期待値を計算するには?計算方法や公式をわかりやすく解説!

数学 2019.7.2

場合の数・確率の問題を解いていると、「期待値を計算せよ」という小問に出会います。

「期待値」について触れているのは、数学Bの「確率分布と統計」という分野です。

しかし、数学Aで場合の数・確率を学習した時に、「期待値」について詳しく扱ってはいないのではないでしょうか。

この記事では、そんな「期待値」の計算についてまとめます。

1.  期待値の意味

ここでは期待値とは何かについて解説していきます。

 

期待値とは、試行を行った際に出てくる値について、予測できる平均値のことを指します。もう少し突っ込んだ言い方をすると、全ての得られる値とその確率の積の和のことです。

言葉だけでは理解しにくいので、具体的な例を見ていきましょう。

次のようなくじがあったとします。

 

確率の積の和 期待値

 

 

このくじの中から1本を引き、そのくじの種類によって、見合った金額がもらえるとします。

 

では、このくじがいくらで売られていると、購入するとき得になるでしょうか。

このような問題を考えるときに利用するのが、「期待値」です。

 

 

この問題の場合、「くじ1本あたりの価値は、平均するといくらになるか」を考えます。

もちろん1等を引くことができれば、その価値は10000円ですが、そのくじを引くことができるのは、1000回に1回の確率です。

0円の価値であるはずれくじは887本あります。

これらを平均すると、1本当たりの価値がどれくらいになるかを考えることができます。

1本当たりの価値を考えるには、このくじを全て買い占めたときの価値を考えます。

このくじを1000本すべて買ったときには、

 

期待値の例の式

 

となります。

1000本のくじを買って40000円もらえることになりますから、平均的には1本当たり

 

期待値の例での一本当たりのくじの価値

 

の価値があることになります。

 

ですから、このくじが例えば1本50円で販売されていた場合には、「1本40円の価値しかないものを50円で買う」わけですから、損をしていることになります。

150円ですべてのくじを買い占めると、50円×1000本=50000円かかりますが、もらえる額は総額40000円です。

ここからも損をしていることがわかりますね。

 

一方、このくじが130円で販売されていた場合は、「140円の価値があるものを30円で買える」わけですから、得をしていることになります。

ところで、このくじの1本当たりの価値は、

 

期待値の例での一本当たりのくじの価値

 

という式で計算しました。

つまり、くじ1本当たりの価値は

 

期待値 くじのでる確率

 

という式で計算できることになります。

この式は、

 

期待値 くじのでる確率の式

 

このように変形できます。つまり、

 

              くじの価値×そのくじが出る確率

 

をすべて足し合わせていることになります。これが期待値です。

 

このくじを1本買うと、40円分のリターンが期待できるといえます。

一般に、ある数量Xのとりうる値がそれぞれ、

 

期待値x

 

であり、その値をとるときの確率がそれぞれ

 

期待値p

 

であるとき、数量Xの期待値E( X )

 

期待値xの式

 

で求めることができます。

 

上のくじの例で言えば、

 

期待値のくじの例

 

となります。

 

 

2.  期待値の性質

くじの例で申し上げた数量Xのことを、「確率変数」と言います。

 

確率分布Xに対して、Ya X + b で与えられる新たな確率変数Yを考えたときに、確率変数Yの期待値(平均)はどうなるでしょうか。

やや強引な例ですが、上のくじの例で言えば、次のようになります。

あるくじを引いたら以下のようなポイントがもらえます(数値は変えていません)。

期待値の特性の例

 

この1ポイントにつき、2円で換金できます。このくじを1100円で購入するときの利益の平均を考えましょう。

このくじを購入するのは得でしょうか、損でしょうか。

 

この利益が確率変数Yです。

 

つまり、ポイント(=確率変数X)を2倍して、購入するのにかかる100円を引いた金額が利益になりますから、確率変数Yは

 

確率変数Y

 

で求められます。このYの平均E ( Y ) が正の値になれば、買うと得でしょうし、マイナスになれば買うと損をするくじであることになります。

その期待値を求めるには、

 

期待値の確率変数の例

 

として、先と同様に

 

確率変数Yの求め方の式

 

と計算すればよいでしょう。

この数字が示すのは「1本購入するにつき20円ずつ損をする計算である」ということですから、このくじは買わない方が正解です。

感の良い人は気が付いたでしょうか。

始めの確率変数Xの期待値は40でした。この-20という値は

 

確率変数Xと確率変数Yの関係

 

という値と一致します。

ですから、先に確率変数Xの期待値がわかっているのであれば、確率変数Yの値をそれぞれ計算して期待値を求めるよりも、確率変数Xの期待値から直接、確率変数Yの期待値を求める方が楽です

 

確率変数Xの期待値から確率変数Yの期待値の求め方

 

上の式を手計算で行うのは、それなりに骨が折れますね。

一般に、確率変数Xの期待値(平均)がE ( X ) であり、確率変数Y Y = a X + b で表されるとき、確率変数Yの期待値(平均)は

 

確率変数Yの期待値の求め方

 

という公式で求めることができます。

 

証明 証明

 

3.  反復試行での期待値と確率

問. さいころを4回投げるとき、3の倍数が出る回数の期待値を求めよ。

 

 

↓以下に解答と解説

 

3の倍数の目が出る回数を、確率変数Xとします。

4回さいころを振ったときに、Xの値としては0回、1回、2回、3回、4回という可能性がありますね。

ですから、それぞれに対して考えてゆきましょう。

期待値の基本は

 

              確率変数Xの値×確率

 

ですから、それぞれの回数に対する確率を求めてゆくことになります。

同じさいころを、反復して振っていますから、反復試行の確率です。

1回の試行で3の倍数の目が出るような確率は

 

期待値の例 確率

 

ですから、k回の試行で3の倍数の目が出るような確率は

 

確率の式

 

となります。k = 0, 1, 2, 3, 4 でそれぞれ計算すると、

 

期待値の例 それぞれの確率

 

です。ここから、期待値を計算すると

 

期待値の例の式

 

となります。つまり、この試行において3の倍数が出る回数の期待値は

 

期待値の値

 

であることになります。

 

 

4.  おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、期待値の定義と計算についてまとめました。

期待値は数学Aや数学Bの確率統計の分野で扱います。

高校の教科書には載っていないこともありますが(あるいはコラムとして掲載されている場合が多いです)、大学入試の問題ではしばしば登場します。

とはいえ、難しく考える必要はありません。

基本的には「確率変数Xの値×その確率」をすべて足せば、求めることができます。

ご参考になれば幸いです。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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