楕円の方程式・面積をマスターしよう!定期テスト1週間前からでも楕円をマスター

数学 2018.10.23

楕円とは、よく見るようで、数学的に考えるととても奥の深い図形です。

古代ギリシアの数学者であり天文学者であったアポロニウスは、「円錐曲線論」を著しました。
円錐の切り口を考えることで、放物線、楕円、双曲線、2直線が現れることを述べ、2次曲線の性質を論じたのです。

この「円錐曲線論」は、惑星の軌道に関するケプラーの法則の発見などにも役立ちました。

この記事では、そんな楕円についてまとめます。

→ケプラーの法則について詳しく知りたい方はこちら!

 

1.楕円の基本:二次曲線の定義

まずは、楕円を考える際に基本となる二次曲線について見ていきましょう。

二次曲線で重要なことは多くあります。
例えば、「基本形がわかるか」「平行移動ができるか」「焦点や準線の方程式がわかるか」「グラフが書けるか」などです。

これらのことが頭に入ってようやく初めて、問題に取り組むことができる状態になった、といえます。

そして数学をはじめとする理系教科で何より大切なのが、「定義」です。

では二次曲線の定義を確認しておきましょう。
定義は正確に覚えてください。

【二次曲線の定義】

放物線 :定直線 l と直線上にない定点 A からの距離が等しい点Pの軌跡

楕円 :平面上の2点 F,F’ からの距離の和が一定になるような点Pの軌跡

双曲線 :平面上の2点 F,F’ からの距離の差が一定になるような点Pの軌跡

 

ほかにも、放物線や楕円、双曲線を表すような表現はあります(円錐曲線など)が、ひとまずこれらを覚えれば問題ありません。

→放物線(二次関数)について詳しく知りたい方はこちら!

→双曲線について詳しく知りたい方はこちら!

 

 

2.楕円の方程式

次に、すでに申し上げた楕円の定義から、楕円の方程式(標準形)を導きます。

楕円 :平面上の2点 F,F’ からの距離の和が一定になるような点Pの軌跡

ここで、みなさん、軌跡の問題の解き方を覚えていますか?

軌跡の問題は
① 求める図形上の点を P (x,y) とおく
② x,y に関する式を立式する
③ ②を解く
の手順で解きましたね。

楕円の方程式も、この順番で求めます。

a>c>0 として、2定点 F( c,0 ),F'( -c ,0 ) からの距離の和が 2a であるような楕円の方程式を求めます。

求める楕円上の点を P (x,y) とおくと、PF+PF’=2a です。点P, F, F’ の座標がわかっているので、これで立式できるはずです。すなわち

です。

ここで両辺を2乗します。
ただし、式変形を行う際には、可逆性がないといけません。

「⇔」があるということは、前の式から後の式、後の式から前の式への双方向への式変形が可能である、ということです。
理系であれば、「式の両辺を2乗するときの、式変形の双方向性」についても気を配れるようになりましょう。

この場合は、2乗による式変形が可能です。
証明はここには載せませんが、興味があれば挑戦してみましょう。
なかなかに難問です。


両辺を再び2乗します。


a2-c2 が重複して出ていますので、これを文字に変えます。
b2=a2-c2 (b>0) とおくと


となり、楕円の標準形を求めることができました。

 

3.楕円の標準形を見たときに、気づくべきこととは?

上でもとめた楕円は、「2定点 F( c,0 ),F'( -c ,0 ) からの距離の和が 2a であるような楕円」です。
このような2定点を、楕円の焦点といいます。

中心が原点にあり、頂点がそれぞれ軸上にあります。

x 軸上の正の頂点を点A、負の頂点をA’ とおき、y 軸上の正の頂点をB、負の頂点をB’ とおきます。
このとき、線分AA’ を長軸、線分BB’ を短軸といいます。

