加速度とは?直線運動をする物体の加速度、速度の求め方

物理 2018.12.27

加速度は高校物理において初めて授業で習う分野ですよね。
ここで、挫折してしまっては受験で物理は使えません。
逆にここでいい点数を取っておけば、今後の物理へのモチベーション向上にもつながるでしょう。
この記事を通して、いち早く受験へのスタートダッシュを決めましょう!!

		

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1.加速度とは?

加速度とは、単位時間あたりにどれくらい速度が速くなるかを示すものです。一番身近な重力加速度で言えば、地球上でボールを投げると、地球の中心に向かって9.8 m/s2の加速度がかかるため、1秒経つ間にボールの落下する速度が9.8 m/sだけ増加します。
具体的に見えるものではないためイメージが付きにくく、また高校になると急にv-t線図などのいろいろなことを覚えようとしてわけが分からなくなりがちですが、
深く考えず、あくまで「どれくらいスピードが速くなるかを教えてくれるもの」ぐらいの理解で良いと思います。
物体の運動や他分野の問題を解いていく中で、加速度というものが慣れていきますから。

2.等速直線運動と等加速度運動の違い

等速直線運動と等加速度運動。物体の運動の基本的な項目で、この2つの運動について習うと思います。
等速直線運動とは、慣性の法則とも呼ばれ、「静止した物体は静止し続け、運動する物体は運動し続ける」というものです。
例えば、5m/sで走る車は、10秒後の速さも5 m/s, 1時間後の速さも5 m/s・・・といった具合に、速度は等しいです。
(等速直線運動についての記事はこちら)
一方、等加速度運動とは、ある時間に加速する度合い(加速度)が常に等しいというものなので、仮に加速度が5m/s2の場合、先ほどの例の走る車の速度は、1秒ごとに、
0 m/s → 5m/s → 10 m/s →15 m/s ・・・というようにどんどん早くなります。(もちろん、無限には速くなりませんが、イメージとしてはこのような関係です)
(等加速度運動のについての記事はこちら)
これらの説明を、横軸を時間、縦軸を加速度、速度、距離にとって等速直線運動と等加速度直線運動で比較したものが下記です。

①では、それぞれの加速度を比較しています。等速直線運動の場合は加速度0です。それに対して等加速度運動の場合は0よりも大きい値になります。

②では、速度と時間を比較しています。両方の運動とも同じ初速度であった場合、等加速度運等は速度が1次関数的に増加しています。
等速直線運動では加速度が0であるため、速度は変化しません。

③では、距離と時間を比較しています。等加速度運動では、二次関数的に増加しているのに対して、等速運動は一次関数的に増加します。

3.等加速度直線運動の公式

さて、上記の加速度の説明から、加速度が0なのか0より大きいかで、ある瞬間の速さや進んだ距離が変わるということが視覚的に分かったと思います。
次に、等加速度直線運動における速さと距離と時間の公式を示します。これらの式は覚えましょう。

・鉛直方向の運動(ボールを上向き/下向きに投げる運動

鉛直下向きを正とした場合、公式は以下の通りです。

文字はそれぞれ、v:速度, v0:初速度, g:重力加速度, t:時間, y:進んだ距離 を示しています。
1つ目の式が落下中のある時間tにおける物体の落下速度を、
2つ目の式が落下した距離を示しています。
3つ目の式は、2つ目の式のtに、1つ目の式を代入して時間項を消去した式です。
高校で微積分を勉強した人は、1つ目の式をtについて積分すれば、2つ目の式になることも理解しておいてください。
物体を静かに落とした場合は、初速度は0になるので、式中のv0がすべて消去されて簡単な式になります。物体を上向きに投げた場合は、v0は負の値になります。

・水平方向の運動

水平方向の場合も、鉛直方向とほぼ同じです。

ボールを斜めに投げる場合などは、鉛直成分と水平成分に分けて考えればよいです。

4.加速度の問題でよくでる相対速度の考え方

加速度の問題でよくでる相対速度の考え方を説明します。
物体の運動の項目では、相対速度や相対~というワードが登場します。
この水平方向の物体の直線運動でもたびたび問題として出題されます。
相対~とは「ある移動する物体を基準にした場合、もう一方の物体の~」という意味です。

