位置エネルギー・弾性エネルギー公式の求め方を解説!

物理 2026.2.27
位置エネルギー・弾性エネルギー公式の求め方を解説!

重力による位置エネルギーやバネの弾性エネルギーの公式について解説します。

それぞれ図を用いた視覚的な解説と数式による説明をしますので、直感的で筋の通った理解を深めることができます。

さらに、計算問題を通して理解度を確認できます。

A∪B

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    位置エネルギーとは?公式と説明

    物体が他の物体に仕事をする能力を「エネルギー」と呼びます。

    物体が落下して他の物体に接触すると、その物体の運動が変化したり物体が変形したりします。つまり力を及ぼします。この力の根源が落下する物体に備わっているエネルギーです。

    また、押し縮めたバネの先端の物体は、バネが伸びて他の物体に接触すると、その物体の運動や形の変化をもたらします。この力の根源はバネの先端の物体に備わっているエネルギーです。

    どちらも「物体の位置の変化」に伴って他の物体に作用する力として現れて変化をもたらすエネルギーなので、「位置エネルギー」と呼びます。

    位置エネルギーは、それと関係する力の種類で区別します。落下する物体は重力によって位置が変化するので「重力の位置エネルギー」、バネの先端の物体にはバネの弾性力が働くので「弾性力の位置エネルギー」または「弾性エネルギー」というように。

     

    重力による位置エネルギー

    エネルギーは物体が仕事をする能力ですから、重力の位置エネルギーは物体に働く重力がする仕事として求まります。物体の質量をm[kg]、重力加速度をg[m/s2]、落下距離をh[m]とすると、重力mg[N]がする仕事W[J]は

    W=mg×h

    mgh[J]

    となります。

    落下距離を物体の始めの高さと言い換えると、高さh[m]の位置にある物体が持つ重力の位置エネルギーU[J]は

    U=W=mgh[J]

    と表すことができます。

    このことから分かるように、エネルギーの単位はジュール[J]で表されます。

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      重力による位置エネルギーの問題と解説

      では、公式を使ってみましょう。

      問題演習

      大きなホールで、Aさんが床で、Bさんが床から高さ10[m]の足場で作業をしています。天井から質量5.0[kg]の物体が下がっていて、その高さは床から8.0[m]です。重力加速度をg=9.8[m/s2]とします。

      (1)Aさんが立つ床から見て、物体の重力の位置エネルギーはいくらでしょうか。(以下有効数字2桁で求めてください。)

      (2)Bさんがいる足場から見て、物体の重力の位置エネルギーはいくらでしょうか。

      (3)物体が床に落下するときに重力がする仕事はいくらでしょうか。床と足場それぞれの位置を基準にして求めてください。

      解説

      (1)床から見て、物体は高さ8.0[m]の位置にあります。m=5.0[kg]、g=9.8[m/s2]、h=8.0[m]とすると、物体の重力の位置エネルギーは

      mgh=5.0×9.8×8.0=392[J]

      と計算できます。有効数字を2桁として、求める位置エネルギーは3.9×102[J]となります。

      (2)足場から見て、物体は高さ8.0 − 10= −2.0[m]の位置にあります。(1)と同様にして計算すると、物体の重力の位置エネルギーは(h=−2.0とおいて)

      mgh=5.0×9.8×(−2.0)= −98[J]となります。

      (3)床から見て、物体は8.0[m]の高さから床(高さ0[m])まで落下します。それぞれの位置での重力の位置エネルギーは392[J]と0[J]です。重力がする仕事は始めと終わりの位置エネルギーの差ですから、392 – 0=3.9×102[J]と求まります。

      足場から見て、物体は−2.0[m]の高さから−10.0[m]の高さまで落下します。それぞれの位置での重力の位置エネルギーは-98J]と-490J]ですから、重力がする仕事は(-98) – (-490)=392=3.9×102[J]と求まります。

      このように、重力の位置エネルギーは基準(床か足場か)によって数値が変わりますが、重力がする仕事は位置の差(変位)で決まるので、基準をどこにとっても同じになります。問題を解くときには、都合の良い(計算が楽になる)位置を基準に取ると良いでしょう。

      弾性エネルギーとは?公式と説明!

