返り点とは?付け方を分かりやすく解説!練習問題付き

国語 2022.12.14
返り点とは?付け方を分かりやすく解説!練習問題付き

高校の古典で漢文を勉強する際、必ず覚えなければならないのが返り点です。

しかし、初めて漢文を習うときや、漢文が苦手な人にとっては、パズルのようで非常に覚えにくいですよね。

今回は、そんな返り点の付け方や種類を分かりやすく解説します。

    1.返り点とは

    まず、そもそも返り点とは何なのか?ということを見ていきましょう。

    返り点とは、一言でいうと、「漢文をむりやり並び替えて、日本語のように読むための記号」です。

     

    漢文は昔の中国語なので、中国語の文法で書かれています。

    昔の日本人は、漢文を読むために「中国語を勉強しよう!」ではなく、「並べ替えて日本語の文法に合わせてやろう!」と考えたのです。

    そこで、返り点が発明されたというわけですね。

     

    具体的には、文の中で、返り点は「前後の文字をひっくり返して読みなさい」「この文字はいったん飛ばして、後から読みなさい」などの合図をする役割を持っています。

     

    ここで、意外と忘れがちなポイントは、「漢文は、基本的に上から下に読む」ということです。

    上から下に読んでいって、その漢字に返り点がついていなければそのまま読み、ついていれば、その返り点に従って読み飛ばしたり、次の漢字に飛んだりして読みます。

     

    それでは次の章で、実際にどのような返り点があるのか、見ていきましょう。

     

      2.返り点の種類と役割

      高校の漢文で習う返り点には、5種類のものがあります。

      ここでは、それぞれの役割を、種類別に見ていきましょう。

       

      2-1. レ点

      「レ点」とは、カタカナの「レ」のような形をした返り点のことです。

       

      高校漢文の返り点の説明「レ点」

      「レ点」がつくと、「レ点」に接している2つの漢字は、下から上に読むという決まりがあります。

      したがって、3つ以上の漢字に連続して付いている場合も、「下から上に読むルール」が3文字に適用されるだけなので、

      右側の例文のように、「①レ②レ③」→「③②①」と、逆から読むだけで大丈夫です。

       

      よく、「レ点の上下の漢字をひっくり返して読む」と言われますが、レ点が連続すると混乱してしまうので、「レ点に接する漢字は下から上に読む」と覚えましょう。

       

      2-2. 一、二点

      「一、二点」とは、「いちにてん」と読みます。

      「一、二点」の上にある漢字は、「一、二点」の漢数字に沿って順番に読むという決まりがあります。

       

      高校漢文の返り点の説明「一、二点」

      この返り点は、もとの中国語の文章の中で離れた場所にある漢字を、飛び飛びに、下から読ませたいときに使われます。

      最高で、一、二、三、四と、四点くらいまで続くこともあります。

       

      また、「一、二点」で行き着く場所が、ひとつの漢字ではなく、熟語の場合もあります。

      熟語は、ハイフン(‐)でつながっています。

      このとき、図のように、「一、二点」は熟語の最後の漢字ではなくて、最初の漢字に付くということに注意しましょう。

       

      2-3. レ点と一、二点の同時使用

      高校の漢文では、「レ点」と「一点」がひとつになった返り点が使われることがあります。

      一瞬、どう読んだらいいのか分からなくなりそうですが、落ち着いてそれぞれのルールを思い出せば、簡単に読めます。

      しかし、漢文が苦手な人は、簡単に「一+レ点はレ点が先」と覚えてください。

      高校漢文の返り点の説明「一+レ点」

      それぞれの返り点のルールを確認しましょう。

      「レ点」のルールは、「接している2つの漢字を下から上に読む」。

      「一、二点」のルールは、「上にある漢字を、漢数字に沿って順番に読む」。

      この2つのルールをどちらも満たすには、

      「レ点」の下の漢字→「レ点」の上の漢字=「一点」の付く漢字→「二点」の付く漢字

      という読み方しかありませんよね。

       

