音速と時速、雷の計算問題について解説!

物理 2019.9.24

「距離=速度×時間」は小学校のころからずっと、使ってきている式だと思います。
距離の単位には、「km(キロメートル)」「m(メートル)」「cm(センチメートル)」「mm(ミリメートル)」などがあります。
時間の単位には、「秒」「分」「時間」などを使うのが一般的です。
他にも、距離の単位には「光年」、時間の単位には「日」「週」「月」「年」などを使うこともあります。
距離と時間の単位によって、速度の単位も変わります。「時速」「秒速」「音速」などがあります。
この記事では、音速や時速などの速度の単位についてまとめます。

 

音速と時速①時速とは?

速度とは、「単位時間当たりの物体の位置変化」のことです。

「単位時間」というのは、時間の基本となる単位のことです。

1秒を基本単位にするなら「秒速」、1分を基本単位にするなら「分速」、1時間を基本単位にするなら「時速」といった具合です。
つまり、秒速というのは「1秒間にその物体がどれくらいの距離を動くのか」を表す量、同様に時速とは「1時間当たりにその物体がどれくらいの距離を動くのか」という量です。

場合によって、基本となる単位は変わります。
例えば、車などの乗りものの速度を表すときには、時速を使うのが普通です。
人の歩行速度や、走る速度なども時速で表すことが多いです。

一方、光速や音速などの、秒速で表すことがあり、光の速さは秒速300000 kmのように表します。
光は、1秒間に約300000km進みます。
地球が1周40000 km ですから、光は1秒間に地球を7周半することになります。

速度の単位は、「時速○○km」「秒速○○m」のように表します。
また同じ意味の表現として「○○km/時」「○○m/秒」などと表すこともありますし、英語で時間はhour、秒はsecondですから、頭文字をとって「○○km/h」「○○m/s」とも書きます。

音速と時速②速さと速度の違いとは?

日常的には、「速さ」と「速度」はほとんど同じ意味の単語として、区別せずに使うことが多いですが、物理では明確に区別します。
もしも理系の学部や学科に進みたいと思っているなら、今のうちから区別しておきましょう。

速度と速さの違いは、速度が方向をもった単位であるのに対して、速さは方向を考慮しないということです。

速さとは、速度の大きさ(厳密には絶対値をとった大きさ)のことです。

もう少しわかりやすく、例を出して説明します。
自動車が一定の速度で東向きに走っているとします。
1時間で40 km移動したとき、この自動車の速度(平均速度)は「東向きに40 km / h」となり、この自動車の速さは「40 km / h」です。
この自動車の速度は「西向きに-40 km / h」とも表すことができます。

このように、速度は向きの情報も含まれますが、速さと言った場合にはその絶対量だけを表します。
速度はベクトル量、速さはスカラー量といった方が、わかりやすい方もいるかもしれません。

音速と時速③音速とは?

音速というのは、その名前の通り「音の伝わる速さ」「音の伝わる速度」のことです。
先に申し上げた通り、速度と速さは物理上別のものとして扱いますが、音速がベクトル量かスカラー量かは、曖昧ですから、文脈で判断します。

音は触媒中を伝わります。
通常生活で音を伝えている触媒は、空気です。

音波、という言葉があるように、どこかで発せられた音は、触媒中を振動して、波として伝わります。
波と言いましたが、音の振動は、「海の波の高さ」などで想像されるような、感覚的にとらえやすい波とは、触媒の動き方が異なります。
いわゆる、「縦波」と「横波」です。

空気中で、どこかで音が発せられる(物体が振動する)と、近くの空気が押され、その近くの空気の密度が濃くなります。
その濃くなった空気は、さらにその近くの空気の分子を押し、これを繰り返すことで、空気中を音が伝わってゆきます。

このときの分子の動く方向に注目してください。
音が伝わる進行方向と同じ向きに、空気の分子が動くため、「縦波」と呼ばれます。

一方、海で一般的に見られる波は、波の伝わる方向に対して垂直に、水の分子が動いています(波が伝わる方向が横向きであれば、水の分子は上下に動いている)。
このような波は「横波」と呼ばれます。

