対数関数とは?logの基礎から公式やグラフまで解説!

対数・対数関数は、数学Ⅱで新しく習う分野であり、なかなか理解しがたい概念なのではないでしょうか。
しかし、数学Ⅱで学習する三角関数や微分・積分、そして対数と対数関数は、計算ができるだけで点数がもらえる、得点源になる単元なんです。
しっかり概念を理解して、計算をするだけで点数に結びつきます。
この記事を見て、対数関数をしっかりマスターしていきましょう。
指数関数の公式について知りたい方は「指数法則の公式7個は暗記必須!必ず解くべき問題付き」をご覧ください。
さらに指数関数のグラフの書き方について知りたい方は「指数関数をわかりやすく解説!グラフの書き方もマスターしよう」をご覧ください。
1.対数関数の基本①対数とは
誤解を恐れず言うならば、指数とは、対数と同じものです。
既に学習した、指数を思い出してください。2の3乗はいくらになるでしょうか。
23 = □
もちろん 23=8 です。日本語にすると「2の3乗は8」です。
復習すると、指数の分野では、この「2」を「底」と言い、「3」を「指数」といいました。
では、この指数部分である「3」に注目するとどうなるでしょう。
つまり「3 = △」という式にすれば、△部分を2と8を用いて表すとどうなるでしょう。
このように考えたときに導入された概念が、「対数」です。
ここで、log という記号を導入して、以下のように定義することにしました。
23 = 8 ⇔ 3 = log28
log というのは、英語で対数を意味する logarithm (ロガリズム)の頭文字3字です。
「log28」を日本語で表すとするなら、「2を何乗すると8になるか」という値を表します。
なぜこのような概念が必要なのでしょうか。
もちろん 3 = log28 のような、すべて整数で表されるようなものであれば、わざわざ対数の概念を考える必要はありません。
しかし、以下のようなものであればどうでしょう。
2x = 9
xに入る数字を求めることができるでしょうか。
日本語で問い直すと「2を何乗すると9になるでしょう」となります。
コンピューターを使わないと求められないですよね。
このように、一般的な数字では、指数部分に注目した場合に、具体的な値が求められなくなってしまいます。
このままでは不便ですので、2x = 9 にたいして x = log29 と表すことにしたのです。
一般的に表しましょう。
このとき、a を底とするMの対数を logaM と表します。
a を「底」、Mを「真数」といいます。底という言い方は指数のときと同じですね。
はじめに「指数と対数は同じもの」といいました。
指数を考えたときに a の右上に乗っていた x について注目したのが、対数でした。
対数とは logaM のことであり、xのことです。
こう考えれば、指数と対数が本質的に同じものと考えられますよね。
2.対数関数の基本②対数の範囲
対数を考えるときに非常に重要なのが、底や真数のとりうる範囲です。
ここでも指数を思い出してください。
指数で ax = M を考えたときに、底 a には条件があったのを覚えているでしょうか。
底値a が負の値になってしまったときには、M の値が振動して非常に考えづらくなってしまいます。
また、底が1の場合には M はずっと1になってしまい、考えても仕方がありません。
ですので、指数関数の底には以下のような条件がありました。
a > 0 かつ a ≠ 1
また、このような条件があった場合にMの値はどうなるでしょう。
a は1以外の正の値をとります。その a を何乗したところで、正の数にしかなりませんよね。
そのため M > 0 という範囲が導かれます。
a > 0 かつ a ≠ 1(底の条件)
M > 0(真数条件)
対数の問題を考えるときには、この2つの条件を常に意識するようにしてください。
底や真数部分に x などの文字が入っていた場合に、その文字には自動的に範囲が設定されることになります。
3.対数関数の基本③対数に関する公式
対数の分野で覚えるべき公式は5つ、多くて7つ程度しかありません。
それも、指数や対数の定義が頭に入っていると、自然に導かれるものばかりです。
しっかり使えるようにしましょう。
余裕があれば以下の覚えてしまいましょう。
それぞれ、まとめましょう。
①の式は、対数の定義そのものです。すでにこの記事で説明してきました。
②の式については、真数の掛け算がどうなるか、というものです。
指数法則を思い出しましょう。
ax × ay = ax+y
ここで、「指数と対数は同じもの」であること、ax = M という指数の定義も思い出しましょう。
ax = M, ay = N とするなら、左辺は真数同士の掛け算になりますね。
右辺、指数部分を見ると、指数(=対数)同士の足し算になっていますね。
つまり、真数同士の掛け算と対数の足し算が対応しているのです。
②の式を見ると同様に、真数同士の掛け算と対数の足し算が対応しています。
つまり②の式は
ax × ay = ax+y
を対数の形に変形しただけで、結局は指数法則を表しているのです。
③の式も②の式と同様に変形できます。対応する指数法則は
ax ÷ ay = ax-y
です。
④の式も指数法則に対応しています。
(ax)r = axr
に対応しています。
どうぜ覚えるなら、より発展した、
を覚えましょう。
つまり、対数で覚えるべき①から④の式は、指数法則で覚えた式に対応しているのです。
⑤は底の変換公式と呼ばれます。
①から④の公式は底が同じでなければ使うことができません。
底が異なる場合に用いるのが、この⑤の公式です。
⑥は、対数の定義に照らし合わせると、当然のことです。
対数 x = logaM は「a を何乗するとMになるか、という値をxとする」という意味でした。
loga1 = 0 をみると、「数 a を0乗すると1になる」ということを表していることになりますよね。
これは指数法則で習った通りです。
⑦の式は一見、複雑に感じられますが、実は対数の定義そのものなのです。
alogaM = M
定義式①の右の式を、①の左の式に代入してみてください。そのまま⑦の形になるはずです。
logaM は「a を何乗するとMになるか」という数です。
⑦の式を見ると、a を「a を何乗するとMになるか」乗しているのですから、右辺がMになるのは当然のことです。
4.対数関数のグラフの書き方
y = logaX を、a を底とする x の対数関数といいます。
対数関数で重要なのは、x の値が増加したときに y の値がどうなるか、です。これは底 a の値によって異なります。
それぞれの定義域と値域にも注意してください。
下のどちらのグラフも x は負の値にはなっていませんね。
そして y の値は全ての実数の値をとります。
この「x は負の値をとらない」ということが、対数の真数条件と対応しています。
真数条件については、上記の対数の範囲のところを確認してください。
a > 1 のとき、x の値が増加すると、yの値も増加する。
0 < a < 1 のとき、x の値が増加すると、yの値は減少する。
5.対数関数の例題
問題
(↓以下に回答と解説)
解答・解説
対数の問題を考えるときには、まず底を確認しましょう。
この問題では底が 1/3 になっています。
先ほど書いたように、対数には「0 < a < 1」という性質がありますので、面倒です。
よって、底を1より大きい値に変換してしまいましょう。
このときに用いるのが、底の変換公式です。
対数の計算法則を使うと以上のように変形できます。
ここで、t = log3x とおきましょう。
「よく出るものは別の文字に置き換える」と式が見やすくなります。
そして「置いた文字は定義域に注意」してください。
この場合は、
という t の範囲が導かれます。すると
二次方程式の最大値最小値の問題になりましたので、平方完成をしましょう。
t の範囲に注目すると、最大値最小値が導かれます。
t = log3x とおきましたので、x = 3t となりますので、答えは以下のようになります。
まとめ
最初にも述べたように、対数の問題は「計算ができるだけで点数がもらえる」分野です。
しっかり計算して、計算方法を頭に馴染ませるところから始めましょう。