【物理勉強法】慶應理工生が解説!難関大に合格する物理の勉強法
この記事では、慶應理工生の私が行っていた物理の勉強法を解説します。
私は高校2年生までは定期テストの前に無理やり公式を丸暗記し、何とか赤点をとらないようにすることで精一杯でした。
しかし、苦手科目であった物理を得意科目にし、慶應大学理工学部に現役合格することができました。そんな私が、実際に自分が行った、習熟度に合わせた物理の勉強法を解説していきます。
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1.ステップ1:基礎
1-1.ポイント①:現象のイメージを掴む!
1-2.ポイント②:公式は暗記と導出どちらも行う!
1-3.ポイント③:難関大学を目指す人はできれば微積を使おう
2.ステップ2:演習
2-1.ポイント①:同じ問題集を何度も解く!
2-2.ポイント②:少しでも不安なところがあれば基礎から何度も確認する!
3.ステップ3:過去問を解く
3-1.ポイント①:解くスピードを意識する!
4.まとめ
1.ステップ1:基礎
どの科目でも基礎が大切だと言われますが、物理はほか科目以上に基礎が大切です。なぜなら、物理は基本原理に基づいて現象を理解する科目であるからです。
私は高校3年生の4月~7月にかけてしっかりと基礎固めをしたことで、最終的には物理が得点源となりました。
基礎固めとは具体的に何をしていたかというと、予備校の授業を受けて、基本的な問題を解いていました。その際、どのようなことを意識していたのかを述べていきます。
ポイント①:現象のイメージを掴む!
現象のイメージを掴むことを意識していました。
例えば、力学分野のばねの問題であれば、どこに重りがついていて、どこに力が作用していて、時間が経過するにつれてばねがどのように伸縮するかを簡易的な絵で書いていました。
今自分がどのような現象を取り扱っているのかを熟知することは、物理においてとても大切です。
ポイント②:公式は暗記と導出どちらも行う!
授業や問題に出てきた公式は、暗記と導出をどちらも行いました。限られた試験時間内で問題を解くためには、いちいち公式を導出していくことは難しいので暗記は必須でしょう。しかし、物理をより体系的に理解するためには公式を導出することも非常に重要です。
例えば、図のように密度がρ[kg/m^3]である液体に、体積がV[m^3]である物体が完全に沈んでいるときに働く浮力Fは、
F=ρVg
です。
「物体に働く浮力の大きさは、その物体が押しのけた体積分の流体に働く重力の大きさと一致する」というわけです。これは、アルキメデスの原理と呼ばれます。
この式は、ただ単に暗記するだけでなく、どのように導出されるのか理解しておくことが望ましいです。
以下に導出を示します。
浮力は物体上面を押す力と物体下面を押す力の差によって生じます。
まずは水圧の一般式を求めてみましょう。流体の密度をρ、深さをhにおける水圧の大きさをPとします。また、大気圧の大きさをP₀とします。
断面積S、水面までの高さhの円柱を切り取ってみます。この円柱に働く力は釣り合っています。力のつり合いの式から、
PS=P₀S+ρShg
P=P₀+ρhg
となります。
それでは、図 のように体積V、底面積A、高さHの筒状の物体が流体中にある場合に、物体に働く浮力を求めてみましょう。
水面から物体上面までの深さをh₁、水面から物体下面までの深さをh₂とします。物体上面に働く力の大きさF₁は、
F₁=(P₀+ρh₁g)A
物体下面に働く力の大きさF₂は、
F₂=(P₀+ρh₂g)A
となります。
浮力は、物体上面と下面に働く力の差によって生じます。浮力をFとすると
F=F₂―F₁
=(P₀+ρh₂g)A―(P₀+ρh₁g)A
=ρ(h₂―h₁)gA
=ρHAg
=ρVg
となります。
このような導出を行うことによって、浮力の公式(アルキメデスの原理)は、水圧が水深に比例していることによって成り立っており、さらに水圧の式は力のつり合いの式から必然的に決定されていることが分かります。
ポイント③:難関大学を目指す人はできれば微積を使おう
私は微分積分を使って物理を学習していました。特に難関大学を目指す人には微分積分を用いて学習することをおすすめします。なぜなら、難関大学ではよくある問題、典型的な問題のほかに、基本原理から自分で思考して解き進めていくような問題が出題されるためです。
微分積分を用いることで、物理のさまざまな法則を原理から導出することができ、本質を理解することができます(逆に微積を使わない場合、導出しきれない法則が多くなります)。少々の応用問題が出題されても、本質を理解していれば自分の力で解くことができます。
例えば、運動量保存則や力学的エネルギー保存則は、運動方程式の積分によって導出することができます。運動量保存則、力学的エネルギー保存則という法則の背景には、運動方程式という基本原理の存在があることが分かります。どの式が原理であり、どの式が原理から導かれたものであるのかを理解することは、体系的な理解につながります。
2.ステップ2:演習
取り扱っている現象のイメージがつかめてきて公式の暗記や導出ができるようになったら、実際に公式を用いて問題を解く訓練をしました。時期は高校3年生の7月~11月ごろでした。問題演習の際にどのようなことを意識していたのかを解説していきます。
ポイント①:同じ問題集を何度も解く!
受験生は不安なので、「たくさん量をこなそう」と思って色いろいろ問題集に手をつけがちですが、私は同じ問題集を何度も解くことをおすすめします。
特に理系科目では、たくさんの問題を解いてパターンを暗記するより、少ない問題数でもひとつひとつの問題をしっかりと理解することの方が大切です。実際に私は、通っていた予備校の問題集と授業の演習で扱った問題だけを何度も反復していました。
ポイント②:少しでも不安なところがあれば基礎から何度も確認する!
問題演習を行っていく中で、解答解説を読んでもどのような原理から答えが導かれるのか分からない場合や、定義が曖昧になっている部分があれば、何度も基礎にかえって復習しました。
一つひとつの問題に対し、なぜその答えが導かれるのかを1から説明できるようにすることを心がけました。
3.ステップ3:過去問を解く
入試直前期には過去問演習を行いました。時期は高校3年生の11月ごろ~本番でした。やはり学校によって傾向が異なるので、過去問演習は必須でしょう。また、学校によっては出題分野が周期的になっていて、今年出題されるであろう分野が予測できます。もちろん過信してはいけませんが、出題分野の周期を調べておくことも大切です。
過去問演習の際に意識していたことを紹介していきます。
3-1.ポイント①:解くスピードを意識する!
過去問演習では時間配分の練習をしました。出題問題量は大学ごとに差があります。「この大学は出題量がすごく多いから、わからない問題はすぐに飛ばして次にいったほうがよいな」といった時間配分の感覚を身につけましょう。
また、例えば大問3問で制限時間が60分の学校の場合、ひとつの大問に18分かけて残り6分は見直しにあてるなど具体的な時間配分を決めておくことが大切でしょう。
まとめ
習熟度に合わせた物理の勉強法を紹介しました。少しでも参考にしていただけると嬉しいです。
私は高校3年生の4月から本格的に物理を勉強しはじめ、それぞれのステップに3か月半ほどの時間をかけました。勉強を始める時期が遅かったので物理の勉強に時間を多く割かざるをえなくなり、ほかの科目の勉強がやや手薄になってしまいました。受験科目として物理を使う予定の人は、やはり高校1年生、高校2年生のうちから物理の勉強を進めておくに越したことはないでしょう。
皆さんに良い春が訪れることを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。