音速は、触媒の状態によって変わります

まず、触媒が空気か、水か、油かなど、触媒の種類によっても変わりますし、その触媒の温度、密度によっても変わります。
一般的には、固体、液体、気体の順に、音速が速くなります。

これは、触媒の粗密を伝える縦波は、分子同士がしっかり詰まっている固体の方が、その粗密を伝えやすいからです。
また、分子量が小さいほど、速く伝わります。

ヘリウムガスを吸って声が高くなる(ドナルドダック効果)はこれが原因です。
大気中の音速は約340 m/s、水中では約1500 m/s、鋼鉄の棒では約5000 m/sです。

 

音速と時速④マッハとは?

マッハ(マッハ数)の定義は以下の通りです。

マッハ数Mは、流体中を運動する物体の速さをU、その流体中を伝わる音速をaとすると

で表されます。

つまり、マッハ数とは「音速の何倍速いか」を表す量です。

マッハ1は音速のことで、マッハ2なら音速の2倍速い速度を表すことになります。
主に飛行機やミサイルの速度など、空を飛ぶ物体について使われることが多いです。

音速と時速⑤速度=距離の時間微分

速度は距離を時間微分したものである、と聞いたことがある人も多いでしょう。
これについて解説します。
まず微分の定義を確認しておきましょう。

関数 y=f(x) について、xがaからbまで変化するとき、yはf(a) からf(b) まで変化し、


f(x) の平均変化率と言い、


f(x) の x = a における微分係数という。

 

ここで平均変化率を見てください。

 

となっています。

つまり平均変化率とは、「xの変化量に対して、yがどれくらい変わるか」という値を表していて、それを微小範囲で考えたのが、微分係数であるということです。

『速度とは、「単位時間当たりの物体の位置変化」のことです』と最初に言いました。
これはまさしく、平均変化率のことです。

時間の変化量に対して、位置がどれくらい動いているか、を表しているのが速度(平均速度)です。
そして、ある瞬間(時間に対する微小範囲)に対して、速度を考えたものが「瞬間速度」であり、「距離を時間で微分したもの」であると考えることができます。

 

音速と時速⑥雷の計算問題

問題

雷が光ったのを見てから、5秒後にその雷の音が聞こえてきたとき、雷が落ちた地点までの距離は何mか答えよ。ただし、音速は340 m/sとし、光の速さは無視できるくらいに速いものとする。

(*解答・解説は下へスクロール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答・解説

雷の基本的な計算問題です。

まず、雷は雲と雲、雲と地上間の放電によって、光と音を発します。
冬に静電気が発生して、バチッと音がして、光っているのが見えるのと同じです。
この光と音の届く速さの違いによって、雷が落ちた距離が計算できます。

目の前で起きた静電気なら、光と音はほぼ同時に観測できます。
遠くで落ちた雷の場合、光速は音速に比べて非常に速いため、まず光が観測され、それに遅れて音が聞こえてきます。

光の速度は、最初にも申し上げた通り、30万m / sですが、この問題では「無視できるくらい速い」とありますから、雷が発生した瞬間と、その光を観測した瞬間が同時であるとみなします。

5秒後に雷の音が聞こえてきていますから、
5s×340m/s=1700m
となり、雷が発生したのが1700m先であることがわかります。

 

音速と時速のまとめ

最後までご覧くださりありがとうございました。
この記事では、時速や音速などの速度、マッハ数、また雷の計算問題についてまとめました。
ご参考になれば幸いです。

 

アンケートにご協力ください!【利用状況に関するアンケート】

※アンケート実施期間:2023年4月5日~

受験のミカタでは、読者の皆様により有益な情報を届けるため、受験のミカタの利用状況についてのアンケート調査を行っています。今回はアンケートに答えてくれた方から10名様に500円分の図書カードをプレゼントいたします。



記事の内容でわからないところ、質問などあればこちらからお気軽にご質問ください。

中の人がお答えします。

この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

「受験のミカタ」は、難関大学在学中の大学生ライターが中心となり運営している「受験応援メディア」です。