ベクトルの内積の公式から、平行条件・垂直条件、成分との関係までわかりやすく解説!
高校数学におけるベクトルの内積について、スマホでも見やすいイラストで早稲田大学に通う筆者が丁寧に解説します。
本記事を読めば、数学が苦手な人でもベクトルの内積が理解できるでしょう。
今回はベクトルの内積の意味・公式(求め方)、平行条件と垂直条件、成分との関係について解説します。
例題を使いながらベクトルの内積について解説しているので、わかりやすい内容になっています。
ぜひ最後まで読んで、ベクトルの内積をマスターしましょう!
【目次】
1:ベクトルの内積とは?(意味・公式・求め方)
※本記事では、編集上の都合のため、「ベクトル」の表記を以下のようにさせていただきます。(イラストは除く)ご了承ください。
まずはベクトルの内積の意味・公式・求め方から確認しておきましょう。
0ベクトルでない2つのベクトルaベクトル、bベクトルのなす角をθとします。
すると、aベクトル、bベクトルの内積「aベクトル・bベクトル」は
aベクトル・bベクトル = |aベクトル||bベクトル|cosθ
となります。
これだけではわかりにくいと思うので、次の章でベクトルの内積を求める例題を解いてみましょう。
2:ベクトルの内積を求める例題
では早速、以下の例題を解いてみましょう。詳しい解答&解説付きです。
例題
以下の図のような、AC=3、BC=4の直角三角形において、次の内積を求めよ。
BAベクトル・BCベクトル
解答&解説
内積の公式は
aベクトル・bベクトル = |aベクトル||bベクトル|cosθ
でした。
BAベクトルの大きさは、三平方の定理より
BA2 = 42+32 = 25
ですね。
※三平方の定理を忘れてしまった人は、三平方の定理について詳しく解説した記事をご覧ください。
よってBAベクトルの大きさは5となります。
また、BCベクトルの大きさは図より4です。
ここで、cosθ= 4/5ですね。
※cosθの求め方がわからない人は、sin・cos・tanについて解説した記事をご覧ください。
よって求める内積BAベクトル・BCベクトルは
5×4×(4/5)
= 16・・・(答)
となります。
いかがですか?内積の求め方のイメージができましたか?
しかし、内積を求めるときには注意しなければならないことが1つあります。
それを次の章で解説します。
3:重要!ベクトルの内積を求めるときの注意点
ベクトルの内積を求めるときの注意点は、「ベクトルの始点を合わせる」ということです。
例えば、以下の例題を見てみましょう。
例題
以下のように、AB=6、BC=3√3、∠B=30°の直角三角形において、以下の内積を求めよ。
ABベクトル・BCベクトル
解答&解説
よくある間違いが、AB=6、BC=3√3なので、
6×3√3×cosB
= 6×3√3×(√3/2)
= 27 ←間違い!
としてしまうことです。これは間違いです!
ベクトルの内積を求めるには、「ベクトルの始点」を合わせなければいけません。
今回求める内積は「ABベクトル・BCベクトル」でしたね。
ABベクトルは始点が点Aです。
BCベクトルは始点が点Bです。
始点が違いますね。なので、このような場合はまず、始点を合わせることから始めます。
今回は始点を点Aに合わせてみます。点Bが点Aに重なるよう、辺BCを平行移動させます。
これで始点が合わさりました。
すると、ABベクトルとBCベクトルがなす角の大きは60°+90°=150°になりますね。
よって求める内積は
6×3√3×cos150°
= 6×3√3×(-√3/2)
= -27・・・(答)
となります。
ベクトルの内積を求めるときに、2つのベクトルの始点が違う場合はまず始点を合わせるということから始めてください。
4:ベクトルの内積と平行条件
ベクトルの内積の学習では、平行条件と垂直条件も重要です。
まずは平行条件から解説していきます。
aベクトル、bベクトルがともに0ベクトルではないとする。
aベクトルとbベクトルが平行であるとき、内積aベクトル・bベクトルは
|aベクトル||bベクトル|
または
-|aベクトル||bベクトル|
となる。
証明
aベクトルとbベクトルが平行であるということは、以下の2パターンが考えられますね。
始点を合わせてみると・・・
以上のようになるので、
パターン1の場合の内積は
|aベクトル||bベクトル|×cos0°
= |aベクトル||bベクトル|×1
= |aベクトル||bベクトル|
パターン2の場合の内積は
|aベクトル||bベクトル|×cos180°
= |aベクトル||bベクトル|×(-1)
= -|aベクトル||bベクトル|
となりますね。
5:ベクトルの内積と垂直条件
平行条件の次は垂直条件です。
aベクトル、bベクトルがともに0ベクトルではないとする。
aベクトルとbベクトルが垂直であるとき、内積aベクトル・bベクトルは0になるというのが垂直条件です。
証明
aベクトルとbベクトルが垂直であるということは、以下のようなイメージですね。
aベクトルとbベクトルのなす角は90°ですので、内積aベクトル・bベクトルは、
|aベクトル||bベクトル|×cos90°
= |aベクトル||bベクトル|×0
= 0
となります。
ベクトルの内積を使った平行条件・垂直条件はとても重要ですので、必ず覚えておきましょう!
6:ベクトルの内積と成分
最後に、ベクトルの内積と成分について学習しておきましょう!
ベクトルの内積と成分には以下のような関係があります。2つあるので両方覚えましょう!
aベクトル=(a1, a2)
bベクトル=(b1, b2)
とすると、内積aベクトル・bベクトルは
a1b1+a2b2
とります。
では、以上を踏まえて例題を1つ解いてみましょう!
例題
aベクトル=(1, 2)
bベクトル=(3, -5)
とするとき、内積aベクトル・bベクトルを求めよ。
解答&解説
aベクトル=(a1, a2)
bベクトル=(b1, b2)
とすると、内積aベクトル・bベクトルは
a1b1+a2b2
となるのでしたね。
よって、求める内積は
1×3 + 2×(-5)
= -7・・・(答)
となります。
ベクトル内積のまとめ
いかがでしたか?
ベクトルの内積が理解できましたか?ベクトルおよび内積は高校数学でこれからもたくさん登場します。
ぜひマスターしておきましょう!
⇒ベクトルについての記事をまとめて見たい方は、「ベクトル関連記事まとめ!〜ベクトル公式からベクトル内積、媒介変数表示〜」の記事を読んでみてください。
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