中線定理を慶應生が解説!証明&使い方が分かる問題付き!
高校数学における中線定理について、数学が苦手な人でも理解できるように現役の慶應生が解説します。
中線定理は高校数学ではあまり知られていませんが、とても便利な定理です。
中線定理を知っておくと、センター試験などで時間を短縮できる場合があります。
本記事を読めば、中線定理とは何か・中線定理の使い方・中線定理の証明が理解できます。
最後には、中線定理の練習問題も用意した充実の内容です。
数学が苦手な人でも、ぜひ最後まで読んで中線定理を理解してください!
1:中線定理とは?
まずは、中線定理とは何かについてわかりやすく解説します。
中線定理とは、下図のような三角形ABCにおいて辺BCの中点をMとした時、
AB2+AC2=2(AM2+BM2)
を満たす定理のことです。
【中線定理とは?】
また、中線定理は別名パップスの定理とも呼ばれています。
以上が中線定理とは何かについての解説になります。次の章では、中線定理の使い方(例題)を見てみましょう。
2:中線定理の使い方(例題)
では、中線定理を使って実際に問題を解いてみましょう。中線定理の具体的な使い方が理解できます。
中線定理:例題
下の図のように、三角形ABCがある。AB=3、BC=8、CA=6のとき、AMの長さを求めよ。
ただし、点MはBCの中点とする。
解答&解説
中線定理の公式にそれぞれの値を当てはめましょう。
中線定理より、
AB2+AC2=2(AM2+BM2)
なので
32+62=2(AM2+42)
※BMの長さはBCの長さの半分なので4です。
よって、
9+36=2(AM2+16}
より
AM2=13/2
なので、
AM=√26/2・・・(答)
となります。
中線定理の使い方がイメージできたでしょうか?中線定理はとても便利な公式なのでぜひ知っておきましょう!
3:中線定理の証明
では、なぜ中線定理は成り立つのでしょうか?
本章では、中線定理が成り立つ理由(中線定理の証明)を行います。
中線定理の証明の仕方はいくつかありますが、今回は余弦定理を使った証明をしていきます。
※余弦定理についてあまり理解できていない人は、余弦定理について詳しく解説した記事をご覧ください。
【中線定理の証明】
∠AMBに対して余弦定理を用いると、
cos∠AMB
=(AM2+BM2-AB2)/2・AM・BM
同様に考えて、
cos∠AMC
=(AM2+CM2-AC2)/2・AM・CM
ここで、BM=CM、cos∠AMB=-cos∠AMCより
※cos∠AMB=cos(180°-∠AMC)より
cos∠AMB=-∠AMCとなります。
詳しくは加法定理について解説した記事をご覧ください。
AM2+BM2-AB2
=-AM2-BM2+AC2
式を整理して
AB2+AC2=2(AM2+BM2)
となり、中線定理を導くことができます。
以上が中線定理の証明になります。
次の章では、中線定理の練習問題をご用意しています。ぜひ解いて、中線定理をマスターしましょう!
4: 中線定理の練習問題
では、中線定理の練習問題を早速解いてみましょう!
中線定理:練習問題
下の図のように、AB=5、BC=12、CA=7の三角形ABCがある。AMの長さを求めよ。
解答&解説
中線定理の公式を使いましょう!
中線定理より、
52+72=2(AM2+BM2)
ここで、BMの長さはBCの長さの半分なので6です。
したがって、
52+72=2(AM2+52)
より、
AM2=12
となるので、
AM=√12・・・(答)
となります。
いかがでしたか?
中線定理とは何か、中線定理の証明・使い方が理解できましたか?
中線定理は高校数学ではあまり有名な定理ではありませんが、中線定理を知っているとセンター試験などで時間を短縮できる時があります!
中線定理を忘れた時は、また本記事を読み返して、中線定理を復習しましょう!