誘導起電力とは?公式や向きの求め方を理解するためのポイントを紹介!

物理 2018.10.22

電磁誘導によって生じる誘導起電力は物理の中でも苦手意識を持っている人が多い部分です。

どのような法則や公式があって、どんな使い方をすれば良いのかがわからないと思う人も多いとは思いますが、現象をよく理解すれば解決できます。

基本的な原理から理解を深め、磁束と電流の変化について式を使った議論をできるようになりましょう!

 

誘導起電力を理解するポイント1:定性的な電磁誘導の法則

まず最初にファラデーの電磁誘導の法則についてイメージを掴みましょう。

定量的な計算をする問題も多く出題されていますが、定性的な議論を求められることも稀ではありません。
電磁誘導が起こることを受け入れてしまえば公式の意味や使い方もわかるので、まずは現象を定性的に理解することが大切です。

銅線などの導体で作られているコイルに対して磁石を近づけたり遠ざけたりすることにより、その回路の中に電流が流れるという現象がファラデーにより発見されました。

この現象を電磁誘導と呼び、磁石を動かしたことで発生した電流を誘導電流と言います。

そして、電流が流れるときには電圧が生じているため、電磁誘導によって生み出された電圧を誘導起電力と呼んでいます。

誘導起電力 図

誘導を現象として理解するときに重要なのが、磁石もコイルも動かさない状態では電流は一切流れないということです。

磁石を動かすことでコイルの中を通る磁束が変化したときにだけ電流が流れます。電磁誘導は発電を行っている方法と原理は同じで、外からエネルギーを加えることにより電流が生じていると考えると良いでしょう。

そのため、磁石を速く動かすほど大きなエネルギーを与えられるので誘導電流も大きくなりますコイルの巻き数が多いと誘導される電流も比例するように大きくなるでしょう。

そして、磁石の持っている磁力が強いほど大きな磁束の変化をもたらすことができるので、大きな誘導電流が発生することになります。基本的にはエネルギー保存の法則が成り立つことを念頭に置いておくと、磁石の動きと電流の大きさに関する定性的な議論が可能です。

誘導電流が流れる向きについてはレンツの法則で考えるのが一般的です。基本的にはコイルの中を通る磁束の変化を妨げる方向の磁力線が発生するように電流が流れます。

例えば、コイルに対して磁石のN極をまっすぐに近づけて行くと、コイルの中を通る磁束は増えていきます。
コイル 磁束

それを妨げる磁力線が発生するため、仮に左から右に磁石を動かしているとしたら、右から左への磁力線が誘起されることになるのです。

誘導起電力 図解

ここで右ねじの法則を用いると右手の親指を左に向けたときに残りの四本指が向いている方向に電流が流れます。

磁場と電力の関係

同様にして考えるとN極を遠ざけるときにはコイルの中を通る磁束が減っていくため、その減少を妨げるように磁力線が磁石の動きとは逆向きに発生します。一方、S極の場合には磁力線の向きが逆になるので、コイルに近づけるときにも遠ざけるときにも同じ方向に磁力線が発生するというのが基本的な現象です。

 

誘導起電力を理解するポイント2:定量的な電磁誘導の法則

ファラデーの電磁誘導の法則はコイルを通る磁束の変化と、コイルに誘起される起電力の関係を示しているものです。

その関係が定式化されているので定量的な議論を行うことができます。

N回巻きのコイルを通る磁束がdtの間にdΦだけ変化するときにコイルに発生する誘導起電力をVとするとファラデーの電磁誘導の法則は次の式で表されます。

誘導起電力 数式

この等式はファラデーの実験によって示された式で、電磁誘導の現象をよく説明しています。

ファラデーの電磁誘導の法則についてなぜ公式にはマイナスの符号が付いているのかが議論になることがありますが、これはレンツの法則と深い関わりがあります。

レンツの法則
磁束の変化によって生じる誘導起電力はその磁束の変化を打ち消す方向に発生する

つまり、正の磁束の変化によって発生する誘導起電力は負の磁束の変化を誘起するものなのでマイナスの符号が付いています。

実際に計算する上ではマイナスだということを忘れてしまっても、レンツの法則を使って電流の向きがわかれば全てプラスで考えて問題はありません。

高校物理ではこのような理解で大丈夫ですが実際にはもっと内容が深く面白いです。ぜひ大学で学んでください。

 

このファラデーの電磁誘導の法則を使うと電磁誘導について様々な角度から議論ができます。
簡単な問題でその内容を確認してみましょう。

コイルを速く動かすほど誘導起電力が大きくなるのはこの公式に当てはめてみると明らかです。

1秒の間に磁束が10Wb変化したときと0.1秒の間に磁束が10Wb変化したときで比較してみると、誘導起電力は0.1秒で変化させたときの方が10倍にもなります。

磁束が10Wbするようにコイルを同じように動かしたとすると、速く動かしたのは0.1秒で変化させたときです。定量的にも速く動かすほど誘導起電力が大きいと示すことができました。

磁場と電流の関係

次に、一様な磁場がある中でコイルの角度を変えずに動かしたときに発生する誘導起電力を考えてみましょう。

磁場に対して垂直あるいは水平に動かしても、コイルの中を通る磁束には変化がありません。dB=0となってしまうため、どのような速度で動かしていたとしても誘導起電力Vは0になります。

このような実験の場合には定性的に考えると誘導起電力が発生すると誤解してしまう人もいるでしょう。しかし、定量的に議論してみると実際にどうなるかがよくわかるのです。

図解 コイル 誘導起電力

 

一定の磁場と導体棒の問題

電磁誘導の問題はよく磁場を横切る導体棒の運動と関連させて出題されています。

導線と一本の導体棒で長方形の回路を作り、導体棒が橋渡ししている部分の長さをlとします。

一様な磁束密度Bが発生している中で導体棒が一定速度vで動いたときに回路に発生する誘導起電力を求めてみましょう。

時間dtの間に導体棒はvdtだけ移動し、コイルの内部の面積がvldtだけ変化します。

誘導起電力 図解

コイルが掃引した面を通過する磁束dΦはvBldtとなるため、ファラデーの電磁誘導の法則を適用すると次のように誘導起電力を求めることができます。

誘導起電力 数式

ただし、この回路は一回巻きのコイルとみなせるのでN=1として計算しました。

このように簡単にして導体棒の速度や回路の形状に関する情報から誘導起電力を求めることができます。
この関係式から導体棒の速度が速いほど、橋渡ししている距離が長いほど、そして、外部から与えている磁束密度が大きいほど誘導起電力が大きくなるとわかるでしょう。

 

まとめ

電磁誘導はコイルを通る磁束を変化させるような運動をしたときに電流が発生する現象です。

ファラデーの電磁誘導の法則について定性的にも定量的にも理解しておくと様々な問題を解けるようになります。

公式の示している内容がイメージと一致すると理解が深まり、ミスがなくなるでしょう。イメージをつかみやすいレンツの法則を基本として現象を理解しておきましょう。


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この記事の執筆者

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