波動方程式とは?基本からわかりやすく解説

物理 2018.11.30

波動方程式とはどんなものなのでしょうか。

我々の世界をミクロで見ていくと、光や音、電磁波、弦など波動として伝わるものが多いです。
こうした波動現象をわかりやすく記述するための、基本となる方程式が波動方程式と呼ばれています。

ここでは基本となる意味を詳しく解説していきましょう。

 

1.量子力学における波動方程式が意味するもの

まず、波動方程式は量子力学においてどのような意味と役割を持っているのか説明していきます。

量子力学とは、我々の目には見えないミクロの世界を扱ったものです。
この量子力学において重視されるのが、波動方程式になります。

波動方程式の解として得られるのが、波動関数と呼ばれるものですね。
解として得られた波動関数は、固有の状態であるとするのが、波動方程式の意味だとされます。

 

 

 

波動関数における固有状態とは、電子の本質になります。
逆に言えば、固有状態になれない関数は、電子の波動関数ではないのです。

つまり固有状態である波動関数を探すことが、すなわち量子力学の本質であると言えます。

基本的にどんな関数であったとしても、作用素の影響を受けるとなにかしらの変化をします。
反対に作用した結果と作用そのものが一致するのは、一般的に考えれば特殊な状態なのです。
しかし、電子における波動関数は必ず固有状態になります。
量子の世界では一般的な変化が特殊で、特殊な固有状態が普通となってしまうのです。

これが波動方程式の本質的な意味になります。

 

もう少しわかりやすい話をしましょう。

基本的に、我々の世界では因果関係があります。

何かしらの原因が法則に作用することで、結果を生じるというものです。

例えば誰かがお金を落としたから、道に落ちているお金を見つけることができるというものですね。

物事には結果があり、結果が出るには必ず原因がある、これが現代的な科学の基礎となっています。

しかし、波動方程式における固有状態を、作用素に入力し、その結果を出力されても固有状態は変わりません。まったく同じ固有状態となってしまうのです。

原因から法則を経て結果がでるのではなく、ミクロの世界では異なるなにかが動いているという話になります。
ただ、ミクロの世界は我々が認識する世界と隔絶しているわけではなく、地続きになっているものです。

だからこそ、この不可思議な現象を多くの人が研究していると言ってもいいでしょう。

 

2.波動方程式で必要になる偏微分とは?

最初にお伝えしておきますが、波動方程式とは偏微分の概念が必要となってきます。

 

偏微分は高校の数学では習わないものですが、そこまで難しいものではありませんから、簡単に説明をしていきましょう。

偏微分というのは、未知となる関数が2個以上の変数関数であることを意味するものですね。

高校の物理学では、波を表す関数としてy=sin(t-x)を習います。

y=sin(t-x)は曲面を使ったグラフで表されます。

変数のx方向は距離を示し、t方向は時間軸です。

関数であるyにおける点を(t[n] ,x[n])だとしましょう。

この時にtについての偏微分係数は、x=x[n]の平面で切り出した時にできる、曲面においてt軸に沿った方向で動く曲線の傾きになるのです。

この偏微分係数が(t,x)の座標上にある任意の点で、定義できるとなると、それは1つの関数になってきます。

つまり、tについての偏導関数と呼んでいるのです。

同じくx軸に沿った面で切り取って導かれるのが、xについての偏導関数となります。
このtとxにおける偏導関数が波動方程式にも表れるのです。

ちなみに波動方程式とは、

という形で表されます。

ここで使われている∂とは、偏微分で使われる記号です。

 

3.波動方程式の解における物理学としての意味は?

物理学において波動方程式は、得られた解から、様々な結論を見ることができるため,とても重視される分野です。

最も大きいのは、量子化がはっきりとわかったということでしょう。

ボーアの原子模型では仮定であった、エネルギー準位や角運動量の量子化など、波動方程式から導出されます。

ただすべての測定値が量子化になるのではなく、位置エネルギーや運動エネルギーなどは当てはまらないケースもあるのです。

 

次に量子力学における観測問題をあげておきましょう。

古典的な力学の世界では、粒子とは常に定まった位置と運動量を持つとされます。

しかし量子力学の世界では、粒子とは決まった物理量を持ちません。

観測するたびに、確率分布によったランダムな測定結果となってしまいます。

波動方程式では、この確率分布のおおよその結果を予測することがができます。

予測はできても本質的な意味においては、観測の結果を求められないというのが、量子力学における不確実性を体現しています。

 

トンネル効果についても解が得られます。

一般的な物理学においては、ボールを山の頂上方向に向けてゆっくりとした速度で転がしたとすると、ボールは途中で止まって転がって戻ってきます。

これは我々が抱く日常的な常識でもあるので、イメージもしやすいはずです。

物理学的に示せば、ボールに与えられた運動エネルギーが、十分な量ではなかったとなります。

しかし、これが波動方程式においては違う解が得られるのです。
それは十分エネルギーがなかったとしても、ごくわずかな可能性で山の反対側にボールが到達するといったものです。

このことをトンネル効果と呼んでいます。

これは先ほどの不確定性原理が働いているからだと考えられています。
ボールが山のこちら側にあるように見えても、量子として考えるとその位置は不確実です。

つまり、山の反対側でボールが転がっている可能性も少ないながらもあるから、となります。

 

科学や工学の分野で良く使われる解が、粒子の波動性です。

波動方程式は偏微分方程式の1つであり、そのため粒子は波としての動きになると考えられていました。

しかし、波動方程式の解が得られたことによって、結果はその逆であったと分かったのです。

つまり、波として挙動することが本質的な実在であって、適切な条件下において粒子としての性質を見せるという形になります。

 

4.波動方程式の豆知識

波動方程式は、別名をシュレーディンガー方程式とも言います。

その名の通りに発見したのは物理学者のエルヴィン・シュレーディンガー(1887年8月12日 ~ 1961年1月4日)です。

量子力学の基礎となる波動方程式の発見をしたことで有名で、生国であるオーストリアでは、紙幣に肖像画が描かれるほどの著名人です。

日本ではご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、「シュレーディンガーの猫」の方が有名でしょう。

量子力学における、代表的な思考実験のことです。

蓋のある箱の中に入れられた猫が、一定時間後に生きているか、死んでいるかを問うものになります。
この時に猫と一緒に放射性物質であるラジウム、ガイガーカウンター、青酸ガスの発生装置を入れるのが前提です。

ラジウムからα粒子が放出されればガイガーカウンターに検出されて、それに連動する青酸ガスの発生装置が作動する仕組みになっています。

α粒子が放出される確率が50%だとすると、箱をあけた時には猫は生きているか死んでいるか、半々の確率です。

では、箱の中の猫はどうでしょうか。

科学的には生きている状態と死んでいる状態が、重なり合っていると解釈するしかないのです。
これは不確定性原理と呼ばれるものですが、この解釈をバカバカしいものであると批判したのが、シュレーディンガー氏なのです。

つまり、「α粒子が放出された状態とされていない状態を同時に持つ」といったような量子(ミクロ)の『重ね合わせの状態』に対する解釈を、我々の世界(マクロ)に拡張させることにより、生きている状態と死んでいる状態が重なり合った猫に置き換え、このような解釈はあり得ないと唱えたのです。

 

5.波動方程式の解説の最後に

波動方程式はとても難しいものです。

高校の物理学では扱わないものも含んでいますので、一般的な入試で問われる可能性は低いでしょう。

ただ量子力学における基礎的なものだけに、知っておいて損はありません。

 


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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