N」となります。

 



5.摩擦係数・摩擦力のまとめ

摩擦力や摩擦係数の種類について、解説をしてきましたが、まとめると以下のようになります。

摩擦とは、互いに接している二つの物体が、接触している面に沿って相対的な運動を行うときに妨げる力が発生する現象のことをいい、その時におきる力ことを摩擦力とよぶ。

② 摩擦力の求め方は状態により3つのパターンがある。
・物体が静止している状態
・物体がギリギリ動かないとき
・物体が動く状態

③ 摩擦係数は状態により2種類に分類される
・静止摩擦係数(物体がギリギリ動かないとき)
・動摩擦係数(物体が動く状態)

④ 最大静止摩擦力より動摩擦力の方が小さい。

一言で「摩擦」といっても、状況によって力の求め方が異なったり、係数の分類があることがお分かりいただけたでしょうか。
なんとなくのイメージではなく、説明ができるようになるまで理解することで、試験でのミスを減らすことができます。
地道なチェックは労力がかかると思いますが、積み重ねが試験では大きな差に繋がります。頑張ってください!


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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