円錐の表面積・体積の求め方!公式の確認と計算演習でマスターしよう!

数学 2024.1.25

皆さんは図形の問題は得意でしょうか?

苦手だという人の原因に多いのが、「円錐の問題が苦手で、とくに表面積を求めるための公式を覚えきれない」ということ。

逆にいえば、円錐の表面積を求める公式を理解して使いこなせれば、楽しく円錐の問題を解くことができるのです。

この記事では、円錐の表面積や体積を計算する方法について紹介しています。図形問題が苦手な人は読んでみてください。

1. 円錐の表面積の便利な公式を確認

円錐の表面積を計算する方法について紹介します。

はじめに、円錐の半径と母線の長さがわかっているときの円錐の表面積の求め方を紹介します。

「母線」とは、円錐の頂点から底面の円に真っすぐ伸ばした線のことをいいます。
円錐の半径の長さをr , 母線の長さをmとします。

このとき、この円錐の表面積は

円周率 × 半径 ×(母線+半径)

と計算できます。

円錐の底面の半径と母線の長さがわかっていて表面積を求めるときは、この公式が便利です。ただ、この公式はイメージしにくいので、暗記に頼るのではなく、公式が導かれるまでの考え方も理解しておきましょう。

2. 円錐の表面積の公式を使わない求め方

円錐の表面積を求めるとき、先ほどの公式で求められるのですが、その公式を使わないで求めることも可能です。ここからは、その方法や考え方について紹介をしていきます。

円錐の表面積とは、底面の円の面積と、斜めになっている部分(側面)の面積となる側面積の和で求められます。

  円錐の表面積=底面積+側面積

ここで、側面積の計算方法は2つのやり方に分かれますので、その両方に触れておきます。

2-1. 側面の扇形の中心角を求める

まず、この円錐の展開図を考えます。

円錐の展開図は、底面が円で、側面が扇形になるということでしたね。

円錐のポイントは、展開図において、扇形の弧の長さと、底面の円の周の長さが等しいということです。これらは立体図のときにはくっついていたからです。

 

 

さて、表面積を計算するうえで、底面積はすぐに計算できますね。
問題は側面積にあたる、扇形の面積の求め方です。

扇形の面積の求め方のポイントは、扇形と、それを円に復元したときのその円の面積とを比較するということです。

そのためには扇形の中心角を調べればいいのです

 

扇形の中心角はわかっていませんので、a° とおきます。

扇形の弧の長さは、底面の円の周の長さと等しいので2πr。
そして、扇形を円にしたときの周の長さは2πm。

ですから、扇形の弧の長さは

 

 

この長さが底面の円の周の長さと等しいので、

 

 

これを解くと、

 

 

 

2-2. 底面積と側面積の和を計算する

側面の扇形の中心角がわかったので、側面積を計算します。

と計算ができるので、

です。

したがって、円錐の表面積は

 

 

と求められます。

 

さて、扇形の部分の面積の計算は手間がかかります。

そこで役に立つのが、扇形の面積の公式です。

1/2 × 半径 × 弧

と計算できます。

rは扇形の半径の長さ、Lは扇形の弧の長さです。

この面積の計算法については、「受験のミカタ」の記事「扇形の面積公式が一目でわかる!丁寧な証明付き」を見てください。

 

では、底面の円の半径がr、母線の長さmである円錐の表面積の計算に戻ってみましょう。

今あげた扇形の面積の公式のrは扇形の半径のことなので、今回は母線の長さmとして計算をします。

そしてLは底面の円の周の長さと等しいので、2πrと考えることができて、扇形の面積は

 

 

したがって、円錐の表面積は

 

 

です。

3. 円錐の体積の求め方

立体図形の体積の計算方法は、たったの2種類に分かれます。
それは「◯◯柱の体積の求め方」と「◯◯錐の体積の求め方」です。

◯◯柱」、例えば三角柱・四角柱・円柱などの体積の計算方法は

  底面積×高さ

で、「○○錐」、例えば三角錐・四角錐、そして今回取り上げている円錐などの体積の計算方法は

です。
こうしてまとめておけば覚えやすいですよね。

 

ちなみに錐の図形のときになぜ

 

をかけなければならないかについては、学習範囲に含まれていないので、ここでは取り扱いません(調べてみてください)。

 

したがって、円錐の体積Vを求める公式は

 

 

とまとめられます。

よく練習をして、使いこなせるようにしましょう。

4. 円錐の表面積に関する練習問題

それでは、練習問題で、円錐の表面積に関する問題を解いてみましょう。

【問題1】底面の円の半径が3, 母線の長さが9である円錐の表面積を求めよ。

解答&解説

《解法1》展開図の通りに個別に面積を求める方法

底面の円の面積は

 

 

扇形の中心角をa°とすると、弧の長さは

 

 

この長さは底面の円の周の長さと等しいので、

 

 

a=120 より扇形の中心角は120°

したがって扇形の面積は、

 

 

よって、円錐の表面積は

 

 

 

《解法1》の一部別解

上の四角枠内の部分(扇形の面積を求める部分)の別解として、次の2つの方法があります。

別解①:扇形の面積公式  1/2 rL を利用する方法

 

なので、

 

 

 

 

別解②:扇形の面積公式  πmr を利用する方法

 

 

と、ものすごく簡単に求められます。

 

《解法2》円錐の表面積の公式を使う方法

円錐の底面の円の半径の長さと母線の長さがわかっているので、いきなり円錐の表面積の公式

 

が使えます。よって、

 

 

面積の公式を知っていれば、たったこの計算量だけで答えが出ますので、手軽に解けます。

 

5. 円錐の体積に関する練習問題

では次に、円錐の体積を求める問題を考えてみましょう。

【練習問題2】底面の半径が3, 母線の長さが6の円錐の体積を求めよ。

円錐の体積を求める公式は、

 

 

でしたね。

つまり、底面の円の半径の長さと高さがわかれば、体積は求められます。
ですから、今のところ高さがわかっていませんので、すぐには求められない状態です。

では、どのようにすれば高さが調べられるか?
頂点から底面の円の中心までを線で結んでみましょう。

その線の長さが、円錐の高さとなります。

このとき、上の図のように直角三角形ができます。

hを求めるには、三平方の定理を利用すればよいです。
三平方の定理をよく覚えていない人は、受験のミカタの記事「三平方の定理を慶應生が超わかりやすく解説!公式・証明・計算問題付き」を見てください。

 

三平方の定理より

 

 

 

 

したがって、円錐の体積は

 

 

 

です。

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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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