準動詞とは?動詞との違いや実際の使い方も解説
「勉強中に『準動詞』が出てきたけど、動詞と一体何が違うんだろう?」
準動詞は、受験生にとって難しい文法の一つだと言われています。そのため、準動詞がどういうものなのかを知りたいと思っている人も多いでしょう。
そこで、この記事では、準動詞について詳しく解説します。具体的には、準動詞の基本的な概念から、準動詞の種類や使い方、そして実践的な練習問題と解説まで、わかりやすく説明します。受験英語に頻出する準動詞をしっかりと理解し、他の受験生たちに差を付けましょう。
【 目次 】
1.準動詞とは?不定詞・動名詞・分詞・分詞構文の呼び名
1-1.名詞・形容詞・副詞の働きをする動詞
1-2.準動詞は動詞の働きはしない
1-3.準動詞の種類によって主語の書き方が異なる
2.準動詞の種類
2-1.不定詞:名詞・形容詞・副詞の働きをもつ
2-1-1.名詞的用法
2-1-2.形容詞的用法
2-1-3.副詞的用法
2-2.動名詞:名詞の働きをもつ
2-3.分詞:形容詞の働きをもつ
2-4.分詞構文:副詞の働きをもつ
3.【形別】準動詞の見分け方
3-1.to+動詞の原形の場合
3-2.動詞+ingの場合
3-3.ingやedで終わる場合
4.受験に出やすい!準動詞の練習問題と解説
5.まとめ
準動詞とは?不定詞・動名詞・分詞・分詞構文の呼び名
準動詞とは、不定詞、動名詞、分詞、分詞構文の総称です。準動詞は一見、動詞のように見えますが、実際には名詞、形容詞、副詞としての働きを持っています。
また、準動詞は種類によって主語の書き方が異なりますので、一つ一つの特性を理解していくことが大切です。
名詞・形容詞・副詞の働きをする動詞
準動詞は動詞のような意味合いを持っていますが、実際には名詞、形容詞、副詞として機能する少し変わった動詞です。ここでいう準動詞には、不定詞、動名詞、分詞が含まれます。
この説明では「動詞なのに、名詞や形容詞として機能するってどういうこと?」と疑問に思っている方も多いはずです。そこで、不定詞の英文を見てみましょう。
訳)私は本を読むことが好きです。
この英文では、「to + read」が不定詞に該当します。この部分は「読む」という動詞の意味合いを持ちながら「読むこと」、つまり、名詞として機能しています。
このように、準動詞が「述語動詞」と呼ばれる通常の動詞(例文だとlike)の位置に来ることはありません。つまり、準動詞は動詞の真似をしているだけなのです。
準動詞は動詞の働きはしない
準動詞は動詞の働きはしません。準動詞は動詞を変形させることで名詞、形容詞、または副詞として活用する品詞だからです。どういうことなのか、例文とともに解説します。
Learning English is difficult.
訳)英語を学ぶことは難しい。
まずは、日本語から考えてみましょう。「学ぶ」は動詞です。しかし、「学ぶこと」には「こと」がついているので、動詞ではなく名詞の働きをしていると判断できます。そのため、「学ぶこと」は準動詞だといえるのです。
これは英語でも同じです。「learn」は動詞ですが、「to learn」は不定詞として、「learning」は動名詞として名詞の働きをしています。つまり、「to learn」も「learning」も準動詞だといえるのです。
また、準動詞がどの品詞として使われているかを見極めることによって、文の構造や意味が大きく変わることがあります。例文を見てみましょう。
訳)弟を驚かせるために、私はカーテンの後ろに隠れた。
この英文には、不定詞「To surprise」が使われています。日本語訳を見てみると「弟を驚かせるために」とあるので、この不定詞は副詞(動詞や文章全体を修飾する品詞)として機能しているのがわかります。
もし、この不定詞を名詞だと勘違いすると、「弟を驚かすことは、私がカーテンの後ろに隠れた。」という不自然な意味になってしまいます。このように、使われている品詞が何なのかを見極められなければ、英文の意味をうまく把握できないのです。
準動詞の種類によって主語の書き方が異なる
どの準動詞を考える上でも重要なのは、主語の書き方です。準動詞には、英文の主語とは異なる「意味上の主語」というものがあります。
不定詞の場合、意味上の主語は「for + A(人/もの)」の形で表されることが多いです。
訳)英語を勉強することは、彼にとって大切だ。
この文の主語は「It」ですが、文章の意味を考えると、主語は「彼」になります。このように、英文の主語ではなく、文章の意味を考えたときに主語だと考えられるものを「意味上の主語」と呼びます。
