光電子とは?光電効果による光電子の運動エネルギーについて

物理 2019.8.30

光電子とは、よく磨いた金属の表面に光を当てたときに飛び出してくる電子のことです。
この現象を光電効果といい、光量子説の誕生に大きな役割を果たしました。
光量子説は、20世紀初めにプランクやアインシュタインが認識しはじめました。量子力学の発展を促す、重要な発見です。
この記事では、光電子や光電効果についてまとめます。



光電子とは?①光電効果について

光電効果

 

光電効果とは、よく磨いた金属の表面に光を当てることで、電子が飛び出してくる現象です。
光電効果は1887年にヘルツによって発見されました。
光電効果には以下のような特徴があります。

  • 光電効果の特徴1

金属に当てる光の振動数がある値 ν0 [Hz] より小さいと、光を強くしても光電子は飛び出しません。

このときν0を限界振動数といい、このときの光の波長を限界波長 λ0 といいます。
限界振動数ν0は金属の種類によって決まる固有の値です。

また、光の速さをcとしたとき

光電子の式
であり、光速は一定ですから、λ0も金属の種類によって固有で決まる値です。

  • 光電効果の特徴2

光の振動数がν0より大きいと、光が弱くても光電子が飛び出します。

  • 光電効果の特徴3

飛び出した光電子の最大の運動エネルギー K0 は、光の振動数によって変化します。

  • 光電効果の特徴4

振動数が一定のまま光を強くしていくと、それに比例して光電子の数は増えますが、K0 は変化しません。

 



光電子とは?②光電効果の詳説

光電効果が表れるのは、光を金属に当てた場合です。

金属は、金属結合により結びついる結晶です(金属結晶)。
金属結晶を支えているのは、静電気力(クーロン力)です。

金属元素は、電子を放出し陽イオンとなり、放出された電子は、金属陽イオンの間で共有しています。
この放出された電子は、金属結晶中を自由に動き回り、すべての金属イオンで共有します。

この電子を自由電子と呼びます。

自由電子の負電荷、そして金属陽イオンの正負荷が引かれあい(クーロン力)、結晶を構築したものが金属結晶です。

自由に電子が移動できますから、よく電気を通し、熱をよく導くのが金属結晶の特徴です。
また、自由電子が光を反射するので、金属光沢が見られます。

金属内の自由電子は、金属陽イオンからクーロン力を受けていますから、この電子が金属の外に飛び出すには、仕事が必要なはずです。

この仕事の最小値Wは、仕事関数と呼ばれ、これも金属ごとに決まっています。
光電効果は、光が電子にWを超えるエネルギーを与えることで起こる現象です。

光量子説が考えられる前には、光電効果は謎の多い現象でした。

つまり、「光は波動であり、粒子である」という考えが出てくるまでは、光電効果がなぜ起こるのかを説明することができなかったのです。

光電効果が発見された歴史と過程

20世紀までは、「光は粒子なのか、それとも波動なのか」という問題は、科学者たちの頭を悩ませてきた問題です。

光の干渉や分光などは、光が波動であると考えなければ説明できませんし、光電効果は光が粒子であると考えなければ説明できない現象です。

そこで、「光は粒子であり波動でもある。粒子と波動の両方の性質を併せ持つ、量子というものだ」と説明されるようになりました。

光の粒子性に着目するときは「光子」、波動性に着目するときは「光波」、2つの性質に着目するときは「光量子」と呼びます。

もしも、光を波動であるととらえただけでは、光電効果の特徴1~4が説明できません。
ご存知のように、光は波動性を持ちます。

光の波動性は、1805年のヤングの実験により証明され、光波が電磁波であることがマクスウェルらによって示されました。

光が波動の性質しか持たないのであれば、振動数が小さくても、強い光ならば強い電場によって電子が飛び出すはずですから、1と2の特徴が説明できません。

さらに、光が波動として電子に作用する場合、飛び出した電子の運動エネルギーは、光の強度とともに増加するはずですから、3と4の性質が説明できません。

光を粒子であると考えれば、1から4の特徴すべてに説明がつきます。
振動数 ν[Hz] の光を考えると、光量子1個がもつエネルギーEは
E=hν
で表されます。

このときのhとは
h=6.63×10-34 [J・s]
(Jはジュール、sは秒)のプランク定数という定数です。

この光子のエネルギーEから、仕事関数Wを差し引いた値が、運動エネルギーの最大値 K0 となりますから
K0=E-W
=hν-W
という関係が成立するはずです。

 

