書き下し文とは?スラスラ書ける方法を解説!練習問題付き

高校の古典で漢文を習う際、基本となるのが「書き下し文」ですよね。
漢文を正確に書き下し文にできれば、現代語訳や内容の理解もかなりしやすくなります。
今回は、そんな書き下し文について、基本の説明からスラスラ書ける手順までをお伝えします。
なお、再読文字について復習したい方は、センターによく出る漢文 再読文字の記事もご覧ください。
置き字について復習したい方は、置き字について解説した記事をご覧ください。
【目次】
1.そもそも「書き下し文」とは?
書き下し文を一言で説明すると、「日本語文法の語順に並べ替えた漢文」です。
日本語の文法の並び方に合わせて「書き下す」から書き下し文というんですね。
また、書き下し文は文語文法、つまり古文の授業で扱うような昔の日本語で、歴史的仮名遣いを用いて書かれます。
ですから、書き下し文にすれば、中国語である漢文が、古い日本語である古文と、ほぼ同じように読めてしまうというわけですね。
また、漢文の書き下し文と現代語訳が、どちらがどちらか分からなくなるという人がいます。
これも、文語文法と歴史的仮名遣いで書かれている、古文のような文が、漢文の書き下し文であり、
それに対して現代語訳は、現代の文法と現代仮名遣いで書かれている、現代語に翻訳した文です。
現代語訳であれば、「なり」「べからず」などの文語の言い方は使いませんからね。
2.漢文を書き下し文にするときのルールは?
それでは実際に、どのように漢文を書き下し文にするのか見ていきましょう。
2-1. 漢文の表記
漢文の問題では、ほとんどの場合、原文である漢字だけの「白文」に、「送りがな」「返り点」「句読点」の3つを加えた形で出題されます。
この3つを、まとめて「訓点」といいます。
さらに加えて、現代日本語と違う意味の漢字や、難しい漢字には、「振りがな」がつけられます。
2-2.基本的には、訓点に沿って書き下す
漢文を書き下し文にする際には、基本的に、訓点に沿って上から書いていきます。
①返り点を見て、漢字を読む順番を調べる
まずは、返り点を確認し、読むべき順番に漢字を並び替えます。
このとき、句読点も1字として、漢字と同じ扱いで読む順番を確認してください。
句読点によって意味が変わることもあるため、忘れずに書き写すようにしてください。
②送り仮名を歴史的仮名遣いで書く
返り点の順番で漢字を見ていくと、漢字に送り仮名がついている場合があります。
送り仮名は漢字とセットとして扱うため、その漢字のすぐ下に書きます。
その際は、カタカナで書かれた送り仮名をひらがなに直し、歴史的仮名遣いのままで書くことに注意してください。
※「而」という字が消してありますが、これは以下の置き字の説明で解説します。
2-3.注意が必要な漢字
実は、漢文から書き下し文にする際に、そのまま書き写してはいけない漢字が、いくつか存在します。
訓点に沿って書き下しているときに、以下のような漢字にぶつかったら、特殊な書き下し方をすると思い出してください。
漢文には「置き字」という文字があります。
もともとは意味のある文字だったのですが、日本語に翻訳すると、なくても意味が通じてしまうことから、書き下し文にするときに消してしまうことになっています。
なお、置き字についてもっと詳しく知りたい方は、置き字について解説した記事をご覧ください。
主な置き字は以下の通りです。
②日本語の助動詞・助詞にあたる文字は、ひらがなに直す
漢文はすべて漢字なので、当然、日本語の助動詞や助詞にあたる文字も漢字で表記されます。
したがって、助詞や助動詞を表す漢字は、ひらがなに直して書きます。
しかし、注意が必要なのは、助詞や助動詞を表す漢字が、別の意味として使われているときは、ひらがなにしないということです。
その漢字が助詞や助動詞として使われているとき、つまり、助詞や助動詞の読み方で読むときにだけ、ひらがなに変えて書きます。
なお、古文の助動詞の復習をしたい方は、古文の助動詞の意味を説明する記事をご覧ください。
主な助動詞になる漢字は以下の通りです。
※()内のカタカナは、送りがなです。
主な助詞になる漢字は以下の通りです。
※()内のカタカナは、送りがなです。
これらの表にある読み方をするときは、ひらがなに直してください。
③再読文字の2回目の読み方は、ひらがなに直す
再読文字の2回目の読み方も、ひらがなに直します。
例えば、「未」ならば、「未だ~ず」と、1回目の読み方である「未だ」は漢字のまま、2回目の読み方の「ず」はひらがなに直して書きます。
これもは、2回目の読み方が助詞・助動詞にあたるためです。
主な再読文字は、センターによく出る漢文 再読文字の記事をご覧ください。
2-4.会話文の‟と”にも注意!
会話文や引用文で「」を使うとき、訓読漢文(訓点は書き込まれているが、書き下されていない漢文)では、「」の中に‟と”が入っており、そのまま書くと「~~~。と」のような形になってしまいます。
しかし、日本語では引用の‟と”を「」の外に書くため、書き下し文および現代語訳では、「~~~。」と。または「~~~」と。の形に直します。
3.書き下し文の練習問題
それでは、最後に練習問題です。
次の漢文を書き下し文にしてください。
(答え)
まとめ
いかがだったでしょうか?
書き下し文をマスターして、漢文を得意にしましょう!