大学入学共通テストとは?注目の新入試の方針まとめ

受験トピックス 2018.7.9

2020年度から、従来の大学入試センター試験に代わって実施される「大学入学共通テスト」について、受験生が知っておくべきポイントをまとめました。

特に、大学受験をする予定の中学生や高校1年生は必見です。

この記事にしっかりと目を通し、新入試について理解してくださいね。

 

※この記事は2018年7月に公開されたものです。

 

1.大学入学共通テストの実施方針は?

「大学入学共通テスト」とは、2020年度から現行の大学入試センター試験に代わって実施される、大学教育を受けるために必要な力を図るためのテストです。

※ここで言う「2020年度」とは、受験するのが2020年度=実施日は2021年1月中旬で、受験者は2021年度から大学入学予定ということです。

Webサイトなどにより「2021年度入学者選抜」「平成32年度の試験」「平成33年度大学入学者選抜」などと書かれていますが、同じ年の試験を指しています。

 

「共通テスト」「新テスト」とも呼ばれている「大学入学共通テスト」ですが、2020年度からずっとこの方式で進むわけではなく、2024年度からは、また出題などが変化します。

そのため、現在発表されている2020年度から2023年度の「大学入学共通テスト」は、順当に行けば、現在(2018年度)の中学1年生から高校1年生までが受験ることになります。

これは、学校で習う内容を定めた「学習指導要領」が、この期間で変わっているため、それらに対応するようにテストも変わることが理由です。

 

また、出題内容としては、思考力・判断力・表現力をより一層重視した問題が作成されます。

問題解決のプロセスを自分で考えることが求められる問題や、複数のテキストや資料から情報を組み合わせることが必要な問題、日常生活や他の教科・科目、社会と関連付けた問題などが出題されるようです。

 

それでは、2020年度~2023年度の大学入学共通テストの各項目について、どのような変更があるのか詳しく見ていきましょう。

 

2. 大学入学共通テストでは、国語や数学の記述式問題が導入される!

大学入学共通テストでは、「国語」「数学Ⅰ」「『数学Ⅰ・A』の数学Ⅰの範囲」で、マークシート形式の問題に加えて、記述式問題も出題されます。

 

国語の記述式問題

大学入学共通テストの国語で記述式問題が出題されるのは、古文・漢文を除いた「総合国語」です。

 

出題される記述式問題は3問程度で、その中には文字数80~120字の問題が含まれます。

国立大学の個別試験等で見られる記述式問題と比べると短いですが、その分、考えをまとめていないと文字数オーバーしてしまう可能性もあります。

 

試験時間はマークシート形式の問題と合わせて100分で、従来のマークシート形式だけの試験より20分ほど長くなっています。

記述式問題では問題用紙に下書き欄が用意されているので、実際の試験では解答用紙に清書を書き写す時間も必要です。

 

国語の記述式問題で評価される基準としては、

・図を含めた複数の情報を統合し構造化して考えをまとめる能力

・考えをまとめた過程や結果について、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述する思考力・判断力・表現力

・情報と情報の関係性の吟味・構築力

・情報を編集して文章にまとめる能力

が挙げられています。

つまり、文章や図を「読み取る→組み立てる→まとめる」ことを、論理的にできているかどうかということが重視されるようです。

 

また、出題される文章の素材としては、

・論理的な内容を題材にした説明、論説等

・新聞記事・社説、会議等の記録、実務的な文章(取扱説明書、報告書、提案書等)、契約書や法令の条文、公文書等

・統計資料(図表・グラフ等)を用いた説明等

などが例として挙げられています。

大学入学共通テストにむけて勉強をする際には、このような文章を読みなれるために練習をすることも効果がありそうですね。

 

数学の記述式問題

数学の記述問題は、「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・A」のうちの「数学Ⅰ」の範囲で出題されます。

 

問題数は3問程度で、大問の中にマークシート式問題と記述式問題が混在して出題されます。

試験時間はマークシート形式の問題と合わせて70分なので、従来のマークシート形式だけの試験より10分ほど長くなります。

 

