重心とは?座標を使って重心を求める方法を3パターンで紹介!【高校物理】
高校の力学で学ぶ重心について、悩んでいる方が多いと思います。
なんとなく意味はわかるものの、求め方はわからないという人が多いのではないでしょうか?
重心の求め方は一通りではないため、どの解法を使えばいいのか混乱するかもしれません。
今回は、重心の意味から求め方(3パターン)までじっくり解説していきます。
特に、公式の使い方や座標の求め方・計算方法について詳しくステップ別で解説いたします。
この記事で、「重心の求め方・出し方」の苦手意識を克服し、得点できるようにしましょう。重心の分野が得意と言えるようになりましょう。
【PR】勉強を効率的に継続して、志望校に合格したい方必見!
↓無料ダウンロードはこちら↓
▶三角形の重心: 定義と性質を証明問題と座標を用いる例題で解説!
▶三角形の傍心とは?定義や内心との違いについて解説!
▶三角形の内心: 定義と性質を証明問題形式で解説!
【 目次 】
1. 重心のイメージ
1-1. 重心は「安定しているところ」
2. 重心の求め方:モーメントの釣り合いを考える
2-1. モーメントの計算方法
2-2. 重心の座標の取り方パターン①
2-3. 重心の座標の取り方パターン②
2-4. 重心の座標の取り方パターン③
3.y軸方向の重心も同じ式で求める
重心のイメージ
重心とは、一言で言えば、重さも加味した中心のことです。
ちなみにウィキペディアでは、重心の説明はこのように書かれています。(2024年1月現在)
……はい、非常に分かりにくいですね。
具体例で考えていきましょう。
重心は「安定しているところ」
例えば、シャーペンを人差し指の上に置いて、落ちないように上手く乗せようとして位置を考えるとき、おそらく多くの人は初めに中心に置いたのではないでしょうか?
そして、そのシャーペンが左に傾く様子を見て、今度は中心よりもちょっと左寄りに置こうとするはずです。
このように作業していき、いつか指の上から落ちないシャーペンの位置が見つかります。
その位置が重心の位置です。
シャーペンの中身は、場所によっては空洞だったり、炭素の芯が入っていたり、プラスチックや金属の部品が入っています。
それぞれの部品は重さが異なりますので、シャーペンの密度(シャーペンの位置によっての重さ)が異なりますから、重心の位置は、シャーペン全体の見た目の中心ではないのです。
このように、物体の重さが場所(位置)によって異なることを、密度に分布があると言います。
力学に限らず、理系の文章で分布があると言われた場合は、何かの量が位置によって異なっている(均一ではない)という風に読み替えましょう。
学校では、重心を求める問題が出ますが、イメージができれば難しい問題ではありません。練習問題を解いて、慣れましょう。
この記事では、のちに公式も紹介しますが、公式にとらわれずに、毎回釣り合いの式を書いて計算した方がイメージしやすくなるため、お勧めです。
重心の求め方:モーメントの釣り合いを考える
早速、重心を求めていきましょう。
方針としては、物体にかかる力の作用線を書き、モーメントの釣り合いから重心を求めます。
モーメントとは、支点にかかる力で物体を回転させる作用のことです。
モーメントの計算方法
基準点から見て、右周りか左周りに回転し、基準点からの距離×力で求まります。
さて、モーメントの釣り合いを実際に考えてみましょう。
大きく分けて、座標の取り方が3パターンあります。
それぞれ、座標の中心を端部に取る場合と、物体の真ん中に座標の中心を取る場合、そして、重心点周りのモーメントの釣り合いを考えて解く場合です。
このうち、どのパターンを使っても、問題は解けます。
ここで注意点として、物体に力がかかる位置には座標の中心点は置かないようにしましょう。
座標の中心に力がかかる場合、その位置のモーメント計算のために別途座標軸を設定しないといけません。二度手間です。
教科書に掲載されている、「重心の公式」は、パターン③によって導かれたものです。
この方法が最もスマートですし、公式を覚える場合はパターン③だけで良いです。