一方、動名詞の意味上の主語は所有格で表されます。所有格とは「my, your, his, her」など名詞の前につける品詞で、その名詞の所有者を表すことができます。「My name」は「私の名前」と訳しますが、この場合の所有格は「my(私の)」です。
それでは、動名詞の意味上の主語を見てみましょう。
訳)彼らは、私の犬がドアを開けるのに驚いた。
英文の主語は「they」ですが、「ドアを開ける」という動作を行った主語は「my dog‘s」です。そのため、「my dog‘s」が意味上の主語になります。
また、分詞構文の場合は、「文の主語=意味上の主語」の関係性があります。
訳)彼が英語を学んでいるとき、母から電話がかかってきた。
この場合は英語を学んでいるのも、電話に出たのも「he」です。つまり、英文の主語と意味上の主語は同一人物です。
最後は分詞です。分詞には現在分詞と過去分詞の二種類があります。何が意味上の主語になるのかによって、使用する分詞が異なるため、注意が必要です。
現在分詞は、主に進行中の動作や状態を表し、その動作を行うものが主語と一致することが多いです。
訳)私は昨日猫を見た。
この例文の現在分詞は「saw」で、動作主は「I」です。そのため、意味上の主語は「I」だとわかります。
一方、過去分詞は動作の完了や受動を示すため、主語が動作の受け手であることがほとんどです。
訳)嵐によって壊れた木が道路をふさいでいた。
過去分詞は「Broken」で、動作を受け手は「the tree」です。つまり、木は「壊されるもの」なので過去分詞が使われているのです。また、意味上の主語は「the tree」となります。
準動詞の種類
準動詞には、不定詞、動名詞、分詞、分詞構文の四種類があります。それぞれの用法について、わかりやすく解説していきます。
不定詞:名詞・形容詞・副詞の働きをもつ
不定詞は、「to + 動詞の原形」という形を取ります。また、不定詞には、三つの用法があります。名詞の働きをする名詞的用法、形容詞として機能する形容詞的用法、そして副詞の働きを持つ副詞的用法です。
名詞的用法
名詞的用法において、不定詞は文中で名詞として機能します。
訳)英語を学ぶことは楽しい。
「To learn」が主語、つまり、名詞として機能しています。
もちろん、主語以外にも補語や目的語としての使用も可能です。
形容詞的用法
形容詞的用法では、不定詞は名詞や代名詞を修飾します。
訳)私は何か飲み物が欲しい。
この場合、「to drink」が「something」を修飾しています。日本語から考える場合は、この英文を直訳するとわかりやすいです。直訳は、「私は何か飲むべきものが欲しい」です。
この場合、「飲むべき」という形容詞が「もの」という名詞を補足することで、どんなものが欲しいのかをわかりやすく伝えています。
副詞的用法
副詞的用法では、不定詞は英文の中で副詞のように動詞を修飾します。こちらの例文をご覧ください。
訳)彼女は勉強するために図書館に行った。
この例文では、「to study」が動詞の「went」を修飾しているため、彼女が図書館に行ったのかがわかります。また、副詞的用法には理由や文章全体を修飾する場合もあります。
不定詞についてもう少し詳しく知りたい方は「▶【中学英語】不定詞とは?形容詞的用法・副詞的用法・名詞的用法を例文付きで解説します!」をご覧ください
動名詞:名詞の働きをもつ
動名詞は、名詞の働きをする動詞です。文の中で主語、目的語、補語として活用できるもので、「ing」の形で表現されます。
「動名詞は不定詞の名詞的用法と似ているけど、何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。不定詞の名詞的用法とは異なり、動名詞は前置詞の後に置いて使用可能です。
たとえば、
訳)彼は毎晩遅くまで働くことに疲れている。
この例文は、前置詞「of」の後ろに動名詞「working」が置かれている正しい英文です。
しかし、
この文章は前置詞の後に不定詞が来ているため、文法的に不適切です。なぜ不適切なのかを説明することはできず、これは英語のルールとして昔から存在しています。
また、このルールに例外はありません。そのため、「前置詞の後に置けるのは動名詞だけ」と暗記するといいでしょう。
動名詞についてもう少し詳しく知りたい方は「▶︎動名詞~ingとは?間違いやすい①意味上の主語②前置詞③完了動名詞を解説!」をご覧ください。
分詞:形容詞の働きをもつ
分詞は、動詞が変形して形容詞や副詞の役割を果たします。分詞には、動詞に「ing」が付いた現在分詞、動詞に「ed」が付いた過去分詞の二種類があります。
訳)先生と話している女の子は私の妹だ。
