三角形の重心: 定義と性質を証明問題と座標を用いる例題で解説!
三角形の重心は、入試でもよく出題されます。
この記事では三角形の重心の定義と性質を、証明問題を解きながら解説します。
重心については、この記事の内容を完全に理解すれば怖いものはありません。
1. 三角形の重心: 定義と性質
三角形の重心の定義は以下のとおりです:
一般に、三角形の頂点とその対辺の中点を結ぶ線分を中線という。
三角形ABCにおいて、3本の中線は一点で交わり、この点をGとして、Gを三角形ABCの重心という。(GはGravityの頭文字です)
さて、この三角形の重心に関する重要な性質が2つあります:
a) 三角形ABCの3本の中線は一点Gで交わる (定義)
b) 三角形の重心Gは3本の中線をそれぞれ2:1に内分する (下図)
以下、これら2つの性質を合わせて証明します。
2. 三角形の重心の性質を証明してみよう
命題: 三角形ABCの3本の中線は1点Gで交わり、それぞれGによって2:1に内分される。
証明:
三角形ABCにおいて、辺AB, ACの中点をM, Nとする (線分BM, CNはそれぞれ点B, Cから引いた中線である)
線分BMとCNの交点をG, 直線AGと辺BCの交点をLとするとき、BL=CLを以下に示す。
三角形ABHにおいて、AN=BN、AG=HGであるから、中点連結定理よりNG//BHであり、ゆえにGC//BH
同様に、三角形ACHにおいて、MG//CHであり、ゆえにGB//CH
2組の対辺がそれぞれ平行であるから、四角形BHCGは平行四辺形である。
このとき、線分BCは平行四辺形BHCGの対角線である。
平行四辺形の対角線は互いに中点で交わるから、点Lは線分BCの中点である。
したがって、線分ALは中線であり、3本の中線は一点Gで交わる。
(このように、3本の直線が1点で交わることを証明するときには、「とりあえず2本の直線を引いておいて、最後の1本が条件を満たすことを証明する」という方法をよく用います。
続いて、各中線が重心によって2:1に内分されることを示します。こちらはすぐです)
定義より、AG=GH
また、四角形BHCGは平行四辺形であって、平行四辺形の対角線は互いに中点で交わるから、GL=HL
したがって、AG=GH=2GLであるから、AG:GL=2:1
同様にして、線分BMおよび線分CNもGによって2:1に内分されることが示される (省略)
(証明終了)
3. 三角形の重心と座標: 例題
ここまで、数学Aにおける重心の性質を説明しました。
数学Aでは重心そのものの性質を中心的に学習しますが、数学Ⅱでは重心の性質を座標を用いて表します。また数学Bではベクトルを用いて重心の位置ベクトルを表します。
座標を用いた考え方がわかっていれば、ベクトルも特に難しいことはありません。ここで座標を用いた重心のとらえかたをよく理解しておきましょう。
まず、3点A, B, Cの座標をそれぞれ(x1, y1), (x2, y2), (x3, y3)とおきます。
すなわち、線分BCの中点をMとすると、重心Gは線分AMを2:1に内分する点です。
一般に、点(x1, y1)と(x2, y2)を結ぶ線分をm:nに内分する点の座標は
です。
よって、点Mの座標は
であり、点Gのx座標は
となり、同様にy座標も
となります。よって重心Gの座標は
です。
4.三角形の重心に関する例題
問題:座標平面上の三点、A(-9,2),B(3,-2),C(6,0)について、三角形ABCの重心をGとしたとき以下の問いについて答えよ。
- Gの座標
- CGの長さ
解説:
- 重心の座標は先ほど証明したように
でしたね。なのでA,B,Cの座標の値をそれぞれ代入して
となります。
【解答1】
①でもとめたGとCの座標から
となります。
【解答2】
①で重心が求められなくても、重心の性質が分かればCGの長さは求めることが出来ます。
それは、「重心はそれぞれの中線を2:1に内分する」という性質です。
点AとBの中点をMとしたときGはCMを2:1に内分するのです。
点Mの座標は
であるのでCMの距離は
なので、
となります。
5.三角形の重心のまとめ
今回は重心の性質や証明を学びました。
重心は数学だけでなく自然科学の世界においてとても重要なものです。これから、大学に進学される皆さんはその大切さがその時に分かるようになるでしょう。
それまでの準備期間として受験勉強を頑張っていきましょう!
また三角形と円が絡む話題として、他に外心と内心があります。併せて確認しておいてください!
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