ニュートンリング(ニュートン環)とは?光の回折と干渉などの関係性
ニュートンリング(ニュートン環)は、高校物理「光の回折と干渉」分野の頻出問題です!!
定期試験だけではなく、大学入試でもよく出題される分野なので、しっかりと理解するようにしましょう。
高校で習う物理は、実は日常の生活の中でもよく活用されているので、とても重要です!!
1.ニュートンリングってどんなもの?
ニュートンリング(ニュートン環)とは、光の反射がずれることでできる縞模様のことです。
第一条件は平面ガラスの上に、大きな曲率半径を持っている平凸レンズを載せることです。
そのレンズの上方から単色光をあててのぞき込むと、同心円状に明輪と暗輪が繰り返されます。
この縞模様が、通称「ニュートンリング」と呼ばれるものです。
原理的には、くさび形空気層における光の干渉と全く同じです。
くさび形空気層とは、2枚の平面ガラスを上下に重ねて、その間に三角形になるように紙などの詰め物を入れたものです。
ここでできる空気層がくさび形になることから、「くさび形空気層における光の干渉」と呼ばれます。
平凸レンズの下の面で起こる光の反射は自由端反射となるので、位相そのものにズレはありません。
しかし、平面ガラスの上の面で起こっている光の反射は、固定端反射となるので、位相がズレてしまいます。
ニュートンリングの中心部分は光路差がゼロになっているので、多くの人は明輪であると勘違いしてしまいがちですが、実際には暗輪となっています。
この現象は、平凸レンズと平ガラスの間で起こる自由端反射と固定端反射が入れ違うことで起こります。
固定端反射された光は、位相が180度ズレてしまった結果、上が下に、下が上になるように見えてしまうのです。
つまり、明輪となる条件と暗輪となる条件があべこべになることで、ニュートンリングの中心部分は暗輪となって見える、ということです。
光の屈折に関する記事はこちら→
https://juken-mikata.net/how-to/physics/refraction-of-light.html
2.ニュートンリングの計算式を知ろう
高校の物理で良く出題されるニュートンリングの問題があります。
この時に上から一定波長の単色光を当てながら、上からレンズを覗いて見た時に、レンズとガラス板が接する部分を中心とする同心円状の輪を見ることができます。この条件で平凸レンズの曲率半径Rとして、光の波長λ、m番目の明線の半径をr、空気層の厚みをdとします。
明線の位置を表す条件式を求めよ。
という問題です。
では、計算に入っていきましょう。
図から見える2つの三角形が相似(△ABD∽△DBC)であることから、
となります。
これを対比による変換をすると、r2=d(2R-d)となるはずです。
さらに展開していくと、2dR-d2となり、dの値はとても小さいので、d2の項は無視できます。
結果、r2=2dRとなるので、光路差である2dの値は、2d=r2/Rと定まるのです。
明線の条件式となるのは、2d=(m+1/2)λで、mは整数、λは波長を指します。
2d=r2/Rと定まっているので、条件式に代入をしましょう。
明線の条件式 r2/R =(m+ 1/2) λ
暗線の条件式 r2/R =mλ
この問題はよく出題されるので、しっかりと計算の仕方を頭に入れておきましょう。
ちなみに、三平方の定理を使って計算をする方法もあります。
先ほどの例題にある直角三角形のうち、△OBDを使います。
短辺がr、斜辺がR、長辺が(R-d)なので、三平方の定理より
(R-d)2+r2=R2
この式を展開すると、R2-2Rd+d2+r2=R2になります。
d2の値は小さいので、先程と同じように無視することができます。
まとめるとd=r2/2Rとなるので、先程と同じ形になります。
3.ニュートンリングの深い歴史を知ろう
ニュートンリングを発見したのは、万有引力で有名なニュートンではありません。
バネに関するフックの法則で有名なロバート・フックです。
このフック氏が「ミクログロフィア」という著書の中で、ニュートンリングのことを紹介しています。
では、どうしてニュートンの名がついたのでしょうか。
これはフックとライバル関係にあったニュートンが、詳細に研究と分析を行って、法則性を見出したからです。
ニュートンのほうがより深く検証した、ということでニュートンの名前がつきました。
フックとニュートンの間で面白いのが、共に研究していた光についての結論が異なるということです。
ニュートンは自著の中で、「光は粒子である」という説をとっていました。
しかし、光を粒子だと仮定すると、障害物の後ろにも光が伝わる回折や、重なると強くなったり弱くなったりする干渉の仕組みを上手く説明することができないのです。
そこで、ホイヘンスという科学者は「光は粒子ではなく波動である」とする説を提唱しました。
光が波動であるとすると、粒子説では説明がつかなかった回折や干渉も説明ができるので、ニュートンのライバルであるフックは、この波動説を支持していました。
このことからニュートンとフックは対立し、何度も論争を繰り返します。
19世紀末には、光は波動であるという説が物理学では主流になっていました。
しかし、研究や解析が進んでいくと、光を粒子として捉えないと理解できない現象も見つかってしまうのです。
結果、20世紀の大物理学者であるアインシュタインは、光子の存在を提唱して、ニュートンの粒子説を復活させました。
因みに現代では、量子力学の発展により、光は粒子と波動の両方の性質を持つ、とするのが一般的な考え方となっています。
ニュートンとフックの争いは、現代物理学においては、どちらも正しくどちらも間違っていた、と言えるでしょう。
4.現代でも役立っているニュートンリング
ニュートンリングは、光の干渉や回折の事例として、日々の生活の中でも役立てられています。
特に有名なのはカメラのレンズを製造している工場です。
カメラのレンズを作る際、指定された曲率半径になっているのかどうか確かめなくてはいけません。
そこで利用されるのが、ニュートンリングの現象です。
指定された曲率半径のレンズの上に、製造したレンズをかぶせてリングができるかどうかを確認します。
製造したレンズの曲率半径がズレていると、ニュートンリングが見られるのです。
さらにそのリングの周期や間隔を見れば、どれだけの誤差があるのかも知ることができます。
このようにカメラは、光と切っても切れない関係にあります。
写真用語の1つにも、「ニュートンリング」と呼ばれるものがあります。
フィルムを印刷する時に使うネガキャリアには、フィルムの両面に対して圧着させるタイプがあります。
このケースでフィルムに湿気があると、プリントした時に干渉縞がでることがあるのです。
この干渉縞は、ニュートンリングと呼ばれます。
5.ニュートンリング:まとめ
この記事では、ニュートンリングと光の回折や干渉などをまとめました。
理屈としては、くさび形空気層における光の干渉と同じですが、現代の光学分野でとても役に立っています。
受験でもよく出題されるので、しっかりと理解しておきましょう。
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