この英文では、「talking」という現在分詞が「the girl」の形容詞として機能しています。このように、現在分詞は今行われている動作を表したり、動作を行う人を修飾するときに使われます。一方で、過去分詞は受け身のときに使われることが多いです。
分詞についてもう少し詳しく知りたい方は「▶︎分詞とは?5分でわかる分詞の基礎と現在分詞・過去分詞の使い分け」をご覧ください。
分詞構文:副詞の働きをもつ
分詞構文とは、分詞が時や条件を表す副詞節(主語と動詞を持つ意味のまとまり)として機能する構文のことです。この分詞構文は、日常会話よりも新聞、書籍、論文などのフォーマルな文章でよく見られます。
訳)雨が降っているのを見て、彼女は傘を開いた。
この文において、分詞構文は「Seeing the rain」の部分です。この部分が「she opened her umbrella」の条件を表しています。つまり、「彼女が傘を開けたのは、雨が降っていたからだ」という情報を、分詞構文を使用してわかりやすく説明しているというわけです。
分詞構文についてもう少し詳しく知りたい方は「▶︎分詞構文の訳し方とは?受験生の気になるについて徹底解説!」をご覧ください
【形別】準動詞の見分け方
ここまで準動詞の概要や種類について詳しく解説してきました。ここからは、準動詞の具体的な使い方や特徴について説明していきます。
to+動詞の原形の場合
まずは、「to+動詞の原形」の形を取る準動詞、不定詞から解説します。この不定詞は、文脈によって名詞、形容詞、または副詞として機能します。どの品詞として機能しているのかは、不定詞が何を修飾しているかで見分けることが可能です。
たとえば、
訳)私は本を読むことが大好きだ。
という文では、不定詞の「to read」が動詞「love」を補足しており、動詞を補足するのは目的語です。そのため、この不定詞は名詞として機能していると判断できます。
続いて、こちらの英文をご覧ください。
訳)ここはお土産を買う場所だ。
この英文では、不定詞「to buy」が名詞「the place」を修飾しています。名詞を修飾できる品詞は形容詞のみなので、この不定詞は形容詞の働きを持っているとわかります。
では、次の英文はどのように使われているでしょうか。
訳)彼は英語を学ぶためにロンドンに引っ越した。
こちらも同じように、不定詞「To learn English」が何を修飾しているかを考えましょう。今回は、不定詞が動詞「moved」の理由を補足している、つまり、動詞を修飾しているとわかります。そのため、この不定詞は副詞だと判断できます。
このように、不定詞が修飾する対象を落ち着いて読み解けば、問題なく理解できます。
動詞+ingの場合
準動詞には、「動詞+ing」の形を取るものがあり、これを動名詞と呼びます。動名詞は基本的には名詞として機能します。
訳)私は泳ぐことを楽しむ。
この例文では、「swimming」は動名詞として「enjoy」の目的語、つまり、名詞として機能しています。
もう一つ例を見てみましょう。
訳)読書は私の趣味だ。
動名詞の「Reading」は英文の主語、つまり、名詞の働きを持っています。
ingやedで終わる場合
「ing」や「ed」で終わる英単語は、準動詞の分詞に分類されます。分詞には、二つの形があり、一つめは現在分詞で動詞の原形に「ing」を付けた形、二つめは過去分詞で動詞の過去形で、「ed」や「t」が語尾に付くことが多いです。
まずは、現在分詞から理解を深めていきましょう。
訳)歌っている鳥は美しい。
この英文の中にある現在分詞は「singing」で、「bird」を修飾しています。ここで、現在分詞が使用されているのは、「bird」が「singing」という動作を行うからです。このように、分詞と被修飾語の関係が能動的である場合は、現在分詞を使いましょう。
続いて、過去分詞です。
訳)壊れた窓は修理された。
この場合、過去分詞は「broken」で、「window」を修飾しています。こちらも同じように、「window」と「broken」の関係性を考えてみましょう。「窓」は「壊される」ため、今回の分詞と被修飾語の関係は受動的であるといえます。そのため、現在分詞ではなく、過去分詞がふさわしいと考えられます。
受験に出やすい!準動詞の練習問題と解説
それでは、ここまで学んだことを活かして準動詞の練習問題にチャレンジしてみましょう。解答のコツは、準動詞がどの品詞として機能しているかを正確に見極めることです。
(1)彼は走るのが好きだ。
He enjoys ( ).
①running ②ran ③run
(2)彼女にはやるべきことがある。
She has ( ).