しかし、公式だけを暗記していると、問題の文字の与え方によってつまずいたり、前問の流れを活かせない場合などもあるかと思います。
そのため、この記事では、パターン①、②についても併せて解説しました。
どのパターンでも解けるように練習しておいた方が、重心の問題に限らず応用力が身につきます。
それでは、まずパターン①から見ていきましょう。
重心の座標の取り方パターン①
……座標の中心を左端に取る場合。
例:重さが一様ではない棒の重心を求める。
図のような棒があったとします。棒にかかる力とその位置は図の通りです。
手順1
左端に基準点をとります。そこから各作用点への距離を調べ基準点から見たモーメントを図に書いていきます。この作業をすると、下記のようになります。
手順2
求める重心Gの位置をXGとおきます。重心ではその物体の重さがすべてかかるため、重心にかかる力は(m1+m2)gで、
モーメントはXG(m1+m2)gとなります。すべて記載すると、図のようになります。
手順3
モーメントの釣り合いから式を立てる。
最後に式を立てます。左端を基準に、重心にかかるモーメントと、それ以外のモーメントの和が等しいので、下記のようになります。
式を整理してXG=の形に変形してあげれば、左端からXGだけ右に進んだ位置が棒の重心になります。
重心の座標の取り方パターン②
……物体の中心に座標の中心を取る場合。
同じように棒状の物体の重心を求めます。
ただし、物体にかかる位置が端にかかるとします。
手順1
基準を中心に設定し、各作用点にかかる力とモーメントを図示します。
重心の位置でのモーメントも図示します。
座標で考えるので、値の符号に注意してください。
図では、X1とXGは座標の中心よりも左側にあるため、符号はマイナスです。
プラスにしてもかまいません。
手順2
座標の中心周りの力のモーメントの釣り合いを考える。
パターン①と同様に、釣り合いの式を立てると以下のようになります。
これが物体の中心を座標の中心においた場合の重心を求める式になります。
この例のように、端部に作用点がある場合、パターン②ではひと手間かけなければなりません。
問題の誘導で、物体の中心が中心軸に置かれた場合や、てこの問題の場合は、パターン②のように解くと自然に解けると思います。
もちろん、他のやり方でも構いません。
重心の座標の取り方パターン③
最後に、最も一般的な重心点周りのモーメントの釣り合いを考えて解く場合を考えましょう。
重心のモーメントは0であるため、モーメントの釣り合い式は下記になります。
これが、座標軸を重心の位置に置いた場合の重心の公式です。
また、今回は作用点が2点でしたが、作用点がn点ある場合の重心の式は下記になります。
繰り返しになりますが、重心の公式だけに頼らず、元の釣り合いの式から計算できるようになりましょう。
コラム:数学で習う重心について
数学の分野でも、図形や平面幾何の分野で重心というものが出てきます。
平面幾何学で登場する図形には重さなどの概念がないため、上記の公式のすべて質量に1を代入したものが、数学で習う重心の公式になります。
y軸方向の重心も同じ式で求める
もし下記のように、y軸方向にも密度の分布がある図形の場合は、先ほど説明した重心の式のx項をyに置き替えてやればOKです。
解き方
重心の位置をGと置き、x, y成分とその位置の質量をmとすると、左の図のようにおける。
- x成分だけに着目して重心を求めると、
- y成分も同様にして、
よって、重心の座標Gは、
【物理】重心とは何か:まとめ
重心とは、物体の大きさと重さを加味した中心のことでした。
重心を求める方法は簡単で、モーメントの釣り合いから求めることができました。
公式を暗記してもよいでしょう。
もし物体が面積や体積があるような物体である場合は、x成分、y成分、z成分に分けて、それぞれの成分の重心を求めることで、物体の重心を求めることができます。
決して難しくないので、たくさん練習して問題になれましょう。
記事の内容でわからないところ、質問などあればこちらからお気軽にご質問ください。
中の人がお答えします。