光電効果の測定結果

実際、光電効果の測定結果は、上図のようになります。
5.6はナトリウムの限界振動数であり、10が亜鉛の限界振動数です。

先の式、
K0=hν-W
と、図の測定結果が一致していることがわかるでしょうか。

運動エネルギーの最大値 K0 は、振動数 ν に対する一次関数になっていて、その傾きはプランク定数hですから、2本の直線の傾きが一致しています。

以下のように考えると、感覚と一致するでしょうか。

プランク定数座標

限界振動数ν0や、仕事関数は金属によって異なり、どんな金属でも傾きはプランク定数で一定の値をとります。

振動数が一定以上でなければ光電効果が起こらないのは、振動数が小さい光子1つ1つが持つエネルギーが、非常に小さいためです。

光が強くなっても、それは光子の数が増えるだけで、それぞれの光子が持つエネルギーは変わりません。



光電子とは?③光電効果と日常の中の光の粒子性

日常的に目にする光は、多数の光子を含んでいますから、光の粒子性よりも波動性の方が目につきます。

光の波動性は、光の干渉や分光、回折などで目にすることができます。
金属に光を当てて、光電子が飛び出すような現象を、光電効果ということは既に申し上げました。
この光電効果は、太陽光パネルなどに利用されています。

光合成なども光の粒子性が重要です。
植物が光合成を行うときには、光子一つ一つが化学変化を引き起こします。

もしも植物に太陽光を当てないで、赤外線を当てたとしたら、植物は光合成をできずに枯れてしまいます。
赤外線は振動数が小さく、光子のエネルギーが足りないため、光合成に利用できないのです。

また、本物の真珠と、偽物の真珠を見分けるために、紫外線を当てるのも、光の粒子性を利用したものです。

本物の真珠は、紫外線を当てると蛍光を発します。
蛍光ペンなどに含まれる蛍光物質は、いろいろな振動数の光を吸収して、そのエネルギーの一部を使って、決まった振動数の光を放射します。

青や紫、紫外線は、振動数が高く、当てると強い蛍光を発することができます。
だから、紫外線を当てることで、見分けることができるのです。



光電子とは?④光電効果の例題

光電効果についての例題を解いてみましょう。

問題

プランク定数をh、真空中の光の速さをcとするとき、次の問いに答えよ。
(1) 波長 λ の光子1個が持つエネルギーはいくらか。

(2) ある金属の表面に、波長を連続的に変化させながら光を当てたところ、ある波長 λ0 を境に光電効果が起こった。この金属の仕事関数はいくらか。

(解答・解説は下へスクロールして下さい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答・解説

(1) 光子1個がもつエネルギーは

E=hν

で求められます。光は波動の性質も持っていますから、

c=νλ

です。これをエネルギーの式に代入すると

光電子エネルギー式
が求められます。

(2) 光電効果の公式

K0=hν-W
を利用します。

金属の種類が決まっていれば、仕事関数は定数です。
照射する光の振動数によって、飛び出す光電子の最大の運動エネルギーK0は大きくなったり、小さくなったりします。

振動数が大きいとき(波長が小さいとき)に光電効果が起こり、このときの振動数、波長を、限界振動数、限界波長といいます。

その境目は、丁度、光電子が運動エネルギーを持つか持たないかの境目、つまりK0=0のときです。
ですから、

仕事関数
が、求める仕事関数になります。



光電子とは?⑤まとめ

最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、光電子・光電効果の特徴や考え方についてまとめました。
光電効果についてさらに知りたい方は「光電効果とは?公式・エネルギー・実験など徹底解説!」という記事を参考にして下さい。

ご参考になれば幸いです。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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