      2-4. 上、中、下点

      「上、中、下点」は、「一、二点」と同じように、「上、中、下点」の上の漢字を、「上→中→下」の順番に従って読ませたいときに使われます。

      また、「中」をつかわず、「上→下」のみで使われることも多いです。

      高校漢文の返り点の説明「上、中、下点」

      文の中にすでに「一、二点」が入っているけど、さらに「一、二点」のようなルールを追加したい。でもまた「一、二点」を使うと、どの順番で読むのか分からなくなってしまう…という場合に、「上、中、下点」が使われるというわけです。

      数学の数式で例えるなら、「一、二点」と「上、中、下点」の関係は、小カッコ( )と中カッコ{ }の関係に近いです。

      もっと例えると、1つの文の中に、2つの異なるワープ通路が交差している感じです。

      わかりましたでしょうか…?

       

      2-5. 甲、乙点

      「甲、乙点」も、「上、中、下点」や「一、二点」と同じように、その記号の上の漢字を、ある順番に従って読ませたいときに使われます。

      高校漢文の返り点の説明「甲、乙点」

      文の中にすでに「一、二点」も「上、中、下点」も入っているけど、さらに「一、二点」のようなルールを追加したいという場合や、その順番に従って読ませたい漢字がたくさんある場合に、「甲、乙点」が使われます。

      というのも、「甲、乙」というのは昔の数え方で、「甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)」と続くため、漢字の数が多くても対応できるというわけです。

      よく「甲乙つけがたい」という言葉を聞きますが、これは、「1番2番がつけがたい」=「優劣がつけがたい」という意味です。

       

      したがって、数学の数式で例えるなら、「甲、乙点」は大カッコ[ ]ですね。

       

      3.返り点の付け方

      入試で出題されることは比較的少ないですが、学校のテストなどでは、「以下の白文(中国語の原文)に返り点を付けなさい」という問題が出ることがあります。

      ここでは、漢文に返り点を自分で付けるときの付け方について、見ていきます。

       

      ① 漢字の順番を調べる

      ほとんどの返り点の問題では、白文とともに、考えるヒントとなる書き下し文がセットで出題されます。

      ※定期テストなどでは、書き下し文の部分は暗記して解くという場合もあります。

      そこで、まずは書き下し文に沿って、それぞれの漢字をどのような順番で読むのか、白文の横に数字を振っていきます。

      高校漢文の返り点の付け方の説明

      ※上の図の「於」は、置き字のため、書き下し文には入っていません。

      置き字を復習したい方は、置き字について解説した記事をご覧ください。

       

      数字を振っていくと、数字が上から下に並んでいない漢字があります。

      このような漢字に、返り点を付けていきます。

       

      ② 返り点をあてはめる

      ここで、さきほどの2. 返り点の種類と役割で確認した、それぞれの返り点の役割から考えれば、次の図のように返り点を当てはめることができるはずです。

      高校漢文の返り点の説明「白文に返り点を付ける付け方」

      この図に沿って、返り点を付けると、下の図のようになります。

      高校漢文の返り点の付け方の説明の解答

      最後に、自分で返り点を付けた漢文を読んで、正しく書き下すことができれば、完成です。

       

        4.返り点の練習問題

        それでは、返り点を使った練習問題を解いていきましょう。

        問題を解く前に、書き下し文について復習したい方は、書き下し文について解説した記事をご覧ください。

         

        問題

        高校漢文の返り点の付け方「練習問題」

        (答えは↓にあります)

         

         

         

         

         

        答え

        高校漢文の返り点の付け方「練習問題の答え」

         

          まとめ

          いかがだったでしょうか?

          返り点をマスターして、漢文を得意にしてくださいね!

          ⇒漢文に役立つ記事まとめも要チェック!

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          この記事の執筆者

          ニックネーム:みかちー

          筑波大学社会・国際学群4年
          得意科目:国語、英語、日本史