有理化とは?数学Iの基礎単元を分かりやすく解説

「有理化の基本的なやり方が分からない」「分母が増えると計算が複雑になるから戸惑う」とのように、有理化という単元そのものに躓いている方も多いのではないでしょうか。
有理化は高校の数学Iで学習する、平方根を応用したものです。計算方法やパターンを覚えることで有理化の性質が分かり、試験でスラスラ解けるようになります。
練習問題をベースに、計算のやり方や応用の解き方を解説していくので、この機会に苦手意識を克服しましょう。
また、有理化をマスターすることで、数学だけではなく物理分野の理解も深めることができます。数学から高等数学まで幅広く使うものなので、きちんと理解をして把握しておきましょう!
・基本的な、分母を有理化する方法
・複雑な計算を用いる際の有理化方法
・分母が複数ある際の有理化方法
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【目次】
1.有理化とは?【分母に根号を含めない形にすること】
1-1.基本的な分母の有理化
1-2.答えが分数にならない場合
1-3.分子と分母の両方に根号が含まれる場合
1-4.ルート内の数字が大きい場合
2.【特別な有理化①】複雑な計算を用いる時
2-1.分子に符号がついている場合
2-2.分母の項が2つある場合
3.【特別な有理化②】分母が3つある時
4.有理化の練習問題に挑戦
まとめ
有理化とは?【分母に根号を含めない形にすること】
有利化とは分母に根号を含む式を、分母に根号が含まない形にすることです。
例えばという形のものを、分母を有理化すると
という形になります。このようなことから分母の有理化と言われることもあります。
以下でやり方を解説します。
基本的な分母の有理化
例として を有理化してみましょう。有理化は以下の手順で行うことが出来ます。
2.分母にあるルートを分母と分子の両方にかける
3.分子のルートを簡単にして約分
今回、分母のルートはこれ以上簡単にできないため、1の手順は飛ばします。
次は分母と分子の両方に、分母のルートをかけます。
という式になります。
分母のルートは根号が取れますから
という形になります。
これで分母のルートが取れましたので有理化成功です。
答えが分数にならない場合
例としてを有理化してみましょう。この場合も先ほどと同じように進めていきます。
分母にある を分子と分母にかけて、有利化します。
ここで、分子に9があり、分母が3であることにより約分ができます。
つまり、 が正解になります。
分子と分母の両方に根号が含まれる場合
最後は分子と分母に根号が含まれるパターンを考えます。例としてを有理化してみましょう。
計算式は
となります。これで有理化ができました。
ルート内の数字が大きい場合
次はルートの中を簡単にしてからのパターンです。例としてを有理化してみましょう。
は22×3とできるので、
の形に変換可能です。
という形になりました。ここで分母と分子の両方にかけ算をしますが、この時にかけるのはルートの部分だけです。
という形になります。
で正解です。
【特別な有理化①】複雑な計算を用いる時
先述したのは基本的な有理化でしたが、ここからは少し複雑な計算を見ていきましょう。計算が複雑になるだけで、有理化のステップは同じです。
分子に符号がついている場合
例として を有理化してみましょう。まずはおさらいからです。
は22×15 にできますから
と形を整えて有理化の完了です。
分母の項が2つある場合
といった形です。この場合、単純にかけるだけでは根号が外れません。
そこで、和と差の積の公式【(a+b)(a-b)=a2-b2 】を使っていきます。
とするわけです。例題を使って練習をしてみましょう。
例題:を有理化しよう
分母が となっているので、分母と分子には
をかけます。
ここで約分をしましょう。
これで有理化が終わりました。次はもう少し複雑にいきましょう。
例題 :を有理化しよう
次は分母の2項がともに根号となっているケースを考えます。この問題も基本は同じです。
ただし、分母が になっているので、分母と分子には
をかけます。
ここで約分を行います。
=
という形になります。これで有理化が終わりました。
例題:を有理化しよう
次は分母の根号に係数がある場合です。これまでのパターンとは違いますので、戸惑ってしまうかもしれませんが、やることは同じになります。焦らずに計算をしていきましょう。
分母が になるので、+にするのを忘れないようにしてください。
約分をして
=
となって有理化終了です。
【特別な有理化②】分母が3つある時
分母の項が2つになる時は和と差の積を用いて分母を有理化しましたが、分母の項が3つになった場合はどうでしょうか。
例えば といった形です。この場合は、どうすれば有理化できるのかを考えていきます。
分母の項が3つある場合、まず3つの内2つをまとめてしまいましょう。
先ほどの例ですと
としてしまうのです。
仮に分子が1だとすると計算はこうなります。
随分とすっきりした形になりました。ですが、まだ分母にが残っています。さらに
をかけることで、有理化ができました。分母に3つの項がある時は、2回有理化するのがポイントです。
最後に、分母に3つのルートがあるパターンを紹介しましょう。
例題:を有理化しよう
最初にするのは有理化するための、分母の選別です。
シンプルに(√3+√7)と√6で和と差の積を利用したとしましょう。
ここで分子の計算をするとなると
というような形になってルートが整理しづらくなってしまいます。
そこで、√3と(√6-√7)で和と差の積を利用したとしましょう。こうすることで分子のルートを整理しやすいだけでなく、分母も分子も和と差の積を利用することが出来ます。
として計算してみましょう。分母でも和と差の積を利用するために分母と分子の符号を変化させてみます。
と簡易化できます。これを計算していきましょう。
さらに式を整理して
ようやく分母のルートが、シンプルになりました。さらに計算をしていきましょう。
と、なって有理化の終了です。
かなり複雑な計算になりましたが、応用をすることである程度は簡便化できます。これを覚えておくといいでしょう。
有理化の練習問題に挑戦
最後に練習問題をいくつか用意しておきます。
練習問題1:を有理化してください。
解答:
練習問題2:を有理化してください。
解答:練習問題3:
を有理化してください。
解答:練習問題4:
を有理化してください。
解答:
まとめ
数学だけではなく、物理や化学などの範囲でも有理化というのは、必要になってくる要素です。そのため確実にできるようにしておきましょう。
また、平方根についてのまとめ記事を読みたい方は「平方根関連記事まとめ〜有理化や二重根号を解説!」の記事をチェックしてみてください。