      重力の位置エネルギーが重力がする仕事に等しいことからわかるように、位置エネルギーはそれと関係する力がする仕事として求めることができます。

      バネの弾性エネルギーは弾性力によって生じます。弾性力F[N]は、バネ定数をk[N/m]、バネの伸びをx[m]、伸びる向きを正の向きとして、

       F= −kx[N] (フックの法則)

      で表されます。縮むときはx<0です。

      フックの法則

      図の横軸は自然長を原点(x=0)としたときのバネの先端の位置を表し、縦軸はバネの弾性力を表しています。バネが自然長に戻るまでの先端の変位s[m]は、始めの位置をx0[m]とすると、

       s=0 – x0= -x0[m]

      です。弾性エネルギーは弾性力F[N](位置xの関数)が変位s[m]の間にする仕事に等しいので、グラフの三角形の面積で表されます。(仕事=力(縦軸の量)×距離(横軸の量)) したがって、弾性エネルギーU[J]は

      U=1/2×F×s

      =1/2×(-kx0)×(-x0)

      (1/2)kx02 [J]となります。

      弾性エネルギー

        弾性エネルギーの問題と解説

        は、弾性エネルギーの公式を使ってみましょう。

        問題演習

        [1]天井から吊るしたバネの先端に質量0.50[kg]の物体を下げたところ、バネが伸びて静止しました。バネ定数を49[N/m]、重力加速度を9.8[m/s2]とします。(有効数字2桁で答えてください。)

        (1)バネの伸びは何mでしょうか。

        (2)バネの弾性エネルギーは何Jでしょうか。

        [2]自然長L0[m]、バネ定数k[N/m]のバネを長さL[m]まで伸ばしました。このときのバネの弾性エネルギーU[J]をk、L0、Lで表してください。

        解説

        [1]

        (1)物体には鉛直下向きに重力、上向きにバネの弾性力が働いています。m=0.50[kg]、g=9.8[m/s2]、k=49[N/m]、バネの伸びをx[m]とすると、鉛直下向きを正の向きとして、運動方程式は、

         mg – kx=0 (加速度0)

        となります。したがって、mg=kxという力の釣り合いが成り立っています。これより、バネの伸びは、

        x=mg/k=0.50×9.8/49=0.10[m]と求まります。

         

        (2)弾性エネルギーをU[J]とすると

        U=(1/2)kx21/2×49×0.1020.2450.25[J]

        [2]バネの伸びをx[m]とすると、

        x=L – L0

        となります。したがって、バネの弾性エネルギーは

        U=(1/2)kx2(1/2)k(L – L0)2 [J]と求まります。

          その他のエネルギーについて解説!(万有引力・クーロン力)

          位置の変化に関係するエネルギーには、重力の位置エネルギーと弾性エネルギーの他に、万有引力の位置エネルギーとクーロン力の位置エネルギーがあります。どちらも無限遠を基準にとって表します。

          万有引力の位置エネルギーU[J]は、距離r[m]離れた2つの物体の質量をそれぞれM[kg]、m[kg]、万有引力定数をG[Nm2/kg2]とすると、

           U= -GMm/r[J]と表されます。

          また、クーロン力の位置エネルギーU[J]は、距離r[m]離れた2つの電荷の電気量をそれぞれQ[C]、q[C]、クーロンの比例定数をk[Nm2/C2]とすると

          U= kQq/r[J]と表されます。

          なお、万有引力についての詳しい説明はこちらをご覧ください。
          【万有引力の法則】公式を紹介!さらに位置エネルギーの求め方も簡単にわかる!

            6.補足:積分を用いた位置エネルギーの求め方

            位置エネルギーを定積分の計算で求めることができます。

            質量m[kg]の物体に働く力をF[N]、この力によって生じる加速度をa[m/s2]とすると、運動方程式は

            F=maとなります。

            加速度は速度v[m/s]を時刻t[s]で微分した量、すなわち

            a=dv/dtであることと、速度v[m/s]は変位x[m]を時刻t[s]で微分した量、すなわち

            v=dx/dtしたがって、

            dx=vdtであることを利用して、力Fがする仕事W[J]=位置エネルギーU[J]だけでなく、運動エネルギーとの関係もこの機会に示してみましょう。

            まず、F=maの両辺に微小変位dxを掛けます。

            Fdx=madx

            左辺を変数xについて積分すると位置の変化によって力がする仕事になり、したがって位置エネルギー(の差)が求まります。右辺については、a=dv/dt、dx=vdtですから、

            Fdx=madx

            =m(dv/dt)(vdt)

            mvdv

            となります。右辺を変数vについて積分すると「運動エネルギーの変化量」が求まります。速度vの積分区間は変位xの積分区間に対応させます。

            たとえば、高さh[m]で静止していた質量m[kg]の物体が落下して地表に達した時の速度をv[m/s]とすると、重力加速度をg[m/s2]、鉛直下向きを正の向きとして

            ∫mgdx=∫mvdv

            となります。左辺の積分区間は下限が0、上限がh、右辺の積分区間は下限が0、上限がvですから、積分を実行すると

            mgh=(1/2)mv2[J]

            が得られます。(位置エネルギーの減少量が運動エネルギーの増加量に等しいことを示す「力学的エネルギー保存の法則」)

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            この記事の執筆者

            ニックネーム:受験のミカタ編集部

            「受験のミカタ」は、難関大学在学中の大学生ライターが中心となり運営している「受験応援メディア」です。