点A、A’、B、B’ の座標を求めてみましょう。
楕円の方程式を考えるときは、点Pの軌跡を解くことで求めました。

つまり、点Pが楕円上のどこにあっても、焦点F、F’と点Pの間には

FP+FP’=2a

の関係が成立します。

例えば点Pが頂点Aと重なるときについて考えると、

FA+F’A=2a

です。

楕円は長軸、短軸に対して対称な図形ですので、線分FAの長さと線分F’A’の長さは一致します。

すると、FA+F’Aは

⇔F’A’+F’A=2a
⇔AA’=2a

となります。

原点OはAA’ のちょうど中点にあたりますので

OA=OA’=a

が成立します。

つまり、頂点の座標 はA( a,0 ), A'( -a ,0 ) です。
長軸の長さが 2a であることも合わせて言えます。

 

次に、BとB’ についてです。

点Pがちょうど頂点Bに重なるときのことを考えます。
焦点の座標は、最初に設定した F( c,0 ),F'( -c ,0 ) です。

2焦点からの距離が 2a ですので、

FB+F’B=2a

です。

楕円は軸に対して対称ですので、FB = FB’ となりますから、FB = FB’=a です。

ここで、直角三角形OFBについて注目してください。
OF=c, FB=a であり、楕円の標準形を求めたときに b2=a2-c2 (b>0) と定義しています。

三平方の定理と比較すると OB=b であることが見えるのではないでしょうか。

→三平方の定理について復習したい方はこちら!

同様に、OB’=b ですので、B( b,0 ), B'( -b ,0 ) です。

 

楕円の方程式まとめ

楕円の方程式についてまとめましょう。
a>b>0 のとき、楕円の方程式

について以下のことがわかっていれば問題ありません。



いま、a>b>0 について考えましたが、b>a>0 のときもほとんど同じことが言えます。
ただし、以下の点に注意しましょう。

・長軸がBB’、短軸がAA’ となる
・焦点がy軸上にある(焦点は長軸上にある)

ですので、上と同様の書き方をするなら、以下のようにまとまります。

2定点 F( 0,c ),F'( 0,-c ) からの距離の和が 2b であるような楕円をもとめる、ということになります。

a>b>0 のとき、楕円の方程式

について

 

4.円と楕円

ここで、楕円と円の関係について考えましょう。

楕円は一般に「円をつぶした形」として認識されています。

 

例えば、円の方程式、x2+y2=9をy軸方向に 2/3 倍してできる図形について考えましょう。

ここまで見てきた方なら、楕円になりそうだということはわかるでしょう。
また、どんな楕円になるかも見当がつくでしょう。

計算方法は割愛しますが、中心が原点にあり、( 3,0 ),( -3 ,0 ),( 2,0 ),( -2 ,0 ) を4頂点とする楕円です。

 

この図形は、先の楕円の標準形と照らし合わせると

ということになります。

これを一般化すると、以下のようになります。



円の方程式x2+y2=a2をy軸方向に b/a 倍してできる図形が、楕円
である。

5.楕円の面積

最後に、楕円の面積を求めてみましょう。

円をつぶした形であることから、予想はつくかと思いますが、ここでは積分を使って楕円の面積をもとめます。

楕円の面積を求めるには、楕円の媒介変数表示を用います。
楕円nの媒介変数表示は以下の通りです。

楕円について、媒介変数を θ とすると

で表される。

放物線や双曲線については、様々な媒介変数が考えられ、有名なものもいくつかありますが、楕円に関しては、概ねこの媒介変数表示が一般的です。


さて、ここで、先程の

曲線で囲まれた面積Sを求めましょう。

この楕円の媒介変数表示は

です。

ここで、Sは第一象限の面積を4倍したものと考えられます。

よって、

①の両辺を、θ で微分すると

よって求める面積Sは、x=0 のとき θ=π/2、x=3 のとき θ=0


となります。

半径が3の円の面積は 9π です。
円の方程式 x2+y2=9 に比べて、楕円

は y 軸方向に 2/3 倍した図形ですので、9π×2/3=6π となり、感覚的にも先の答えと一致しますね。

 

おわりに

最後までご覧くださってありがとうございました。

この記事では、楕円についてまとめました。
惑星の軌道が楕円になるなどのことが一般的に知られていて、物理の世界でも現れる図形です。

大学で学ぶ分野によっては、長い付き合いになるかもしれない図形ですので、しっかり学習しておきましょう。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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