確率の計算と求め方!確率が苦手な人向けに計算のコツ付き
確率は数学Aで学習する単元です。高校数学が得意という受験生でも、確率の分野の問題は苦手ということもあります。
確率の計算はきれいな値にならないこともおおく、計算ミスで減点されることも多々あります。
この記事では、確率についてまとめます。
1.確率とは
確率は教科書的には以下のように説明されます。
根源事象がすべて同様に確からしい試行において、全事象Uに含まれる根源事象の個数をn ( U ) , 事象Aに含まれる根源事象の個数を n ( A ) とするとき、
を事象Aの確率という。
余談ですが、「確率」と「確立」はよく区別してください。
数学で扱うのは「確率」であって、「確立」ではありません。
試験などで「よって求める確立は次の通りである」という答案がたまに見られます。
「確立」は、「制度や組織、計画、思想などをしっかり定めること」です。「研究チームが製薬Aの製法を確立した」などのように使います。
場合によっては減点する採点担当者もいますから、気を付けましょう。
さて、先の確率の定義でさまざまな言葉が出てきました。
「試行」「事象」「根源事象」「同様に確からしい」などです。
数学の問題を解くうえでは気にしなくてもよい場合が多いですが、確率を考えるうえで、確率の計算をするうえで非常に重要な概念ですから、それぞれ説明しておきましょう。
①「試行」とは、「同じ条件の下で繰り返すことができる実験や観測」です。
例えば、
・よく切ったトランプから1枚を引く
などです。
大学受験の問題における観測や実験は、ほとんど「試行」です。
気を付けておきたいのは、大学に入った後に研究室で実験や観測を行うときです。まったく同じ条件で行うことができる実験や観測はほぼありません。
ですから、実験の条件において何が必要で、何が不要かをしっかり考えて実験をすることが大切になってきます。
同じ条件で繰り返すことができないような観測は、
・電車の脱線事故が起こる
などです。
これらの確率は統計を使って算出されます。
2つの試行 T1 と T2 について、試行の結果が互いに他方に影響されないとき、試行 T1と T2は独立であるといいます。
例えば、
1つのさいころを2回ふったときには、お互いにもう一方の結果に影響を及ぼすことはありません。
逆に52枚のトランプの山から、連続して2枚のカードを引くとき、1枚目にスペードのAを引いたら、2回目にそのカードを引くことはありません。ですから、この試行は独立でない(従属)といいます。
②「事象」とは、試行の結果起る事柄です。
さいころを振るという試行の結果、1の目がでたり、奇数の目がでたりしますね。
この「1の目がでる」や「奇数の目が出る」というのが、事象です。
さいころを振ったときに、「奇数の目が出る」という事象はさらに、「1の目が出る」「3の目が出る」「5の目が出る」というように、さらに細かい事象に分けることができます。
さいころを振ったときには、「1の目が出る」「2の目が出る」「3の目が出る」「4の目が出る」「5の目が出る」「6の目が出る」という6つの事象が考えられ、これ以上分けることができません。
このように「これ以上細かく分けることができない事象」を「根源事象」といいます。
「1の目がでる」というのは根源事象のうちの一つですが、「奇数の目が出る」というのはさらに分けることができますから、根源事象ではありません。
③確率の問題を考えるときには「根源事象」が「同様に確からしい」ことが大切です。
難しい問題を考えるときに、この「同様に確からしい」ことをしっかり考えなかったがために、間違ってしまうことがあります。
さいころの目で考えましょう。
さいころを振ったときに「1の目が出る」確率は、全事象が「1の目が出る」「2の目が出る」「3の目が出る」「4の目が出る」「5の目が出る」「6の目が出る」の6つ、そのうち「1の目が出る」場合の数が1通りですからです。
しかしこれを、間違えて「1の目が出る」「3の目が出る」「5の目が出る」「偶数の目が出る」という全事象を考えてしまったなら、
と答えてしまうでしょう。
この間違いは、「偶数の目が出る」ことが根源事象であり、「1の目が出る」「3の目が出る」「5の目が出る」「偶数の目が出る」が同様に確からしいと勘違いしてしまったがために起こった間違いです。
このように簡単な例では、「そんな間違いをしない」と思っていても、複雑な問題ではこのようなミスをする受験生がいます。
確率の計算をするときには十分に注意しましょう。
2.順列と確率の計算
問題:1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8から異なる3つの数をとり、3桁の整数をつくるとき、次の確率を求めよ。
(1) 偶数になる確率
(2) 4の倍数になる確率
(3) 650よりも大きくなる確率
- 解答・解説
よく出題される、順列と確率の問題です。
順列の考え方を使って、確率の計算をします。
まず、3桁の整数の作り方の総数はです。
(1) 「偶数になる確率」は1の位の数が偶数かどうかによって決まります。
1の位が偶数であれば整数も偶数になりますし、1の位が偶数でなければ整数も偶数になりません。
ですから、1の位が2, 4, 6, 8のいずれかであれば偶数になることになります。その場合の数は、
4×7×6=168
ですから、求める確率はとなります。
(2) 同様に「4の倍数になる確率」も求めましょう。
「4の倍数になる」という条件は、「下二桁が4の倍数(あるいは00)」と同義です。
この問題で00はありえませんから、下二桁が
12, 16, 24, 28, 32, 36, 48, 52, 56, 64, 68, 72, 76, 84
であればよいことになりますね(14通り)。
それぞれ2種類の数を使用していますから、残った百の位の数は、それぞれ6通り考えられます。
ですから、求める確率はです。
確率の計算をするときに、よく計算ミスをする受験生がいます。
また、確率の計算で約分ができるのに、そのまま放置して減点されてしまう受験生が後を絶えません。彼らの特徴は、「先に計算しすぎる」ことです。
この問題を例にしましょう。
上記のや
は約分できます。
これらの問題の答えが 1/2 や 1/4 になることは、実は問題を見れば明らかのですが、今は置きます。
上記の回答に間違いはありませんが、ミスをしているとするならば、一番最初に
8×7×6=336
と計算してしまったことです。これを 8×7×6 のまま置いておいたら、どうなっていたでしょうか。
(1) の計算をするときに
としていたのではないでしょうか。また(2)でもと計算できていたと思います。
確率の計算をするときには、初めに計算しすぎる必要はありません。
後で約分できる場合が多いですから、掛け算のまま置いておくのも一つの手段でしょう。
(3) 650よりも大きくなるのは、どのような場合かを考えます。
①百の位が7あるいは8のときは
2×7×6
②百の位が6のときは、十の位が5, 7, 8 の3通りなので
3×6
ですから求める確率は
となります。
3.おわりに
最後までご覧くださってありがとうございました。
この記事では、確率についてまとめました。
確率の計算をするときには、初めに計算をしすぎないことで、約分により計算が簡単になることがあります。
また、確率の問題を考えるときには、根源事象が同様に確からしいかどうかを確認しておくと、つまらない間違いを防ぐことができます。
ご参考になれば幸いです。