常用対数とは?基礎から常用対数表を使った計算の方法まで
数学で教わる関数の単元では指数と対数が登場します。二つを対にして学ぶことになりますが、対数がよくわからないという人も多いでしょう。
常用対数は問題としても頻出で、常用対数表を使って様々な計算をできるようにしておくことが大切です。
常用対数の定義と常用対数表の使い方を極めて問題を解けるようになりましょう!
対数関数のグラフについては「対数関数とは?logの基礎から公式やグラフまで解説!」をご覧ください。
1.常用対数とは?
常用対数とは10を底とする対数として定義されています。
対数はloga(b)=xといった形で記載され、aのx乗がbになることを意味しています。つまり、b=aという等式と等価です。
このときにaを底とするbの対数がxだという表現をします。ここで必ず覚えなければならないルールがあります。
それは、a>0,a≠1かつb>0でなければならないということです。これは大前提なので必ず覚えてください。
また対数の計算をするでは下の三つの公式を覚えておくことが大切です。
この三つの計算を行えると様々な問題を解くことができます。また、mk =nといった等式が成り立っているときに、両辺が正の場合には、両辺の対数を取っても等式が成立します。
つまり、loga (mk)=loga (n)で、底となるaは任意の自然数から選ぶことができます。このときにa=10とすると常用対数を取ることになるのです。
常用対数はlog10 (b)=xといった表記をすることができ、b=10xとなります。つまり、10を何乗したらbになるかを示している数値です。
常用対数が他の数値を底とする対数と区別されているのは桁数を計算するのに活用できるからです。
例えば、103=1000、104=10000なので、103.3は1000よりも大きく、10000よりも小さな値になります。そのため、103.3は四桁の数値であると結論付けることができるのです。
2.常用対数表の見方を知ろう
常用対数を上手に使って問題を解けるようになるには常用対数表を読めることが重要です。
常用対数表とはlog10(b)で示される対数とbの値との対応表で、bの小数第二位までわかれば、小数点以下三桁の数値を調べられるようになっています。
常用対数表には左端に1.0、1.1、1.2といった順でbの小数第一位までの数字が並べられています。そして、上端に並んでいる0〜9の数字がこれがbの小数第二位に相当している数値です。
この組み合わせによって示されている数字がlog10 (b)の小数点以下三桁です。
例えば、log10 (1.83)を知りたいというときには、左端の数値から1.8を選び、上端にある数値から3を選びます。その二つによって示されている数値が262なので、log10 (1.83)=0.262となるのです。
常用対数表は1.00〜9.99の範囲で与えられていますが、これだけあれば任意のbに対して常用対数を求められます。例えば、b=12の場合を知りたいというときには次のようにして計算することが可能です。
=log10(2×2×3)
=log10(2)+log10(2)+log10(3)
=0.301+0.301+0.477
=1.079
このように因数分解して求めることもできますが、b=31となると因数分解で求めることは困難です。しかし、このような場合でも少し工夫をすれば計算できます。
=log10(3.1×10)
=log10(3.1)+log10(10)
=0.491+1
=1.491
このようにした方が因数分解の手間がかからないので簡単でしょう。log10(10)=1ということを利用すると簡単に計算できるのです。また、逆にb=0.52という場合でも同様の考え方で計算できます。
=log10(5.2×10-1)
=log10(5.2)-log10(10)
=0.716-1
=-0.284
指数の考え方がわかっていればこのように10-nをうまく使って計算できるのです。
3.常用対数の典型問題
常用対数の問題として典型的な桁数計算の問題を実際に解いてみましょう。
324は何桁の整数かを求めなさいといった形で、数値のべき乗が何桁になるかを問う問題はよく出題されます。3を24回掛け算して答えを求めることもできますが、log10(3)=0.4771という情報があれば簡単です。324の常用対数を取ったときにいくつになるかを計算すれば良いだけだからです。
=24log10(3)
=24×0.4771
=11.45
従って、324は1011以上、1012未満だとわかります。1011は12桁、1012は13桁なので、324は12桁だとわかるのです。このような桁数計算をするときには常用対数が便利です。
4.常用対数の応用問題(不等式)
常用対数を使えるようになると様々な問題を解けるようになります。
不等式を使う応用問題にもチャレンジしてみましょう。
預金の金利が年2%であるとして、何年後に元金の1.2倍まで預金が増えるかを複利で計算するというパターンはよく出題されます。
指数関数で表される現象の解析に対数を活用することができるからです。この場合にはn年後には預金が1.02n倍になっているため、1.02n>1.2となる最小の自然数nを求めれば良いということになります。両辺の対数を取って計算するとnの条件を求めることが可能です。
常用対数表が与えられている場合には参照すると、log10(1.2)=0.079、log10(1.02)=0.009とわかり、代入すればnの条件が算出されます。
n>0.079/0.009=8.777…
nは自然数なので9となり、9年後にようやく元金の1.2倍になるとわかります。常用対数表の代わりにいくつかの対数の数値が与えられている場合もあります。その場合には因数分解をして計算すれば問題ありません。
このため、log10(2)=0.301、log10(3)=0.477、log10(1.7)=0.230といった数値が与えられていれば解くことが可能です。
n>(0.301+0.301+0.477-1)/(0.301+0.477+0.230-1)=8.777…
したがって、答えは同じ9年後とわかるのです。
5.最後に
常用対数は10を底とする対数です。
三つの基本的な計算方法を知っていれば数値のべき乗が何桁かを簡単に計算したり、指数関数で表される現象を解析したりすることができます。
常用対数の数値は与えられることが多いですが、常用対数表から数値を導き出させる問題も出題されることがあるので正しく読めるようにしておきましょう!
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