①doing something ②something to do ③to do something
(3)私は彼に会うためにここにいる。
I am here ( ).
①meeting him ②met him ③to meet him
(4)私たちは学ぶことが大切だ。
It’s important ( ).
①for us learning ②to learn for us ③for us to learn
(5)その壊れた窓は昨日修理された。
The ( ) window was repaired yesterday.
①breaking ②broke ③broken
(6)私は泳ぐのが怖い。
I’m scared of ( ).
①swimming ②swam ③ to swim
(7)時間がなくて、彼は急いでいた。
( ), he was in a hurry.
①Had no time ②Having no time ③Have no time
(8)私は雨が降っている中で走るのが好きです。
I enjoy running ( ).
①in the rain falling ②in the rain fallen ③in the rain to fall
まずは、丸付けをしましょう。こちらが解答です。
(1)①running
(2)②something to do
(3)③to meet him
(4)③for us to learn
(5)③broken
(6)①swimming
(7)②Having no time
(8)①in the rain falling
それでは、解説を見ていきましょう。間違えてしまった問題はもちろん、正しかった問題も理解を深めるために解説を読むことをおすすめします。
(1)
正解は、動名詞の「①running」です。どの選択肢が正しいのかを考えるために空欄の前を確認すると、動詞「enjoy」が見つかります。動詞の後に来るのは、目的語です。そのため、名詞として機能できる①が答えだと判断できます。
(2)
正解は、不定詞の「②something to do」です。大切なのは、不定詞が何を修飾しているのかを見極めることです。続いて、選択肢を見てみると、名詞「something」がすべての選択肢に入っていることに気が付くはずです。名詞を修飾できるのは形容詞なので、形容詞として機能できる不定詞が正解だとわかります。
また、形容詞的用法の不定詞は名詞の後ろに置かれることが多いです。英語は結論から先に伝えたがる言語だからです。つまり、先に「something」という名詞を伝えてから、その詳細を後ろから補足するのです。これを、「後置修飾」といいます。
(3)
正解は、不定詞の「③to meet him」です。今回は、「I am here」(私がここにいる)理由を説明する副詞的用法で使用されています。なぜなら、「彼に会うため」が「いる」という動詞を修飾しているためです。
(4)
正解は、「③for us to learn」です。こちらも不定詞ですが、今回は名詞「学ぶこと」として機能しています。
また、英文の主語は「It」ですが、日本語訳を見てみると「私たちが」となっています。このように、英文中の主語ではなく、文の意味を考えたときに現れる主語のことを「意味上の主語」といいます。不定詞の場合、「for + A(人/もの)」のAが意味上の主語に該当します。
(5)
正解は、過去分詞「③broken」です。準動詞の分詞を考える上で大切なのは、分詞と修飾語の関係です。この関係が能動的か、受動的かで使用する分詞が異なります。
今回の修飾語は「窓」です。窓は自発的に壊れるものではなく、壊されるものです。つまり、分詞と修飾語の関係は受動的なので、過去分詞が答えだとわかります。
(6)
正解は、動名詞の「①swimming」です。前置詞の後には名詞が来ますが、英語のルール上、不定詞を置くことはできません。そのため、「前置詞の後に置けるのは動名詞だけ」と暗記しましょう。
(7)
正解は、「②Having no time」です。これは、分詞構文と呼ばれる構文で、時や条件を説明するときによく使用されます。今回は、「時間がなかった」という条件が「彼を急がせていた」という情報を分詞構文を使ってわかりやすく伝えています。
(8)
正解は、「①in the rain falling」です。ここでは現在分詞「falling」が名詞「the rain」を修飾しています。なぜ過去分詞「fallen」ではなく、現在分詞「falling」が正しいのかというと、雨は自発的に降るものだからです。つまり、分詞「falling・fallen」と修飾語「the rain」の関係性は能動的だといえるため、現在分詞「falling」がふさわしいと判断できます。
まとめ
この記事では、準動詞の基本的な概念から、その種類、使い方、特徴について詳しく解説しました。準動詞は動詞ではなく、名詞、形容詞、副詞として機能します。また、準動詞には不定詞、動名詞、分詞、分詞構文の四種類があります。
それから、それぞれの準動詞が文の中でどのように機能するのか、その用法についても例文と共に学習しました。
その後、受験においてよく出題されるポイントを中心に、実際に問題を解いて理解を深めました。このとき、大切なのは準動詞がどの品詞として機能しているかを正確に見極めることです。このコツを忘れずに何度も練習問題に取り組み、準動詞をマスターしましょう。