例えば、A君は東に時速10km、B君は西に時速5kmで移動するときを考えましょう。

A君から見たB君の相対速度は、西方向に5 – (-10) = 15 km/hとなります。

反対に、B君の立場から見れば、A君は東方向に10 – (-5) = 15km/hで移動しています。
このように、どちらを基準にして何の速度を求めるかに注意しましょう。

5.落下実験から加速度を求める方法(さらに学びたい人に①)

加速度は簡単な実験からも求めることはできます。
今回はより簡単な重力加速度の求め方を説明します。

やり方は簡単です。高いところから静かにボールを離し、自由落下する様子を動画で録画します。
動画を見返し、落下した距離と、手を放してから経った時間を記録し、
横軸に時間, t、縦軸に距離, yを取ります。
プロットしたグラフは放物線を描くようなグラフになると仮定し、y=at2とおき、aを求めます。
計算して求めたaを2で割った値と、自由落下の2つ目の式と比較すれば、a=gになりますので、重力加速度が求められたことがわかります。
もし実験するならば、体育館のような高さがある位置からボールを落とした方が、時間の範囲を長めにとることができますので、より真値に近づきます。
もしもスピードガンのような速度測定器を持っていれば、手を放してから決まった時間またはある位置での速度を測定し、1つ目の式あるいは3つ目の式から計算することもできます。

他にも方法はあると思いますが、どの方法で行うにせよ、ぜひやった方が良い実験条件は「重さを変える」という条件です。
物体の重さを重くしたら、落下する速度は速くなるか?という〇×問題は頻出します。空気抵抗がないと仮定すれば、答えは×です。
これは重力による落下運動は質量の影響を受けないからです。公式に質量を使っていませんよね?
当たり前ですが、当たり前のことを定量的に正しいと示すことも重要です。

6.加速度をベクトルで表記(さらに学びたい人に②)

これまでは物体の落下や水平方向の運動における加速度の説明を行ってきました。
ここでは、加速度の方向というものに着目し、加速度ベクトルについて説明しておきたいと思います。
さらに、もっと一般的に加速度を考えるため、力と加速度の関係をことにします。
一般的に、力とは方向も考えなければならず、力の方向は加速度の方向で決定します。
これを式で書くと、以下のように書くことができます。

F = ma

これを運動方程式と呼び、Fは力、mは質量を示しています。
物体が運動する場合、すべてこの式が適用できるという式です。

例えば、机の上に置いた箱を考えてください。箱の上から箱をある加速度で押したとすると、その箱はきっと動かないでしょう。
でも、箱を横から押せば、押した方向に箱が動きます。
この2つのパターンでは、同じ力で押していますが、押した方向によって物体の運動が変化しました。
このように、運動を考える場合は方向というものが重要です。
水平方向や鉛直方向だけならば難しくはありませんが、現実には縦・横・奥行きに物体は動きます。
そうなった場合、いちいち3方向に分けて(水平方向は右向きを正、鉛直は上向きを正)計算するのは大変です。
そこで、そんな面倒なことをしなくて済むように、方向も含めて式に表したベクトルを使って表現するのが一般的です。
ベクトル計算の優れた点は、条件を全て座標で与えさえすれば、あとは計算だけですべてが求められるという点です。
初等数学や物理の問題では、そもそも問題が簡単に解けるよう設定していますのであまり恩恵はありません。しかし、もっと難しい問題や複雑な運動であったり、文字で与えらえるような抽象的な運動を扱うときは非常に重宝します。

とは言え、そんなに恩恵がない場合は書かなくてもいいのでは?と思われますが、まさにその通りです。
方向が初めから分かっていたり、計算途中の結果から方向が決まっていたりすればベクトル表記は取っ払って構いません。
ベクトルとはあくまで方向を数字で示す時の道具に過ぎないためです。

7.加速度のまとめ

加速度という、物体の運動では欠かせない項目についてまとめました。
落下や水平方向に投射した物体の運動は、練習問題が多く、難易度は優しいものから複雑なものまできっちり用意されています。
学校で与えられた問題集で十分ですので、反復練習してしっかり自分のものにしましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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