ホイートストンブリッジの公式とは?キルヒホッフの法則と一緒に学ぼう!
ホイートストンブリッジの公式は、イギリスの物理学者であるチャールズ・ホイートストンによって1843年頃から広まりました。
物体のひずみを電圧測定して抵抗値を求めるストレインゲージなどに応用されており、大学の研究室やメーカーの実験など、産学問わず使用されています。
測定回路や図、式はどのように表されるのか、分かりやすく説明していきます。
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ホイートストンブリッジの基本的な使い方
ブリッジ回路の一つであるホイートストンブリッジを図に示すと、その名が示す通り、ひし形の対角に「橋」を掛けたような形をした電気回路であることが分かります。
ホイートストンブリッジの構成要素として、電源Eと、4辺あるひし形の一辺ずつに合計4つの抵抗R1、R2、R3、R4があり、「橋」と見立てた部分には、内部抵抗Rを含んだ検流計Gが組み込まれています。
なお検流計は、電流の大きさだけでなく電流の方向も求められる仕組みを持っています。
ホイートストンブリッジの原理は、4つの抵抗のうち3つ抵抗値が分かっていれば、残り1つの抵抗値がいくつなのかを、電源Eや検流計Gの数値が分からなくても求めることができます。
ホイートストンブリッジの基本公式は、ひし形の対辺がR1とR4、R2とR3の組み合わせとした時、検流計Gに電流が流れていない状態では
R1/R2=R3/R4
が成立します。
検流計Gに電流が流れていない状態を平衡状態と言い、ホイートストンブリッジの平衡条件とも呼ばれています。中学校の理科の授業で、未知の抵抗値を知りたい時には、電圧と電流を求めた上で、オームの法則を使って解いています。一方、ホイートストンブリッジの測定回路を組むことで、電圧と電流を求める必要がなくなります。
基本公式を覚えることで難なく抵抗値を求められるためとても便利です。電源に乾電池を使用した場合など、使用とともに電圧が低下するタイプのものを使うと、電流が安定せず精密な測定が困難ですが、ホイートストンブリッジでは抵抗値を正確に測定することができます。
ホイートストンブリッジは、ストレインゲージなどに応用されていますが、ものづくりの会社や大学の研究室などでよく利用されているため、大学入試対策としてもしっかりと覚えておくことが大切です。
ホイートストンブリッジ回路とキルヒホッフの法則
ホイートストンブリッジ回路では、「どの部分が直列でどこが並列になっているのかよく分からない」という受験生からの声を見かけることがあります。
しかし、大学入試レベルの問題となると、直列や並列の考え方を持ち出すよりも、キルヒホッフの法則とセットで覚えておいた方が楽に問題を解くことができます。
分岐点を持った電気回路では、流れ込む電流の和と流れ出る電流の和は等しいことが知られており、キルヒホッフの第一法則と呼びます。
一本の導線に電流I1が流れている状態から、分岐によって二手の導線に分かれ、それぞれ電流I2、I3が流れている時、I1=I2+I3が成立します。減衰が起きていない限り、電流が回路の途中で増減することはありません。
十字路のような4つの分岐を含んだ回路の時、分岐点に向かってI1、I2、分岐点から離れる方向にI3、I4が流れる場合、I1+I2=I3+I4が成立します。
電流の方向が未知の場合は、I1+I2+I3+I4=0という式が成り立ちます。
閉じた電気回路の電位差の和はゼロですが、これをキルヒホッフの第二法則と呼んでいます。キルヒホッフの第二法則は、登山で例えると分かりやすく、出発地点の標高からどのような登山ルートを辿ったとしても、元の地点に戻ってきたときには標高が同じである、という理屈です。
電流が抵抗を通ることによって電圧降下が起きる時に、降下する方向が分かっている場合は、その向きを不等号の記号を使って回路に書き表しておくと、問題を解くときにプラスマイナスの符号を迷わずに式にすることができるため便利です。
ホイートストンブリッジ回路とキルヒホッフの法則の組み合わせ
次はホイートストンブリッジ回路とキルヒホッフの法則の組み合わせについて解説していきます。
ホイートストンブリッジ回路において、検流計Gに電流が流れていない場合、ひし形の上辺にある抵抗R1とR2に流れている電流はともにI、下辺にある抵抗R3とR4にはそれぞれ電流iが流れています。
抵抗R1とR3、検流計Gを含んだ閉回路の流れをベクトルで書き表し、抵抗R1とR3に電流が通ったことによる電圧降下の向きを、不等号を使って記入します。
ベクトルと電圧降下が同じ方向を向いている時は「プラス」、逆の方向を向いている時は「マイナス」であるため、閉回路をAとすると、閉回路Aのキルヒホッフ第二法則よりR1・IーR3・i=0と書き表すことができます。
式を移行すると、R1・I=R3・iとなります。抵抗R2とR4、検流計Gを含んだ閉回路Bも同様の考え方で求めることができ、閉回路BはR2・IーR4・i=0、移行してR2・I=R4・iとなります。
未知の抵抗R4を求めたい時に、閉回路AとBに含まれている電流I、iは計算上邪魔になりますが、AとBの右辺と左辺をそれぞれ割り算の形にすることで消すことができます。R1・I/R3・i=R2・I/R4・iとなり、Iとiはそれぞれ約分されるため、R1/R3=R2/R4と抵抗だけが残ります。
分数の形が覚えにくい場合は、それぞれの分母をたすき掛けし、R1・R4=R2・R3とすることで分かりやすくなるため覚えておきましょう。
ホイートストンブリッジ回路を用いた例題
ホイートストンブリッジは、大学入試では出題されやすい問題の一つと言われており、確実に解けるようにしておくことが大切です。
入試問題としては差が付きやすいとは言えないため、取りこぼしは禁物です。頻出するホイートストンブリッジ回路の形には一定の傾向が見られます。
ひし形の上辺に既知の抵抗R1と、未知の抵抗R、ひし形の下辺は一定の太さで作られた長さaの抵抗AC上に、検流計Gの接点Bを自由に移動できるようにした回路を用いることが多いです。
抵抗AC上を自由に動く設定Bの位置によって、抵抗AB、抵抗BCと分けられますが、ある位置になると検流計Gに電流が流れなくなります。
この時の抵抗ABの長さをxとしたときに、抵抗RをR1とxを用いて解く問題をよく見かけます。抵抗ABの長さがxの時、抵抗BCの長さはa-xです。
抵抗Rはρ・l/Sで表すことができ、lは長さ、Sは断面積、すなわち太さを示します。
ホイートストンブリッジの基本公式により、ρとSはそれぞれ約分されるため、R=R1・(a-x)/xと式をまとめることができます。
まとめ
ホイートストンブリッジ回路は、キルヒホッフの法則と組み合わせて覚えることで受験問題にも対応することができるようになります。
測定回路上の閉回路の流れ、電圧降下の向きなどを図示化することで式を導きやすくなり、抵抗値を求める問題にも難なく対応することが可能です。
演習を繰り返し、本番の試験に対応できる力を身につけていきましょう。