出題形式の例としては、

・数式、図表、グラフなどから問題を解く

・問題を数式、図表、グラフなどにして解く

・問題解決するに当たって把握すべき数学的な事柄・事実や、問題解決に向けた構想を立てることなどの問題解決の方略を表現すること

・問題解決のプロセス全体を表現すること(いわゆる証明問題など)

が挙げられています。

 

しかし、平成29年度試行調査の問題を見る限り、こちらも大学の個別試験のような長い証明問題を記述させるというより、数式や数行の説明を記述させる問題が主となるようです。

また、回答の際には、答えるべきポイントをきちんと押さえること、また、数学で使われる言葉づかいを意識することがポイントとなります。

 

さらに、2024年度からは地歴・公民や理科でも記述問題が出題されることが検討されています。

 

 

 

追記※2019年12月に、記述式試験の導入見送りが決定しました。
・試験時間は、数学のみ10分延長で70分、国語は従来通りの80分です。
・また、国公立大学の入試において、リスニングの配点比率が従来より高くなる場合があります。選抜要項などで予め確認しておくことをお勧めします。

3. 試行調査(プレテスト)とは?

センター試験や共通テストの問題作成などを行う大学入試センターは、大学入学共通テストの問題構成・内容・改善や採点方法等について適切かどうかを調べ、検証するために、試行調査(プレテスト)と呼ばれる調査を行っています。

これは、全国の高校や中高一貫校などの協力校で、高校2年生以上の生徒たちに問題を解いてもらい、改善点などを調べるためのものです。

 

もちろん、実際の試験は、試行調査(プレテスト)の時から改善される可能性はありますが、初めて大学入学共通テストを受験する学年にとっては、いい練習問題だと言えそうです。

大学入学共通テストの実施に向けて、民間の模擬試験や問題集なども出されるはずですが、やはり大学入試センターの作成した問題が、一番、実際の問題の傾向に合っているからです。

 

過去に行われた試行調査(プレテスト)は、大学入試センターのホームページに問題・解答が公開されているので、事前に解いて時間配分や問題構成を掴んでおくといいでしょう。

 

4.入試改革で英語の民間試験を使うって?

大学入学共通テストの話題と一緒に、2020年度からは大学入試でTOEFL、ケンブリッジ英語検定、GTECなど民間の英語資格・検定試験を使うと聞いたことがあるかもしれません。

 

これまでの大学入試センター試験では、マークシート式のリーディングや文法などの問題と、リスニングの試験が行われていました。

しかし、外国語には「リーディング」「リスニング」のほかに、「スピーキング」「ライティング」という要素もあり、これらの4つを合わせて「英語4技能」といいます。

これからの社会で必要とされる英語4技能を測るため、2020年度から2023年度は、大学入学共通テストの枠組みの中で、いくつかの一般的な民間の英語資格・検定試験を利用することになりました。

 

「大学入学共通テストの枠組みの中で利用」というのは、受験生が高校3年生の4月~12月に受験した英語の資格・試験の成績を、大学入試センターが、共通テストの成績と一緒に各大学に提供するというものです。

つまり、2020年度から2023年度の間は、大学入学共通テストの「英語」と、民間の英語資格・検定試験をダブルで受験することになります。

各大学は、それらの成績と、個別試験などの成績を合わせて、合否を判定します。

 

追記※2019年11月に、英語民間試験の導入見送りが決定しました。

しかし、英語の資格試験は、入学後の学習や就職の際、自身の英語力をアピールするための指標になります。

実用的な英語四技能を身に着けるためにも、高校生のうちから取り組んでみるのはいかがでしょうか。

5.さいごに

いかがだったでしょうか。

あまり前例のない試験を受けるのは不安かもしれませんが、同じ年に受験するライバルも条件は同じです。

しっかりと情報収集をして、自信をもって受験勉強に取り組んでくださいね。

 

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この記事の執筆者

ニックネーム:みかちー

筑波大学社会・国際学群4年
得意科目:国語、英語、日本史